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2012/03/25

ジビエは森を救えない?

クマハギだけでなく、シカ害にイノシシ害と、獣害が爆発的に増えている。それは林業被害を越えて山村被害、いや農山村圧迫、そして農山村限界化へと進めている。

実際、農山村では、農業被害がひどすぎIrjw〔原因で、人が住まなくなってきた。高齢者のような年金生活者は、農作物で利益を上げるというより、自家用であり日々の楽しみでもあるが、それが失われることで集落を去る事態が進行しているのだ。

米や野菜を自給しているから「年金でも生活できる」状態が、全部購入するとなると金がいるだけでなく、そもそも買う店が近くにない。そして収穫ができなければ農作業も続けられなくなる。

そこで登場するのが、「食ってしまえ」案。イノシシ肉はもちろん、シカ肉も商業ベースに乗せることで、現金収入化を図り、さらに駆除を促進しようという発想だ。
ヨーロッパでは、ジビエと呼んで、野生動物の肉が人気ではないか。日本でも、もっと野生肉の需要を増やせば、狩猟で収入を得ることができるからハンターも増えるだろう……。

そこで長野の久保田淳さんの話を思い出した。

彼は、「狩猟肉の販売促進が、駆除数を減らすかもしれない」と指摘していたのだ。

というのは、ハンターが狩った動物は、たいていその場で解体して血抜きなどを施して肉にされる。さもないと、味が落ちるからだ。しかし、その肉は、流通させられない。食品衛生法だとかで、ちゃんと資格を持った人がしかるべき設備において解体しなければならないからだ。

狩場の近くに資格者と解体設備を揃えたところがあるのは珍しいだろう。

兵庫県丹波市に「丹波姫もみじ」の名でシカ肉を加工する施設がつくられ、ハンターが撃ったシカを買い取っているが、それは希有な例だ。ここだってシカの状態を見て買い取る。内蔵を弾丸がぶち抜いたようなシカはダメなのだ。

これまでは、ハンターが山の中で処理し、それを身近な人におすそ分けしていた。御礼を受け取って売買になったとしても、それは内輪の話。

だが、大々的にジビエです、とか言ってシカ肉などを販売しようとすると、この内輪の売買まで規制されてしまう。そのためハンターは利益を得られなくなり、駆除しなくなる可能性がある……。

なるほど、である。それに、衛生面だけでなく販売となると安定供給が求められるだろう。コンスタントにジビエが入荷しなければならない。
となると、シカを狩猟で仕留めるより、養殖した方が確実だ。野生鹿の飼育(^^;)。そのうち飼育していたシカが逃げ出して野生化したりして。本末転倒だ。

(実際、シカ肉販売していた業者がヨーロッパのアカシカを飼育して逃げ出した例がある。こうなるとシカ害どころが移入種の遺伝子汚染まで引き起こしかねない。)

私も、シカ肉をいくら販売しても、たいして量は捌けずに駆除も増えないだろう……と想像していたが、それ以上に難しい問題が潜んでいるのだなあ。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

 ある地区で、猪と豚を交配したイノブタを飼育していて逃げられたら、繁殖力が旺盛なため凄い数の猪?になってしまった! それがすべての原因ではありませんが、檻(おり)などで年間300頭以上の補獲があった年もありました。

私も、現状の制度の下では、食べることはあまり本質的な解決にはならないと思います。

さらに、商品販売となれば、殺してからの時間も大事なポイントでしょうし、部位別流通も。高度に機械化された牛や豚と価格競争力があるのか、疑問でもあります。1kgで3000円を払うなら、鹿児島黒豚が買えますが、あれよりおいしい肉はないと言ってしまってもいいです。

でも、お客さんが来た時に、ちょっと珍しい料理を出すとか、そういった材料にはしたいところです。いくつか、料理法は勉強したところです。

イノブタ問題もありますねえ。イノブタを飼育しなくても、ブタが逃げ出すとイノシシと交配する(そしてイノブタを生む)といいますね。生駒山のイノシシも、イノブタ説が根強いし。

そしてジビエは、珍味としてはいいのだけど、味と価格というコストパフォーマンスを考えたら、そんなに売れないでしょうね。人間がオイシイと感じるのは、基本的に脂の味で、それはジビエには少ないから。ヘルシーだけでは毎度食べません。
シカ肉の赤身の刺身は美味いけど(^o^)。クジラと並ぶな。

橿原の中華料理店のマスターが、特別に、能勢の鹿を手に入れてさばいてくださった鹿尽くしの宴にご相伴させていただいたことがあります。その食材の一部であった立派な角を手にとりながら、おそるおそるいただいたお料理の数々でしたが、どのお料理もとてもおいしいでした。田中さんが、おっしゃるように、お刺身は、真っ赤でびっくりしましたが、本当においしいでした。

