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森と林業と動物の本

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2012年5月

2012/05/31

国会図書館の雑木林

このところヒマなので? 文献漁りをしている。次の執筆に役立つか、どうか。

この稼業、空をつかむように情報のアンテナを張っておかねばならない。いや、アンテナのように向こうから飛び込んでくる情報には限界があるから、自ら発掘しないといけない。
ヒマなのは、天がこの時間を与えてくれたと思わねばならない。

今はインターネットで何でも情報が得られるように思いがちだが、まだまだ。古い文書類は、そう簡単には見つからないし閲覧もできない。そこで役立つのは、やはり図書館だ。

わが生駒は、奈良県立図書情報館、大阪府立図書館どちらにも同じような距離にあり、なかなか有利だ。大阪の図書館は歴史もあり、その規模も大きいが、歴史や山村、林業関係となると奈良県側に一朝の分がある。

ただ、いずれにしても学術関係、それも林業などの文献を収集しているわけではないので、イマイチ質量ともに物足りない。かといって、大学などの研究所のような専門文献へアクセスできるルートは少ない。フリーランスの辛いところだ。

しかし、強い味方がいた。

それは国会図書館だ。……と言っても、東京ではない。国会図書館関西館が身近になるのだ。それは京都府精華町、いわゆる京阪奈学研都市内にあるが、そこは我が家から車で20分くらいの距離なのである。山越えして行く大阪の図書館より近いかもしれない。

オーブン時に私も覗いたが、今回は久しぶりの訪問。

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でかい。広い。しかも、一面の芝生。この辺りはニュータウンであり、研究施設と住宅街が混在。目の前に大きなショッピングセンターもある。

でも広すぎて、玄関まで随分歩くし、さらに玄関にたどり着くのが大変。ぐるりと大回りを要求される。この芝生の上を歩いて横断したい。

だが、実は図書館は、ほとんど地下にある。この芝生は屋上だった。

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こんな感じに芝生の広場に見えたところは、太陽光を地下に誘導している。

だから、玄関から地下に下りていくところは、豪華な秘密基地みたいだ。

ガードは硬く、まず登録カードを作らねばならない。身分証明やら書き込む欄が多くて大変。だが、この当たりは若い女性のガイドが、しっかり教えてくれる。

ようやく閲覧室へ。ここも広い。おくの壁がかすむ(^^;)。書棚はあまりない。その代わり、ずらりと並ぶのが、本を検索するパソコンだ。好きな席に座ると、そこでも若い女性がつきっきりで指導。なかなか感じよいぞ。

自由に手にとれる本は10万冊ほどだが、書庫に数百万点の資料があるうえ、電子ライブラリーも充実。ほしい文献を複写する方法も、若い女性がつきっきりで……。

複写も書庫からの閲覧も、窓口が別にある。複写するにもパソコンで用紙を記入する。

ただ、あまりに静かで、下手に音をたてられない(^o^)。だだっぴろい閲覧室が不気味なほど。それに若いかどうか、女性かどうかはともかく、多くのガイドがいて、人件費を惜しみなく使ってるなあ、と感心するほど。

かなりマニアックな林業文献も手に入った。もともと報告書や科学論文が多い。だけど、複写できないものもあるんだなあ。ここも限界か。

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ふと眼を外に。

地下だけど、雑木林が。





そのうち、ここに1日中籠もってみようかな。

2012/05/30

自分の立ち位置が世間の中心

朝、母親を大学付属病院に送っていく。

車で20~30分くらいの距離だが、高台に広がり、診療科目も数多く、第3次医療施設としては第1級だろう。まあ、病院の質に関しては毀誉褒貶、ほめる人もいれば貶す人もいて、ようするに当たる医者によるのだろうが……。

が、母親は「病院が遠い」と文句をいう。遠いったって、私がドアツゥドアで連れて行ってやるのに何が問題なんだ、と言い返したくなるが……。

かつては駅前にある病院に通っていたのだが、閉院した。そこと比べて遠いというのだ。そして、「なぜ、もっと近くに作らなかったのか」。

そこで、いつも私は言い返すのは、この大学病院のある地域の人にとっては、近くに病院ができたんだ、ということだ。むしろ駅前病院の方が遠くて、通うのに大変な手間がかかっただろう。しかも狭くて古くて……。

