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森と林業の本

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2012/04/01

万博公園の「新里山」計画

大阪万博記念公園と言えば、万博会場の広大な跡地に人工的な森~里山をつくり上げたことで知られる。

実際、40年ほどで、これほどの大木のある森が育ったのだ。森だけでなく芝生広場のほか雑木林にブッシュに畑、小川が流れ、豊かな自然を取り戻した。

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森の裏手には、こんな圃場もあり、里山的景観を作っている。




                 

      

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こちらは、樹上を巡る回廊「ソラード」。


私に言わせれば、東京の明治神宮、西の万博公園(^^;)というべき人工の森である。

この森については、私も『元気になる! 日本の森を歩こう 』に記した。

が、運営する日本万国博覧会記念機構が、このほど「新SATOYAMA宣言」を発表し、行動計画を策定した。

http://www.expo70.or.jp/forest/pdf/h23/seibututayousei_01.pdf

これによると、万博公園の環境は、必ずしもよい状態ではないらしい。

多様な樹木を多数植栽したにもかかわらず、一部の樹木以外の樹高成長は緩慢であること、しかも高木層のみの単相林となり、中木層・低木層・草本層が消滅した状態であること、また、その結果、生物多様性に欠ける」とある。

オオタカが営巣するものの、キジやヒバリ、モズ、ホオジロなど草原の鳥が1990年頃から減少し、かつて万博記念公園に生息する「野鳥の顔」と言われたキジは、もはや姿を見ることができないらしい。そういえば、私も以前はキツネを見かけたというが、もういないと聞いた。ほかにも姿を消した植物や動物は多いだろう。

これまで、放置による里山の交配が進むとよく言われるが、わかりやすい事例がなかった。本物の里山は広すぎて調査が行き届かないいうえ、環境変化の要因が単純ではないからだろう。そのため結論を出しにくい。

しかし、万博公園なら一元的に管理しているし、社会的な諸条件が顕著に影響せず、人が手を入れずに遷移が進むことで生物多様性が失われるという、よい事例になるのではないかと思う。

と同時に、それを防ぐために「新SATYAYAMA」という言葉を使っているのも気に入った。

単純な里山復元とか保全ではないのだ。

もともと里山を昔のような形で維持するのは不可能なのだ。農業・林業を含む社会全体が変化してしまったのに、自然環境だけを昔のようにもどすのは無理というより、やってはいけないと思う。

必要なのは、新たな里山(ここでは、生物多様性が高く、人も楽しめる場所・・・という程度の意味)にしなくてはならない。

たとえば棚田は水田だから季節ごとに水が張られて美しさと水辺環境をつくり上げたが、小さな面積の水田を何百枚と水田耕作するのは現代では無理だと感じていた。

ならば、小さくてもよい、小さな方が喜べる市民農園・市民庭園にでも分譲した方が現実的だろう。その結果、里山の景観は変わるが、生物多様性は別の形で保てるし、市民はお金も落として喜ぶ。つまり自然と人間の利益共存が図れるだろう。

雑木林も、新たな使い方を考えたらよい。草原も池も小川も、昔とは違う使い道を考えて、新しい里山を作れないか。

そう考えていた。万博公園の行動計画がそこまで考えたものかどうかは知らない(^^;)が、昔にもどすのではない里山づくりの実験につながれば幸いだ。

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コメント

こちらに書きます。
「100年後の自然林」を想定した「明治神宮の森」は設計通りの森になったが、こちらは植生を間違えたとか想定外ということ?
本多静六氏が偉大なのか、それかこちらも「想定内の実験中」という事なのでしょうか・・・。
何れにしろ、吹田JCを越えた当りのあの周辺ですよねぇ・・・。
あそこなてにキツネが棲める森があるとは存じませんでした。

私、万博跡地の緑化を設計した人に話したことがありますが、「第三の自然」づくりを言っていました。原生自然とも人工的な庭とも違う、人が手を加えた自立的な自然。
まあ、明治神宮と万博公園は思想が違うからね~。

でも大きな眼で見たら、同じく遷移する自然を作っているのだと思いますよ。個別に見たら、想定外の部分もあるでしょうが。

キツネは稀だと思いますが、タヌキは結構いるそうですよ。

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