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森と林業の本

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2012/03/27

インダス文明に王がいない理由

本日は、ちと夢想の文明論。

総合地球環境学研究所(地球研)が、インダス文明に関する研究を発表している。

インダス文明というのは、世界4大文明の一つでありながら謎だらけの不思議な世界である。

モヘンジョダロとハラッパーの遺跡は有名だが、遺跡は大河から離れた砂漠や海岸にも分布する。つまり大河文明ではないのだ。

そして重要なのは、どこの遺跡にも王宮や王墓は見つかっておらず、巨大な建造物もないということだ。ほかのエジプト、メソポタミヤ、黄河文明には巨大な権力機構としての王・皇帝の存在が欠かせないのに、まったく異色なのだ。

地球研では、強大な権力を持つ王は存在せず、交易のために人が集まって都市をつくった、と推測する。交易の場所が都市となり、少数の権力者が全域を統べるのではなく、ネットワークをつくっていた文明だったのではないか、というのだ。

文明が衰退したのも、雨が多くなって川が氾濫して農業に適さなかくなったので都市を捨てた……つまり戦闘などで征服されたり内乱で衰退したのではなく、環境に合わせて移動したという説を立てている。つまりインダス文明は滅亡せず、各地に分散して、それぞれが違う文明に進化したことが想像できる。

この新しいインダス文明の姿が正しいかどうかはわからないが、私には非常に未来的な姿に感じた。王のようなリーダーの権力や宗教的な力に頼るのではなく、各都市が自由につながり全体を機能させ維持するシステム。それを支えたのが交易ネットワーク……情報と流通というのは、まさに現代社会が向かう方向のように思う。

そして、このシステムから連想したのが、サルの群れだ(笑)。

野生のニホンザルの群れには、ボスがいないことを知っているだろうか。ボスザルの存在という概念は、動物園もしくは餌付けされたサルの群れから観察されたことで、野山のサルにはリーダーはいず、てんでバラバラに行動する。それでも各者の情報交換はあり、全体としては群れ行動を取っている。しかし、いやになれば離れていくサルもいるし、常に群れは棲むのに適したところを求めて移動する……。

そして、さらに連想したのが、かつての山村社会なのである(大笑)。

なぜなら、かつての山村は平地の権力(国)に必ずしも従わず、各村が独自の運営が行われていた。貧しいというイメージも平地の米文明の偏見であって、実は山野の資源は豊かだった。木材はもちろん、薪というエネルギーに鉱山資源、そして鳥獣、漁労など。ときにその資源を平地と交易することで、利益を得ていた。

ただ、村自体の人口は少なく、全体を統合するリーダーは登場しなかった。だから、最後は平地の政権に牛耳られるのだが……。

ときに中央政権への反逆者を迎え入れ、たとえば南北朝時代を演出したように、リーダーを求めることもあったが、いずれも失敗する……。そして近代になると平地との融合が進み、山村文化圏も消えたり別のものに変わっていく。

なんてことを、頭の中で考えてみたのである。

5000年前に未来的な文化圏と政経システムをつくり上げながら、巨大な武力を備えた封建国家体制に飲み込まれたインダス文明。しかし、地球規模で流通が進み、各地の自治独立が叫ばれる現代こそ、再び甦らせる価値があるのではないか? 

同じことは山村文化圏にも言えるかもしれない。そして飼育ニホンザルの再野生化も考えられる?(^0^*

イマドキ、強力なリーダーを求めるのは時代遅れなのである。

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コメント

たいへん興味深い内容ですね。

以前、ヨーロッパにアフリカから移動した人類の集団が、
二つあり、どちらも起源、力など同等程度だったが、
そのうち一つの集団だけが残り、ヨーロッパ全土に
進出した。
他の集団との差は、各地域に分散していても、
ネットワークで繋がっていたため、生き残ったのではないか。
と言われている。

>インダス文明は滅亡せず、各地に分散して、それぞれが違う文明に進化したことが想像できる。
この一文を読んで思い出しました。

おそらくNHKスペシャルの「ヒューマン」ではないでしょうか。
ホモ・サピエンスとネアンデルターレンシスの違いに、ネットワーク力があり、つまりコミュニケーション能力の差によって滅亡と生存に分かれた……なんて説を紹介していました。

ああ、そうでした。
よく覚えていらっしゃいますね。
わたしは、内容もまるであやふやです。

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