結局、自分にとって遠いか近いかが基準になる。生駒市は、全体として医院も病院もかなりたくさんあるのだが、それでも足りないと市民が言って、新たな病院誘致・建設計画が進んでいる。そりゃ、病院が数多くあれば、通院も楽だし待ち時間も減るかもしれない。が、医療漬けによって、いつか自治体まで財政破綻を招くリスクがある。

それでも、「自分にとっては新しい病院はほしい」のだ。俯瞰した視点を持つ人は少なく、常に自分の立ち位置が世間の中心となる。

そういや、このところ全テレビ局が東京スカイツリーのニュースばかりを連日流している。オープン前夜から当日、さらに毎日。あんなローカルネタを全国に流して恥ずかしくないのは、キー局のある東京人は、これが全国ニュースのバリューがあると思い込んでいるからだろう。報道まで報道する人の「自分の立ち位置」しか見ていないのか。

まあ、原発再稼働問題しかり、ガレキ問題しかり。

森林林業関係だって、「自分にとって」だよなあ。いや、「自分にとってよい方法」だけで納まればいいのだけど、「自分にとってよい方法を他者にも押しつける」動きも最近は進む。
「私がドイツ式が一番よいと思う」と思うからと言って、全国画一的に押しつけるなよ。

あ、これは、単なる呟きです(笑)。

今日は、そんなことをつらつら考えたのでした。

2012/05/29

諸塚村どんぐり材プロジェクト

宮崎県の諸塚村では、どんぐり材プロジェクトを進めているそうだ。

http://www.foejapan.org/forest/morotsuka/

これは、どんぐりの木、つまりコナラの材を利用した家具や木工品づくりの計画である。もともとは、シイタケ原木にできなくなったような太くなりすぎたコナラの木を利用しようという考えから始まったようである。

ちょっと、この話題は私には懐かしい。かつて訪れた諸塚村はシイタケづくりが盛んで、そのためのコナラ林も豊富にあるからなあ……というだけでない。実は、私にとって、この発想をかなり古くから温めてきたからだ。

振り返れば2005年発行の『だれが日本の「森」を殺すのか』の一節に、雑木を宝の山にする方法として、太くなりすぎたコナラやクヌギなどを木工材として活かせないか触れている。その前から取材を重ね、雑誌にも発表していたから、おそらく02~03年頃から、この可能性を追跡していたのだろう。

ようするに、木工の世界では広葉樹材を多用するが、国産の広葉樹材は底を尽きつつある。しかし、それはケヤキ材やミズナラ材などに固執するからで、今は未利用の木材があるではないか、という主張だった。

すでに大分のアトリエときデザイン研究所では、雑木の器類を製造していたし、技術的には不可能ではないのだ。

実は雑誌でコナラ材は木工に使えないのか?と呼びかけて研究データを募集したこともある。すると、連絡くれた人がいるんですねえ。その時は岐阜県生活科学研究所で実験したことを教わり、論文も送ってもらったはず。

また香川県でも雑木の木材利用の研究をしていた。こちらはサクラやアベマキとかが登場していた記憶があるが……資料をひっくり返せば出てくるだろう。

それからブログだったか何かで書いて、実際に取り組んでいる人からメールもいただいた。家具作家の中にはコナラ材で挑戦している人もいたのである。

そういや、昨年の北海道のトークショーで会場からの質問で、木工をやっているが300年もののミズナラ材が手に入らなくて、と言われて同じことを応えたなあ。実は、北海道産ミズナラ材としてけ海外に輸出している中にコナラ材が混じっていることを私は聞いていたのだよ。

コナラ材は、ミズナラよりは硬くて使いづらいそうだが、使えないわけではないのである。むしろ特性を活かせば優良材になる。


が、なかなか普及しない。

やっばりなれぬ材で木工をしたがらない職人気質と、コナラ材の大量安定供給がおぼつかないからだろうか。

また、ワイスワイスという家具メーカーともつきあいがあるのだが、そこが国産材で家具づくりに乗り出し、ようやく見つけたのが岩手のクリ材だという。そこで私は、コナラも使いましょうよ、と佐藤社長に言った記憶がある。その時は、まだクリ材の家具を始めたばかりで、すぐに別の材も、というわけには行かなかったようだ。(余談ながら、表参道の裏路地にあるワイスワイスのショールーム兼事務所は素敵だ。)

