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2012/04/16

林業時間は早くなったのか

先日、ある人と話していて、「森林関係の古い本を復刊(電子書籍とか)できないかと考えたが、林業関係の古い本は、現在使い物にならない」という話題になった。

林業関係と言っても括りが難しいが、たしかに産業面から森林を見た場合、少し古いだけで現状との差が大きすぎる。森林生態学や造林レベルならまだしも、伐採・搬出・製材、そして需要全般では、あまりに変化が激しかった。

とにかく5年刻みで変わっている。

「木を植えろ」が、「間伐しろ」に変わり、

「間伐材は使い道がない」と言っていたのに、いまや「間伐材を使いたい」人が増え、

気がついたら、禿山が増えてしまった。

今更、磨き丸太などの役物を取り上げても、どこか別の国の話みたいだし、搬出の架線話も時代遅れになっている。地球温暖化にひっかけた林業振興策を訴えているかと思えば、国産材の中国輸出を試みる。

私の本も、古くなったか?

『「森を守れ」は森を殺す』が古くなったから『日本人が知っておきたい森林の新常識』に書き直したし、
里山再生』をリニューアルして『いま里山が必要な理由』にした際には、単に修正するだけではなく増補で新しい動きに触れておかねばならなかった。
そうそう、『割り箸はもったいない?』も、出版後の状況変化が激しいから直販するにあたって私家増補版を付けることにしたし。

そういや、10年たっても古びない内容にする、と啖呵を切って書き下ろしたのは『森林からのニッポン再生』である。だから、この本には最新事情は書かなかった。その変わり、林業界の最新の大変化を『森林異変』に描いた。

一般に林業は樹木の時間で動いていると言ってきたのだが、もはや人の時間に飲み込まれたのかもしれない。

しかし、やはり木は、木の速度で生長するのである。どうしたって早く育たない。早く育てたら、問題が出るだろう。
動きの早い社会の経済・産業界の変化に対応することは必要だし、機械や技術の進歩は結構なことなのだが、理念や政策まで右往左往しちゃいかんでしょう

初期の目的を忘れず、社会を変化を取り込みながら、軟らかに対応する方法はないものか。社会情勢が変化したから、以前の事業なり政策を破棄して新しいものを持ち出そうとすると、樹木の時間を無視することになる。

思えば官僚も政治家も、数年で入れ代わる。役職や担当分野が移り、場合によっては退任する。で、新たに席に着いた人物は、たいてい前職者の仕事を否定するね(~_~;)。

そのまま引き継ぐのは面白くないから力が入らないし、自分の独自性を出したいという欲求があるから新しい事業や政策を考える。結果、数年ごとに政策が変わる。が、また数年後に配属が変わって最後まで手がけられず、その施策は次の担当者の手で放置される。その担当者はまた独自の事業がしたくなり……。

その間も、やはり木は木の時間でしか生長しないのである。

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コメント

国民の寿命は長くなったが、内閣は短命である。
政治に継続性がなくて困っている。
大臣の資質を問う者は多いが、それを選ぶ国民の資質を問う者はいない。
この世は仮の世。
まっとうな世の中は、この世の外にある。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/

林業・森林経営関連の書籍の電子書籍の話は、つい先日妻としたばかりでした。彼女は最近まで小さな英文書籍の出版社で電子書籍化の業務を担当していたのでその分野に明るいのです。技術的にはそんなに難しいものではないし、一般書以外のものは電子書籍化していくのが流れではないか、ということでした。

たとえ古い情報になったとしても、現状を分析するうえで過去の情報というのは重要です。そういう意味で、個人的には過去の書籍の電子書籍化の普及を望むものの一人です。海外に暮らしていると日本語の書籍の入手が困難なので、その欲求はさらに強くなります。

もしかしたら、政治の劣化、国民の劣化(先を読まず、目先の対応しかしない)のは、寿命が延びたからかもしれません。
しかも寿命の重心は、高齢へシフトしている。すると、先を考えず、変化を好まず、社会を考えない。


私は、専門書ほど電子書籍にしてほしいんですけどね。専門書は少部数だから値段が高いし、書棚に並びにくい。しかし電子書籍なら息長く売っていけるし、値段も抑えられる。そして、検索で見つけたらすぐ購入できる。

まあ、私の本は、電子書籍向きではないかな(~_~;)。

田中さんの本は紙編・電子編ともに出すのはいかがでしょう。

電子編は必要に応じて増補する。

電子編購入者には増補編代だけで買えるようにする。

時代の変化に適うと思いますよ。

電子書籍に関しては、出版社も苦慮しているようですよ。一見、先進的なように見えて、実はビジネスモデルが確立されていないので……。

まあ、試行錯誤されて落ち着くところに落ち着くでしょう。私は、それに乗りたいな(^-^)。
実は、すでに拙著の電子版の話は昨年から進んでいるのですよ。でも、権利関係の整理が難しかったり、結構大変らしく、なかなか実現しない。仮に実現しても、「売れるのは年間5冊くらいかなあ」と言われました(^^;)。

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