ジビエでは獣害は減らせないです。
大型囲いわなで生体捕獲して養鹿後に
食肉処理という方法もありますが、そ
こにたどり着くまでに越えねばならな
課題が多々あります。
銃猟では難しいでしょう。個人規模な
ら括りわなならいけるかもしれません。
でも、今度は商売として成り立つか、
難しいところですね。
駆除は駆除、ジビエはジビエと分けて
考えないとどっちつかずでどちらもう
まく行かなくなると思っています。

奈良の橿原で大阪のシカ肉ですか? まあ、奈良公園のシカを肉にしろとは言わないけれど(^^;)。やっぱり流通が大切なんでしょうね。
そして、料理法。なれない食材だけに、しっかり研究しないと、いくら販売しても不評になってしまう。

生体捕獲は難しい上に、その後の処理を考えると、飼育繁殖したくなりますよね(笑)。

むずかしいですね。

実際、やはり高齢化している、うちの集落でも、食害対策にかかる費用や労力によって、自家用のための耕作と栽培が、維持できなくなり、危機的な状態にありますから、【駆除→活用→食材→できれば付加価値を付けて商品化】という過程で、一石二鳥な事ができればいいとは想いますが・・・。

でも、こういうモデルとなるかたちができると、どこでも一様に展開しようとするので、ご指摘のような非合理的な部分が、欠点として取りざたされるようになるのではないでしょうか。?

わたしは、こういうことができる条件がそろっている所でやればいいと思いますし、それなら特徴ある商品としての差別化も可能でしょけど、全国一面に展開というのは、やっぱり無理があるとは想います。
でも、それとは別に、山村の食文化として、地域で受け継げればいいと思います。

やはり、ニホンオオカミの代わりのニッチを担う生き物を放す?無理ですよね。

有害とされているシカを、食用という価値のあるものに変えるという発想は、素敵だと思うのですが、なかなか、うまいやり方が見つからない。でも、方向は良いと思うので、こうやって、ブレーンストーミングをしていけば、どこかで良い方策が見つかるのではないか、と期待します。

もちろん食肉化できるところはすればいいんです。でも、それで獣害が防げると過度な期待を持たないことでしょう。また行政が無理に推進すると、法絡みで逆効果も生まれるわけです。

むしろ、法律をゆるめることも考えたらいいと思う。現在の駆除は♂の成獣に限っているけど、妊娠している♀も撃つことを認めるとか、猟期を延ばすとかすれば、狩猟効果も上がります。
ただし、それで絶滅に追いやらないような歯止めも必要なわけで、そのさじ加減を決めるには、もっと徹底的な生態調査が必要ですね。

そのおすそ分けでいただいたの食べるの大好きです。
でもたまに、獣臭いのに行き当たることも…。
売り物だとそれは許されないでしょうね。

動物園の猛獣の餌にしてはどうか?
という話を聞いたことがあるのですがその後は確認できていません。

銃の規制が厳しいのも大きな関門です。

シカ刺し、うまいですよね~。
私は、ごま油に塩!
ユッケがダメなご時世、シカ刺しも正規に食べようとすると、ものすごい高価ものになってしまうのでしょうか?

そう、それから内緒の話として、新芽を食べた後の夏シカ(猟期以外)はうまい!
と聞いたことがあります。

繰り返しますが、聞いた話です!

新芽を食べた夏シカ……もうすぐ新芽の季節ですね(⌒ー⌒)。

和歌山は太地のクジラもあるし、ユッケが事実上食べられなくなったことを嘆く諸君と、山と海のユッケ大会を企画できんだろうか。
ああ、もちろん夢想です。猟期以外のシカとクジラを刺身で食べるなんて……。

田中様

私も昔、和歌山県で冷凍した鹿肉の刺身を頂きましたが、とても美味しかったです。

鹿の増えている中山間地は限界集落化。
全国の狩猟者も高齢化。
ジビエ料理は商売としてまだ未熟。
新聞記事にはなるが、食べる量が少なすぎ。
肉屋に毎日、牛や豚肉のようには並ばない。
等等。
おっしゃるとおりです。
やはり,地元経由で初めていくしかない?