そうした忸怩たる思い? を持っていたところ、諸塚村やってくれました\(^o^)/。

しかも、組んでいるのがワイスワイスではないか(笑)。

さらに言えば、ワイスワイスの座談会で組んだFoE Japanの中澤 健一氏も登場しているではないか。

もっとも、まだこれは計画レベルで商業ベースには乗っていないようだ。村が乗り出しているのだから、当面の材の安定供給はできるだろうし、ワイスワイスも加工技術を磨いたはずだ。あとは、売れるか否か。ここが問われている。

クリ材は好調のようだし、コナラ材は私の机の上にも置いているが、撫で回すと気色いい。放射線状の木目も美しいし。

そういや福島県は日本一のシイタケ原木の産地だったが、セシウム問題で出荷できなくなっている。このまま10年も続けば、コナラは太くなってシイタケ向きではなくなるだろう。
その時は木工材料として売り出す可能性を探ってほしい。その頃にはセシウムも薄まって問題なくなっているだろう(そもそも食べ物のシイタケと違って家具は食べないよ)。シイタケ原木より木工材料の方が高く売れるはず。災い転じて福となす、だ。

福島県の木工職人も10年後をめざして腕を磨いてくれ。コナラ家具の一大産地になるチャンスだ。

2012/05/28

枯れゆく大木

生駒山の大阪側に石切神社という、そのすじでは比較的よく知られた神社がある。

まあ、イエス・キリストが日本に来て、身代わりになった弟のイスキリを弔ったのだとか、楽しいヨタ話もあるのだが、デンポ(腫瘍)の神様を祀るとも言われている。

そんな神社の近くを歩いていると、石切小学校の前にある空き地に妙なものが目に入った。

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一応、大木ではあるが、枝は落とされ、もはや余命はないように見えた。

実際近づくと、樹皮はボロボロである。たたくと、一部は空洞化している。

樹種は何だろうか。

たまたま、近くにいたおばあさんに聞くと、何の木かは知らなかったが、昔はこの木を石切神社に詣でる際の目印にしたそうだ。当時は、あまりしっかり道もなかったし、周りに家もなく、大きな木が目立ったそうである。

ただ、数年前までは枝葉も出ていたが、もう枯れてしまったという。そもそも、この空き地も公園とかグラウンドというより、今は自転車置き場みたいになっているし、その真ん中にこんな大木があるのも不思議だ。

ところが、この木の裏に回ると……。

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おお。わずかに新芽が出ているではないか。

あまりにか細い枝葉ではあるが、まだ生きていたのだ。

この木に関することを調べたのだが、何も見つからなかった。誰か由来とか何かを知っている人がいたたら教えてください。

ところで、声をかけたおばあさんは、空き地に生えた草花を摘んでいた。なんでも、近くの花壇から種子が飛んで、勝手に生え広がったのだそうだ。だから、摘んでもよいのである。

そして、その花束を私にくれた。有難く受け取ってしまう。

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せっかくだから、こんな具合にリュックにさして帰った。

久しぶりに我が家を花が飾っている。

2012/05/27

本当の林業就業者数は?

日本の林業就業者の人数は何人だと思うだろうか。

多少とも林業をかじっている人なら、「5万人を切った」と聞いているはずだ。私も4万数千人だったと記憶している。それも年々減少傾向が進んでいて、平均年齢も60歳近く。

全国合わせて、これくらいかよ、と危機的状況が浮かび上がるのだが、驚くべき統計の数字を見つけた。

2010年の国勢調査の結果の抽出速報集計では、6万6900人となっているのだ。
その前の2005年の調査では4万6618人である。つまり、5年で2万人以上増えた?

