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森と林業の本

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2012/03/12

あほぼん・・・・若旦那の世界

NHKの朝ドラ「カーネーション」がいよいよ佳境だ。

糸子役も夏木マリに代わり、70歳を越えた晩年を演じているのだが、先週より登場しているのが、「あほぼん」だ。

あほぼんと言ってもピンと来ない人も多いと思うが、「ぼん」とは、関西でぼんぼんという言い方をする息子世代のこと。だいたい「ぼんぼんやなあ」と言えば、良家に育った甘やかされて出来の悪い2世3世のイメージである。

そこに「アホ」が付くのだから、「アホのぼんぼん」となり、完全に出来損ないの若旦那を意味する。

「カーネーション」には、父の仕事仲間の後継者である「あほぼん」が登場する。息子というより孫、曾孫世代だ。 

あほぼんのひいじいちゃんが、戦時中に金糸の入った布を大量に抱えたのに「贅沢は敵」というお達しで販売できずに困っていたところ、糸子はデザインを工夫してうまく売りさばいて見せるというエピソードがある。

そんな昔話を聞いていた呉服屋のあほぼんらは、仕入れに失敗して抱え込んだ反物を、糸子に持ち込んで売ってくれないかと頼む。糸子は「甘えんな」と突き返す。

通常なら、しょげて終わるところなのだが、ここからがあほぼんの真骨頂なのだ。怒鳴られても邪険に扱われても、お手玉投げつけられても、へらへらと糸子のところに通うのである。全然こたえていない。

ただ、怒られる度に少しずつ出方を変化させる。そして、最初は全部お任せでさばいてもらおうと甘えていたのに、最後は糸子ブランドを立ち上げ、デザインだけお願いし、販売努力は自分たちで行う、支払いは歩合制にする……など提案していく。

ここまで行けば、立派なビジネスである。怒られてもしょげないという「アホ」の勝ち(^o^)。そして指摘された甘えた部分、つまり弱点を少しずつ修整して再提案する。

また商売上はライバルのはずの「あほぼん」同士が仲良くつるんで助け合ったり、連携して人脈紹介し合ったり、と、親の世代には壁があったことを、いともたやすく越えて新たなビジネスにつなげる。


 

……なんで、こんなことを書いているかというと、あほぼんならではの強みもあるなあ、と感じたからだ。
もともと2世3世には、たたき上げの1世・創業者世代のたくましさには敵わないように思われがちだ。だが、1世の抱える弱点を軽々越える特性もあるのかもしれない。

そこで思い出したのが、NPO法人をつくっている宮崎の素材生産業者の2世の会「○○○維森の会」(笑)。いや、彼らがあほぼんだとは言いませんよ。アホなんて、ボンボンなんて、とんでもない(^o^)。超切れ者だっています。

ただ、彼らは、ライバル企業同士なのに仲がよくて、自分の会社の利益だけに縛られず業界全体のことを考えている。

そして、自らの施業方法を環境に配慮して行うべく「伐採搬出ガイドライン」を制定した(現在、これを認証制度まで格上げしようとしている)。さらに伐るだけでなく、植林も手がけて次世代の森づくりにも関与しつつある。世間に対する素材生産業者の悪いイメージを変えていこうとしているのだ。

まず自分の会社を大きくすることに必死だった創業世代にはなかなかできないことだろう。

 

日本は、史上かつてない高齢化社会に入っている。現在の社会制度は、その事態に十分対応できていない。しかし、社会の主役となる世代は確実に交代していく。新たな世代は、あほぼんになれるかもしれない。経済成長期に育った我々は、まだアホになりきれないかもしれんが……(^o^)。

まあ、本当に所帯を潰すあほぼんも少なくないが、時代に合わせて化けるあほぼんもいるわけだ。願わくば、3・11以降の世代には化けてほしい。その素質はある。

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