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森と林業の本

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2012/03/18

木製サッシ~アメリカの品質感覚

奈良で、「日本と南ドイツの「山から家まで」の比較論」という講演会があった。

主催は建築家の団体なのだが、講演者は長野県林務課職員の久保田淳さんであり、南ドイツ報告も、アノ森林林業再生プランのモデルとなったフライブルク周辺である。

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中身はなかなか含蓄があったのだが、一つ興味深かったのは、ドイツではなく、アメリカ・マーヴィン社の木製サッシ工場まで出かけて、見学した話。

そこでは、長野県の木材を持って行って、それで木製サッシをつくれないか試してもらう……という企画があったようだが、答はなんと門前払い。

いや、試験しないよ、という意味ではなく、持ち込んだ試料の木材が使い物にならないと言われたのだそうだ。

乾燥の足りなさや、モルダーの際のわずかな傷、小さな節、歪み……などが、サッシには向いていないと判断されたという。持ち込んだのは、カラマツ無垢材のほかフィンガージョイントも、厳選したものだったはずだが、コテンパンだったよう。かろうじてパスしたのは、木曽檜材だったという。

たしかにサッシは、わずかな歪みで隙間ができて水や風が侵入してしまう。また強度やデザインも難しい。だから、商品の品質を高めようとすれば、素材の品質が問われる。

これまで日本人は、概してアメリカ製は大雑把、多少の欠陥は目をつぶる国民性……と思い込んでいなかったか。そして日本人の方が、きめ細やかで繊細な技術を持っていると。

しかし、すでにアメリカの方が日本より厳しい基準を持って商品づくりに臨んでいるのだ。少なくても、木製品に関しては。日本の工務店は、ガタガタ、隙間だらけの家づくりも得意だかからね。
まあ、日本の消費者がきめ細やかく? 細かな欠点まで追求するのは事実のようだが。

これを聞いて、私は何を考えたか。日本も、もっと木材の品質管理に厳しく取り組み、国産の木製サッシを実現すべき……か?

いや、反対だ(笑)。もう、木製サッシなんて、無理につくらなくてもいいんじゃない?

だって、そんな品質を追求されたら、使える木材はごくわずか、大トロの部分だけを持ち去り、あとは「欠陥材」だと破棄することになりかねないではないか。まだまだ日本の木材は、太さはイマイチだし、手入れが行き届いた森林も少ない。つまり、適した材は少ないのだ。

結果として、木曽檜のような稀少材だけを使うことになってしまう。

木製サッシに、木材のもっとも優秀な部分を使うのなら、残った部分を何に使い回すのかも計算したうえでないと、資源の無駄遣いになりかねない。まさか、全部燃やして「バイオマス・エネルギー」というんじゃないだろうな。

いっそ、アルミサッシの上に木材を張り付けて、木製風サッシを開発したらどうだろう。

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コメント

目からウロコが落ちた音が聞こえました・・・。
以前はアメリカ製の木製サッシは木目はささくれてるし、歪んでちゃんと閉まらないとか、クレームの塊と聞いていました。
日本でも木製サッシの会社は沢山ありましたが、どれも天文学的数字の価格だったのは、そんなクレームに応えるために掛かるコストがハンパじゃあないと聞いたことがあります。
マーヴィン社の価格(品質)がどれほどなのか知りませんが、この情報はトンデモ良い情報です。いつかどこかでウンチクに使わせてもらいますm(_ _)m・・・。

久保田さん、そんな活動されていたんだあ(前職が一緒なのです)。サッシの商品化のために国産材を海外に持って行って…という話、他でも聞いたのですが、流行ってるのかしらん?

マーヴィンの木製サッシ、かつては評判悪かったそうですね。
でも、すっかり品質はよくなったのです。アメリカも、韓国も、中国だって、どんどん進歩しています。

日本も、過去の栄光にしがみついていたのではダメです。まあ、木材業界は、過去だって高品質な商品つくっていたかどうかわかりませんが。


久保田さんと前職が一緒とは! 
ただ、肝心の久保田さんの現在は、鳥獣関係なのです。せっかく熱心に木材振興に取り組んで、ドイツやアメリカまで行ったのに、転勤で……。
もちろん今の職場でも頑張っているようでしたが、せっかく身につけた知識や経験をあっさり捨て去らせる転属は、公務員業界の悪しき習慣ですね。

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