ほとんど5割り増し? そ、そんなバカな。

ちょっと信じられないが、どうやらこの間に産業分類の変更があったからだという。つまり、森林組合の従業員は、これまで「その他(協同組合)」に分類されていた。それを改めて林業に振り分けしたから、2万人も数字上は増えた……というのだ。

これって、今までの統計には、森林組合の職員や作業員は林業就業者に入っていなかったってこと? だから緑の雇用事業で働く人々もほとんど森林組合勤務となるからカウントしなかったということになる。

1、2年で辞める人もいるが、研修後、残って居つく人だっている。その動態がわからない。
緑の雇用には若者が多いが、彼らが反映されなかったら、平均寿命も下がらないだろう。

さらに「自営・一人親方」の把握は難しいとある。山村に住んで、身内なりコネで依頼された山仕事をしている人は、統計の網に引っかかりにくいのだ。また、彼らは毎日山仕事とは限らず、季節性もある。年間何日間と副業的な人もいるだろう。

となると、2010年度の数字(6万6900人)が実態に近いとは言えるが、まだまだ捕捉されていない山行きさんもいるだろうし、そもそも、これまでの数値が当てにならないことになり、動態が把握できない。

そもそも、この林業就業者には、管理職とか事務専従職も入るだろう。

林業の現場作業者としては、

1985年  96381人
1990年  73337人
1995年  58754人
2000年  46868人
2005年  33237人

こちらは順調に減っている(~_~;)が、肝心の2010年は国勢調査の結果がまだ公表されていないのだ。

一体、林業従事者は増えているのか、減っているのか?

なんだか、こんないい加減な統計を元に林業を語っていたのかと思うと馬鹿らしくなる。

もっとも、実態に近づいて増えたと言っても全国に6万人では……大企業1社分にすぎないけどね。

2012/05/26

林野庁長官室の記念撮影

昨夜は、早くに寝落ちしてしまった。。。

実は、原稿が書けずにふて寝したのさ(~_~;)。

ところで、先に割り箸大会から林野庁を訪れた際の写真が届いた。

ところが……eps.sit というファイル。開けない……。

調べると、どうやらマック形式らしい。悪戦苦闘して、ようやくsitをフリーソフトで解凍して、さらにepsを閲覧した。が、完全には開けない。というか、開くためにはいろいろソフトがいるらしいが、簡便なフリーソフトが見つからん。

とりあえずワードで閲覧して、切り取ったから、まあいいか。こんなメンツで押しかけたのだよ。

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2012/05/24

未知の巨木?

散歩に出て、またまた遭難した。もはや慣れっこである(^^;)。

とくに意図したわけではないが、歩いていた道が行き止まりになったので、どこか逸れるところはないかと森の中に分け入ったのが運の尽き。

まあ、なんとなく人為の気配があって、今は森だが、かつては人が賑やかに行き交っていたよ~と土地が語りかけてくれるのだ。

とくに痕跡があるわけでみないが、地形がなんとなく段々であるし、そもそも生駒山は戦前、全山が禿げて草山だったはずで、比較的山麓部に人の手が入っていないわけないのである。

それでも藪の中をかき分け進むと……。

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そこで見かけたのが、こんな巨木。

コナラだが、直径で1mを越しそうだ。

戦前、人里が放棄されてから育ったとしても50年以上だが、ここまで太くなるか。戦前から農地の中に残していた木が放置されたのかもしれない。

それとも、切り株からの萌芽が全部育って、合体したのかもしれん。これなら根株のところは太くなりやすい。

この木から数十mで山道(と言っても、地主の作った道で一般道ではない)に出て、人家のあるところまで数百mといった距離だが、意外なところに、まだ知られていない巨木はありそうである。

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ついでに、こんな跡も。

イノシシのぬた場であろう。

イノシシ本体に出くわしたくないなあ。

生駒山山中でもっとも太い木とされているのは、コナラなら直径130センチほどのものが見つかっているが、それは公園内だ。クスノキやイチョウなどは神社にある。

だが野山にだって、探せばまだまだ見つかるかもしれない。

2012/05/23

養蜂官、ドングリ収穫権、養豚数……

銀座のミツバチプロジェクトはすっかり有名になり、おかげで私と同姓同名の人も有名人だが、実は同じことを大阪でもやっている。

名付けて「梅田ミツバチプロジェクト」。大阪駅周辺の梅田のビル(ヤンマー本社)の屋上で養蜂を行っているのだ。ミツバチの数は9万匹で、すでに蜜を30㎏ほど収穫したとある。私なんかは、たいした規模じゃねえなと思う(生駒では、一つの巣箱で5万匹以上いる)が、都会ではちょっと驚きなのだろう。蜜源は、近くの公園や街路樹・花壇など、意外と多い。
すでにハチミツの収穫も行われていて、そのハチミツが梅田界隈のレストランやスイーツ店などにも使われて販売されているらしい。

