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2012/04/04

小学生の吉野割り箸論文

tetudaブログ「日々ほぼ好日」に、「吉野割り箸vs中国割り箸」と題して、当方でも「吉野割り箸のコストパフォーマンス」として取り上げた奈良町情報館の吉野割り箸売り込み記事を紹介している。
そして、当方のブログも引用されているし、『割り箸はもったいない?』のリンクも張ってくれている。

ここでは、当の藤丸くん情報として、3月末で41件の受注、今週中には50件を越えそうだという。営業も、東京だけでなく大阪や祇園(京都)も回っているらしい。関西圏なのに、吉野割り箸を知らなかったの?と驚くが、価格設定を間違わずに売り込み先を選べば、短期間にこれほどの受注が可能なのだ。

興味深いのは、コメント欄。ここには、価格のつけ方のいい加減さを指摘している直で買っても卸で買っても値段が一緒だったりする。また製造元が同じでも卸によっては、価格がバラバラ。ほとんど気分で価格を決めているケースもあるようだ。

ようは、直販で安く売ると、問屋に文句言われるのが怖い、という心理が働くようだ。このがんじがらめの心理が、流通改革を阻んできたのかもしれない。

現在の価格は安すぎて困る、と文句いいつつも、問屋支配から脱出はしないのだ。多少のリスクは背負っても、自ら販路を切り開く気持ちがあればよいのだが……。

ところで、tetudaブログの前日には、次のような紹介もある。

「吉野杉でつくられた環境に優しい割り箸」という卒業論文

帝塚山小学校の塚本奈都子さん、つまり小学生の卒論なのである! 400字詰め原稿用紙30枚以上にもなり、奈良新聞に掲載された。

いやはや、大学生が割り箸論文を書くことはたまにあって、私の所にも来るのだが、小学生とはね……。奈良の小学生は意識が高いぜ。

内容は、私も知らなかった(^^;)ことも含んでいる。よく調べたものだ。

あえて問題点を指摘すると、やはり「日本の林業は、海外の安価な木材に押され」という言葉が入っていることと、「現在、日本国内では年間250億膳もの割り箸が使われているが」と記してあること。

「安い外材」という言葉は今更だが、現実に林業家や学者までが平気で使っているのだから、小学生がそのように思うのはしょうがないだろう。

そして割り箸の消費量を年間250億膳というのも広く出回っている。なぜ、この数字が広まっているのかと考えるに、これは拙著『割り箸はもったいない?』のためだと気づいた(^^;)。

私がこの本を出版したのは2007年だが、執筆したのは06年。そして06年に手に入る統計資料は前年度のもの。つまり2005年だ。この年は、たしかに250億膳程度だったのである。

これが世間に流布したらしい。

実際には、その後最高値として259億膳まで行くものの、急激な減少にあって、現在は190億膳を割っている。

残念ながら私が5年前に記した数字がいまだに一人歩きしているらしい。

ま、そんな枝葉末節のことはどうでもいい。やにわに、国産割り箸へ目が集まってきたではないか。

……そんな時に『割り箸はもったいない?』が配本中止とはね。。。

近く「割り箸最新事情」を添付した新生『割り箸はもったいない?』の直販を始める。割り箸のセット販売もできたらいいな、と思う。

 

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割り箸」カテゴリの記事

コメント

セットで付ける割箸には「田中淳夫」もしくは「田中産割箸」の焼印を押して、ウチが無償提供しましょ!

PRの一環として極めて重要だと考えております^^
さすがに何万膳も出ませんよね?(笑)

>小学生の卒論

 ・・・まさか、NHKの「社会のトビラ」の例の回見たから、そんな
一文(安い外材)が入ったのか!!??(爆)
(丁度、あの番組は小学生高学年向けだし・・・(^^;))

おお! 私の名前は恥ずかしい(それをもらった人が使う気にならんでしょ)から、「割り箸・命!」とか「割り箸愛」、割り箸万歳」「愛をこめて♡」とか。気持ち悪いか。

何万膳も必要なほど本の在庫があったら、売れていない証拠です(^^;)。

「安い外材に押されて」の文言は、いたるところに溢れていますからねえ。ネットにはとくに多いから、誰もがひっかかります。

割り箸盛り上がりますね!

