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森と林業の本

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2012/04/09

林地残材を31,8円で!

以前にも話題にした再生可能エネルギー全量買取制度における、未利用木質バイオマス(ようするに、林地残材)の希望買取価格

調達価格等算定委員会で要望されたのは、なんとキロワット時当たり31,8円だそうだ。

20円だと1立米1万3000円にもなる! と紹介したが、この価格なら2万円近くになるんじゃないか。これが実現したら、誰も製材や合板に木材出さずに、みんなチップにして燃やしてしまうだろう。

また一般バイオマスの買取価格は25,2円、リサイクルバイオマスは14,5円と要望し、買取期間は20年だという。なるほど、20年間も上げ底価格で山の木を切りまくって、禿山だらけにしたころに補助も打ち切られて、さっさと撤退か。

この価格を提案したのは、グリーン・サーマル株式会社だという。この会社は、バイオマス発電を進めるために設立された会社だとかで、最近では、福島県の会津若松市に林地残材による発電所を建設を進めている。

そりゃ、委員会では高く吹っ掛けて、その後の審議の中で削られて落ち着くところに落ち着く……という作戦ならよい。この委員会のほかのメンバーがどの程度林業のことを知っていて、真っ当な経済原則に則って計算できる頭の持ち主なのか知らないが、まさかこの価格が通るとは思えない。

しかし、バイオマス発電と言えば錦の御旗になって、高めの金額に決まる可能性がある。

今やバイオマス発電を巡っては、怪しげなコンサルもどきが全国各地の林業地域を徘徊している。ようするに発電所建設も補助金とファンドに頼って自腹を切ることなく進めようという算段だ。しかし、本気で林地残材を集められるかどうか、現場を調査しているのかどうか……。

そして、サーマル(熱→発電)利用というのが、非常に効率が悪くて、林業の中でも最終段階に位置づける利用法であることを理解しているのだろうか。
いまだにバイオマス発電を林業の救世主だと思い込んでいる人も少なくないが、もっとも質の悪い用途なのである。

算定委員会には、もっと林業通を送り込むべきだ。

そして、A材もB材も、C材、D材も同じように林地から運び出せるシステムを構築することから始めたらどうだ。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

山づくりしてきたんだ!
て誇りも何もゆらぎそうで怖い…。

これで借金全部返せるかも……なんて思いますね(⌒ー⌒)。

もちろん、木が高く売るのが商売で、林業経営的にもプラス、という考え方もあるでしょう。

しかし、本当の意味で社会に木材(林産物)を供給するという使命感を忘れたら、長い目で見た林業は成り立たないんじゃないでしょうかね。

おはようございます。
「20円だと1立米1万3000円にもなる! と紹介したが、この価格なら2万円近くになるんじゃないか。これが実現したら、誰も製材や合板に木材出さずに、みんなチップにして燃やしてしまうだろう。」
という指摘に驚きました。
一リューベが、そんなにしたら木材生産しませんね。
半額に落ち着いたとしても6000円ですから!

せっかく育て上げた人工林の利用は、林地残材だけを利用するのではなくて,製材をして出てくるおがくずや樹皮を燃やして熱利用し、その際にでる林地残材をバイオマス利用するのが、いうまでもなく正しいやり方ですね。

ウチにも営業が来ましたよ!会ってはないですが、よくやるなあって感じがします。この業界の現状を知らないとしか思えないのですが・・・

・・・なんだか、怪しげな「水資源」投資話より、やっかいな話に
聞こえてきますね~(^^;)大丈夫か、林業界!?
(マジに、田中さんの心配どおりになりそうで、こわいです・・・)

この手のにわか仕込みコンサルは、林業やバイオマスエネルギーに興味があるのではなく、単に自治体などをカモにするビジネスネタを見つけたという意識でしょう。事業が成功しなくてもいいんです。

そのうち、引っかかった事例が見つかりそうだな(-.-)。

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