同じことは札幌でも行われているらしく、今や都会の養蜂はブームである。

もちろん、それは結構なことだ。都会の自然を見直す契機になるし、養蜂を通じて環境教育にもなる。ブランド化も計れる。が、本来の養蜂は、やはり山や田園地帯で行うものだろう。今や国産養蜂は細るばかりである。


 

ちょうど読んでいた本に、ヨーロッパの森林の歴史が書かれていた。そこで興味深かったのは、16世紀のドイツ(正確には、神聖ローマ帝国だろう)には養蜂官(ツアイドラー)という林業技術職の官吏がいたことだ。
彼らは蜜と蝋を採集するのが仕事なのだが、その権限は絶大だったのだそうだ。王の森ながら、林地の世襲権があり、裁判権や自由都市における免税権……などを手にしていたのだ。

しかも、養蜂の蜜源は針葉樹だという。だから14世紀から盛んに植林されたとある。蜜の採れる木とは、何の木だろうか。スギやヒノキの蜜なんて聞かないしなあ。

一方、広葉樹林でもっとも収益を上げていたのは、ドングリ収穫権(@_@)。また森林はネールヴァルト(家畜の森)と呼ばれ、森林の価値はそこで飼える豚の頭数で計算された……。

東ドイツ(プロイセン)やバルト地方では、森林に棲む動物で計ったそうだ。つまり狩猟対象獣、毛皮の採れる動物、鳥、ミツバチ、ビーバー、湖の魚などだ。
ある法令には、野生ウシは12ルーブル、トナカイが6ルーブル、シカ3ルーブル……。ほかクマ、野生ウマ、オオヤマネコなどが上げられている。

いやあ、森林の見る眼が全然違っていて面白い。

もっとも、日本でも森林の価値は、なんだかんだ言っても、まだ不動産的であり、森林面積を図りたがる人が多い。しかし、これはつい最近のことなのだ。ほんの数十年前まで、日本の山林の価値は木材蓄積であり、土地の面積はほとんど問題にしていなかった。

このように、現代でも森林の価値基準を変えてみたら、新たな森林の姿が浮かび上がるかも。

今でも、二酸化炭素吸収量とか、生物多様性なんぞの物差しが出回りつつあるし、インチキっぽいが、酸素供給量を示そうとする人もいる。

あまり堅苦しくなく、もっと楽しい指標づくりをしてみたい。森で遊ぶ子供の数とか(^^;)。森の文化を選び出すとか、食べられるキノコや山菜の数とか。美しい渓流、名水の湧く地点。自慢のネタを各自考えだしたらよい。

2012/05/22

関西フード展の割り箸展示

外食の専門展示会を覗きに行った。

正確には、「外食・小売業活性化のための専門展示会」。そこには関西うどん・そば産業展、関西ラーメン産業展、関西パスタ産業展、関西居酒屋産業展、関西ホテル・旅館産業展、関西店舗環境改善展……ほかにもいろいろあって、まあ大変(^^;)。

ま、英語からすると、全部まとめて関西フード展といったところだろうか。

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会場は、インテックス大阪。



入場は結構な混雑。手続きは結構しっかりやる。

まず手にした新聞が楽しい。ラーメン新聞とか外食レストラン新聞とか。これがまた面白い。ラーメン店の裏側では、こんなシステムがあったんだ。

さまざまな展示があるのだが、やはり外食業界なんだから、試食がたっぷり。鰹節をかじり、うどんにパスタに焼き肉にイベリコ豚、サラダに魚介類、シュウマイ。次々に食べ歩き、もとい試食してまわるだけで忙しい。ちゃんと途中でお酒も飲める(梅酒にまっこり、カクテルに泡盛に……)し、デザートまで。アイスクリームもゲット。いやあ、楽しいなあ\(^o^)/。満腹だ。