子供はみんなパシッ!と割るのが大好きですし
昔懐かしい、割り箸のゴム鉄砲も楽しいです。
うどんには割り箸が一番ですし、
何より建材にならないが、実は木材の最上級のところの細切れ、ネギトロのようなものですから、
官能素材としての木材との遭遇、木のフアンづくりの第一歩!
割り箸で国産材・林業の普及活動です。

売らせてもらえば、うちが道の駅をしている意義も見いだせます。

セット販売、楽しみです(ワクワク)。

「外材に比べ、品質性能に劣る国産材だが、技術によりその欠点を克服し、シェアの拡大を図っています。」と林業白書に書いて欲しいところですね。しかし、シェアの拡大は、分母が小さくなっているだけとの声もある。需要量が3割落ちれば、50%超えも夢ではない。そうはなってほしくないが・・・

私も頑張って、黒芯割り箸広めます。
15日まで、名古屋の東急ハンズで売っていますのでぜひ。

「国産材割箸」がじわじわと広まって来ています、皆さんのガンバリが功を成してきたという事でしょうね。

ところで「国産材割箸」はよく目にするようになりましたが、どうして「杉の割箸」とか「桧の割箸」とかが目立たないんだろう・・・。と密かに思っています。
特に杉は日本固有の樹種なんでわざわざ国産材を入れる必要がないし香りも好いから「杉」とか「桧」をもっと前面に出したらいかがでしょうか・・・。

国産材と外材の関係は、製材でも割り箸でも似ているんです。流通や安定供給の問題とか、シェアの推移は。
割り箸も、全体の需要が縮んだ分だけ、国産比率が高まっています(微々たる数字だけど)。

スギ、ヒノキの名は、関係者には国産の象徴なんだけど、一般にはどうでしょう……。スギを花粉症がらみで嫌う人もいるし。
ヒノキは木材としての人気はありますが、割り箸の素材としてはスギに劣るとされます。

ともあれ、割り箸も本も、売ることに頑張るしかないですわ(笑)。

>スギを花粉症がらみで嫌う人もいるし。

なるほど納得です。

ところで今日のCNN「折れたバットから箸 環境への配慮と技術伝承の両立目指す」
http://www.cnn.co.jp/fringe/30006132.html?google_editors_picks=true
でも「日本の割り箸の使用量は年間約240億膳と中国に次いで世界2位」
と報道してますね・・・

中国が1番と認識しただけでも進歩ですよ(^o^)。
そもそも割り箸は、日本だけのものだったんだから。それが中国を席巻していると思えば、日本文化の輸出に成功したことになる。。。

驚きました。興味を持って頂いてありがとうございます。旅館をやっておりまして、別に割り箸に限らず、こんな事が日常茶飯事に起こりますから、普段の経験則として書かせて貰いました。

基本的に、同一商品でも、沢山売る店は仕入れを叩けます。また、流通経費も1ロット当たりが少なくなるので、等比配分すると安くなります。大量生産・大量消費が、コストを下げる、と云う理論になってくる訳ですが、ちょっと学問と異なる所が、同等の問屋でも、価格差が存在する、と云う事なのです。ちょっと合い見積もりを出させると、全然違う金額になって、こちらが疑う事も有ります。消耗品だけではありません。電化製品や厨房用品、事務機器等々、オープン価格、と銘を打った商品に顕著な様な気がします。

しかし、こういう事は、私は現在が過渡期の様な気がしています。価格COMなどを見れば、一目瞭然になりました。

同一商品はどこで買っても同一価格、と云う経済の原則をそのまま鵜呑みには出来ないにせよ、価格の信用力と云うモノが失われている現状は決して良くない、と考えています。

今後とも宜しくお願いいたします。

tetudaブログのコメント欄の方ですか。ようこそ!

私も、ある農家が、肥料を農協から仕入れるのを止めて相い見積もりを取ると、半額になった例を聞かせてくれた例があります。卸価格の設定は、実はかなりいい加減だという証左ですね。
ネットも含めて情報が公開されることで、この差額が縮まることに期待したいです。

あ、その塚本さん、うちの吹奏楽部のふた学年上の先輩だ(すでに卒業したが)
しかも妹同じクラスだし
うちも来年にはかかんならんねんなー

塚本さんは、もう卒業していますよね。
その後、どんな活動をするか楽しみですね。いや、割り箸にこだわれ、というつもりはありませんが(^^ゞ。

娘さんも、ぜひ身近なところから世界に広がるテーマを見つけてください。

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