山にある旅館等で、料理の一つとしてお客に出すのが一番でしょうね。
そこで、猟師が契約して販売するのが一番現実的でしょうね。

そうですね。広い販路の獲得をめざすより、地元の産品として少数のレストランや宿に卸すのが現実的でしょう。
地域づくりのネタにはなりますが、獣害対策とは別の次元ですね。

 Iターンして10年、銃猟始めて7年のきこりです。
私の勤務する森林組合は、来年は運営資金がショートし、解散なり全従業員解雇も目に見えてくる予定です(笑)。
 入ったときから「いつかはこうなる日」が来ることを予想しおり、そして自然好き-組合従業員に自然好きはそれほどいないーですので、地域の山林の「鹿スポット」を把握することに勤しんでおりました。
 これで、有害鳥獣駆除と、組合を通さずに山林主から施行を任されている分で、いますぐ組合が潰れても食い扶持には困りまらない状態になっています。(…駆除とはいえ、食べない生命を殺すのは、気が進みません…サルも駆除すれば、組合で働くより1.5倍は稼げますが、心理的抵抗が強くて…)

 数年前、BSE騒ぎの時に、それまでの獣肉流通が保健所の指導で出来なくなり、猟友会のオジイサンたちが「困ったことになったなあ…」
 そこで、ネットで集めた各地の鹿・猪処理場の資料を見せて、「こういうものがあれば、よいのでは?」と軽い気持ちで言ったところ…半年後、町長に陳情“させられ”ました。(町長といっても、オジイサンたちにとっては、従兄弟・幼馴染・同級生…田舎は恐い(笑))
 そして、出来てしまいました…そこまではまあ良かったとして、その町長引退後、「新しいこと好き」の新町長が、「ジビエをわが町の名産に!」とぶち上げ、キャンペーンやら規模拡大して、町の赤字を膨らましています…余計なことを言ってしまった気がしてなりません。

A森林組合さまへ。

 こちら和歌山南部では、「有害鳥獣駆除」が郡内どこかの地域で年中出ている状態ですので、猟期以外の鹿肉もなんら問題がない(厳密には法的に問題があります。)
 本当の「あくまで聞いた話」というのは、“ごんぞう”の肉は美味い、というヤツかと…皆伐跡の岩場で跳ねてるヤギさんですね。

おお!どなたかわかりませんが、ここで私への呼びかけがあるとは、想定外でした。
(田中さん、場所お借りします!)

う~ん大変そうですね。私も他人ごとではないのです…。
どこかな?どちらにしても、そんなに遠くないところに住んでそうに思います。

猟に関しては、いただくのが専門なので、そこいらはよくわかりませんが、確かに、獣害に季節は関係ないので有害駆除はしょっちゅう出てるみたいですね。
まあ、「内緒やぞ」って言いながらの話だったんで、その人のは、きっとほんとに内緒だったんでしょうね!

まあ、いろんな意味で、何とか食いつなぎましょう。

リアルな話が出てきましたね(^o^)。来年は資金ショート……。
でも、狩猟で食い扶持が困らないくらいなら立派です。

島根県でも駆除の夏イノシシの商品化を手がけた自治体がありましたよ。計画は危なっかしかったけど。
ヤギ? カモシカの肉も美味いらしいですね(⌒ー⌒)。

興味深く読ませて頂きました。確かに有害獣を商業ベースで拡大していくことは非常に困難を極めますよね。私の知見では、例えば猪の場合、一頭から食用肉、ペット用肉、漢方薬、マタギと4種類の活用方法があるように思います。
それぞれの業者が自分たちの必要部位のみを珍重するようであれば、ハンターしかり、野獣を処理する施設しかり、収益は見込めないでしょう。
高いのに低品質というのは、いくらCSRのバックボーンがあろうが、一時のブームに終わることは火を見るより明らかなように思います。
一つの組織が、新たな市場を作るつもりで取り組まなければ難しいように思います。そのスキームが出来れば、この問題を抱えている約2000自治体にアウトソース出来るとも思います。
その事業を現在、都内を中心に岡山県と取組んでおります。
将来性はまだ見えておりませんが…。

垣木様
岡山で事業化に取り組んでいるんですか? たしかに、最初にビジネスモデルを確立する団体が大変ですね。
私は、もっと毛皮を使えないのか、と思うのですが……。毛皮なら食品衛生法とか引っかからないし、ストックも効く。鹿皮の用途を開発できればね。ま、野生の毛皮は傷だらけのような気もするが(^^;)。

愛知県設楽町では、名倉にある道の駅アグリステーションで「設楽鹿のジャーキー」と「設楽鹿ボーロニャ風ソーセージ」を販売してます。設楽ブランドですね。
設楽鹿ジャーキーはすぐに売れて品切れ状態だそうです。
設楽鹿ボローニャ風ソーセージは200gで800円です。食べましたが、まあまあですね。
設楽の猟師がくくり罠で取り、どこかで解体して肉にしてから豊橋にある工場でジャーキーやソウセージにしてから販売しているようです。1年ほど前から販売しているとか。
猪も同様に解体して、設楽猪ジャーキーにしてますが鹿の方が良く売れるとか。
儲かっているかどうか不明ですが、ご参考までに。

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