意外な素材も見つける。アメリカの乾燥卵(粉末)も面白かったが、青桃の甘露漬(福島県出展)は絶品。ぐるなびの消費者傾向分析のセミナーも立ち聞きした。

……も、もちろん、そんなために行ったのではない(はずだ)。ラーメン屋を開く予定もなければ、配色業のフランチャイズに参加する予定もない。現代の外食産業の動向をうかがいに行ったのだ。

で、まず探し出したのは、ジャパンフォーレスト。先日の林野庁訪問で勢いを付けて、大いに割り箸を売り込んでいた。

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なかなかの盛況でした。

吊るしているのは47都道府県クイズ割り箸。

よく見ると奈良県版もあるが、これは見本で売られることはない。奈良県(と鹿児島、沖縄)は除く、である。バカだねえ。断ったんだから。




                          

そのほかに割り箸を扱う業者は2社あった。それが対象的である。片や吉野の割り箸を全面に売り出す。

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なかなかディスプレイもきれいだ。

いかにも伝統を売り物に。

もう一方は、国産割り箸を並べつつも、樹脂箸もある。




       

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この業者は、名古屋で、元は割り箸業者だったのだが、今は樹脂箸も含み、ほかにも金属の箸や食器類、それにナプキンやスリッパまで幅広く扱う。

うどん箸、さかな箸……なんて、どう使い分けるのかわからない箸まで製造していた。

ただ、ひと言いいたい。上記のブースには、私がいくら興味深そうに展示を眺めていても、担当者は声を掛けてこなかった。が、下記のブースでは、話しかけられて、いろいろ説明を受けた。こちらの質問(というより、割り箸問題について議論をふっかける)にも結構本音で応えてくれる。そして名刺まで求められた。覆面のつもりなのに……。

こうした対応の差が割り箸普及にも影響及ぼすと思うなあ。

2012/05/21

日食の朝にしたことは……

昨夜、娘が帰って来た。

目的はいくつかあったが、その一つは21日の朝、自宅で金環日食を観察することだった。

娘は天体や気象の勉強をしたいと大学に進学したが、教師の話では大学のあるところでは雲のかかる確率が高く、奈良の方がいいだろう、と言われたのだ。

ところが娘は、日食メガネを持っていないのだよ。それで、どうして観察するつもりなのだ。どうも本気じゃない。
……私は1か月以上前から購入して準備OKだよ。もともと天候が良ければ紀伊半島の先・潮岬まで車を飛ばそうかと思っていたのだから。
だが、今朝はむしろ南の海側の方が雲が厚いという予報が出ていたから、自宅で観察することとなった。幸い、庭からは東に障害物はなく、真正面に朝日が昇る。午前7時半の庭は絶好の観察ポイントなのである。

さて、本日は午前5時半起き。この日の朝にすることは……タケノコ堀りであった\(^o^)/。

実は、2日前にたまたま持ち山を覗くと、タケノコを発見したのだ。4月末の時点では、イノシシに荒らされて1本も掘れなかったのだが、その後第2弾が伸びてきたらしい。今回はイノシシも気づかなかったのだろう(⌒ー⌒)。

その時はスコップもなかったが、4、5本を折り取った。少し伸びすぎのものもあるが、穂先は食える。意外と知られていないが、タケノコは地面から顔を出した直後だけが食べられるのではない。仮に1mくらい伸びていても、穂先はむしろ美味いのだ。

それを昨夜は茹でて親元にも届けたが、今朝は再挑戦。

娘をたたき起こして、今度はスコップも持って、いざ。

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さっそく、1本発見。

娘の掘る姿は、腰が入っていない。

ざっと一巡して、計7本掘った。今日はこれくらいにしといたるわ。

また出直して、3m以上に伸びたような竹は鉈で倒すつもり。雑木林を竹林にしないためである。例年50~100本のタケノコを掘っていたが、昨年はゼロ、今年は十数本。まあ、食べる量としてはちょうどいいけどね。

……おっと、忘れるところだった。金環日食(~_~;)。

タケノコ堀りを終えた頃から太陽は欠け出した。幸い、雲は薄く、ほぼ見える。

帰宅してから庭で、観察しましたよ。ちゃんと金環になった様子も。奈良は、かなり観察に適した天候だったようだ。

タケノコは、アクが広がらないうちにすぐに茹でて、まだ熱いのを3本、娘に持たせた。今から大学の授業に向かうという。
昼前に「あと何分茹でたらいい?」とメールが来た。授業中じゃないのか……(-_-)。

2012/05/20

木力検定に挑戦!

森林ジャーナリストの木力は? と挑戦状(>_<)を受け取ったので、渋々挑戦することにした。

http://www.woodforum.jp/test/mokken/ である。

結論から書こう。

まず初級はなんなくクリア。

問題は中級、ウッドコンシェルジュだが、1点足らずで不合格。ただケアレスミスが2問あったから、ちゃんと問題読めよ! と自分に突っ込む。

とはいえ、ちょっと不満もある。

問題と解答に関してだ。つまりアサダ氏ほか木力検定委員への挑戦状(-_-メ;)。

たとえばこんな設問がある。

木材の乾燥方法に関する次の記述のうち,正しいものはどれでしょうか?

正  ① 屋外での天然乾燥では,長い時間かけても,室内で利用できる含水率まで下げることができない

これは、どうかな。たしかに天然乾燥では細胞間水分は除けても、細胞内水分は抜けないとされている。だから含水率30%が限度とか……。

が、私は天然乾燥で16%まで下げた例を見ている。約1年半の乾燥期間を置いていた。16%なら十分室内で利用できるだろう。これくらい乾燥させるのが本来の天然乾燥だという。集成材やプレカットなら10%以下に下げるケースもあるが、そこまで要求するのはどうだろうか。そもそも歴史的建造物の場合、もっと下がっているはずだ。100年くらい経った寺院なら、10%以下だろう。

ほかにも、間伐(除伐)を、生長を阻害する木を除くこと……とあるが、除伐はともかく間伐は利益を出す面(利用するため)もあるので、誤解を招く。間伐材が劣った木、安い木と思われがちであることは、林業界にとって困った問題だ。優秀な木から抜き伐りするケースも少なくないのだから。

木材や森林、林業に関することは、いろいろな意見や解釈があるので、一筋縄には行かない。これを一律に問題にするのは結構異論が出るのではないだろうか。

それにJAS規格とか、あまりに一般知識に関係ない問題もどうかなあ。

……ここに書き込むため、改めて木力検定を開いてみたら、昨夜と問題が変わっている。毎回同じではないのね。

また挑戦して、あら探しするか(⌒ー⌒)。

2012/05/19

土倉正治の写真

週末は、お酒を飲んで、小難しい記事は書けない……。

で、こんな写真をどうぞ。

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土倉庄三郎の末裔(^^;)が所蔵する写真が川上村の芳水塾に提供されたのだが、その1枚。

真ん中で写っているのは、おそらく土倉正治。庄三郎の孫である。土倉家きっての秀才の誉高く、同志社から旧制五高に進学した。今の熊本高校か。単に頭がよいだけでなく、剛胆でカリスマ性も供え、同級生からも慕われたという。

当時、すでに土倉家は逼塞していたが、立て直しの期待のかかる俊英だったらしい。だが、京都大学に進学したものの、卒業後すぐに病に倒れ帰らぬ人となる。

で、この写真の肝は、右に写る同級生である。

この顔に覚えはないだろうか。どうやら佐藤栄作ではないかと思う。

一応、ノーベル平和賞も受賞した後の総理大臣である。

土倉正治と佐藤栄作は無二の親友だったが、後に佐藤は「オレなんか遠くおよばん。(生きて入れば)どんな大仕事をやっていたか」と涙ぐんだというから、やはりただ者ではない。

ちなみに一級下には池田勇人もいる。

2012/05/18

『木力検定』って……

話を第1回割り箸大会にもどす。

参加者のお一人、埼玉大学のアサダ氏よりいただいたのが、これ。

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 なんと! 『木力検定』のガイドブックである。

   木材利用システム研究会・木力検定委員会

   井上雅文・東原貴志 編著

   海青社 952円+税

木力検定とは、木材や木、森についての知識を検定するもの……であるが、とくに公の検定試験があるわけてはないらしく、ウェブ版『木力検定』が木材利用システム研究会のホームページにあり、初級「木ムリエ」と中級「ウッドコンシェルジュ」の資格がもらえるという。

ま、この本は、そのネタ本であり、100問が紹介されている。

いくつか紹介すると、しょぱなは

「洋酒は、たまに長期間貯蔵されて術製されます。その間に、どんな成分がゆっくりと酒にしみ出すでしょうか?」

1、エタノール 2、ポリフェノール 3、メタノール 4、ポリエチレン

「次の樹種のうち広葉樹ではないものはどれでしょうか?」

1、ヤマグルマ 2、イチョウ 3、カツラ 4、ツゲ

……などと、なかなかマニアックな問題も。なかには、日本書紀の記述に関するものやら、建築構法の特徴に関するものと、幅広く扱っている。

問題の下に解答を解説しているから、考えて解くと言うより、問題を通して木に関するトリビア的知識を読ませようというわけか。

でも、最後の方になると、

「木材工場からの廃材などを圧縮して作られる固形燃料のことを一般に何というでしょうか?」という問題に対して、

1、木質パレット 2、木質ペレット 3、木質メソッド 4、木質リゾット

なんてのが並んでる(^^;)。問題づくりに疲れたか?  いっそ、木質ドリアとか木質ホンジュなんかも混ぜたらよかったのに。

ともあれ、製作の苦心の跡が忍ばれます。ご苦労さまでした。

2012/05/17

突撃! 林野庁の昼ご飯

昨日は、深夜に帰宅して、ぎりぎりプログを更新するのがやっとであった。

で、改めて「割り箸大会」の様子を記すと、ようするに話題は霞が関・農水省の地下のレストランでは、樹脂箸ばかり使っているという話になったのである。

以前から、このブログでも取り上げているように、なぜ木づかい運動を行っている林野庁のお膝元で国産割り箸を使わないのか、業者に使わせないのか、というのがテーマであった。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2010/08/post-1ce3.html

※このように状況を説明しているブログもあります。
http://mokuiku.exblog.jp/13137640/

そこで明日は林野庁を訪ねよう、ということになったわけ。で、私も成り行きで参加することに(^^;)。

でも、単に木材利用課(一応、ここが割り箸などの窓口になるらしい)を訪問するだけじゃ面白くない。ご意見拝聴しました、で終わるに違いない。どうせなら林政部長のレベルまで訪ねよう、と提案。ちなみに、私はまだ面識ないのだけどね。

もちろん、アポは入れていない。が、なんと割り箸大会参加者の中に林野庁職員がいたのである。うまくできてるなあ(^o^)。とんとん拍子じゃないか。
とりあえず朝イチで打診しておきます、ということになった。

参加者は5人。ジャパンフォーレストの二人と木づかいビジネス協議会のただっち理事と、なぜかパンダの被りものを頭に乗せた某大規模森林所有会社の熊●さん、そして私。とにかく数多い方がいいや。って圧力団体みたいだけど、割り箸への熱心さが伝わるだろう。みんな、熱い目で眺めるのだよ。

翌日午前10時に訪問したら、打診したところ皆川芳嗣林野庁長官が会うということになりました……とのこと。あらら。密かに狙っていたが、とんとん拍子じゃないか。

長官室に通され、末松広行林政部長も同席。いきなり割り箸会談!となったのである。(もっとも、私は極力話さないようにした。熱く語る役は、ほかにお任せです。)

まず衆参議員会館の寿司屋に国産割り箸を採用してもらった経緯を伝える。そして林野庁の皆々様も、この店に押しかけ、割り箸をほめるようにお願いする。そうした反響が、店の意識を変えるのだ。

また2009年のづかい月間のボスター(割り箸をアレンジしたもの。期間限定もので、著作権なども絡む)http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/img/090930-04.jpgを、使わせてもらう承認もいただく。ちなみに、このポスターのデザインの担当者は、割り箸大会に参加していたのだよ。もう、役者が揃いスギている。

すると「農水省の食堂にも割り箸を入れないといけないな」と長官。

しめた! この言葉を逃さない(笑)。まさに、この件を訴えに来たのですよ。

と、熱く国産割り箸を食堂に採用させる要望を伝える。とんとん拍子じゃないか(^o^)。

さっそく長官から同意を得た。ただ、実際には食堂経営者に強制できるわけではないから、いかなる手続きを踏むか、入札条件に加えるか……という技術論へ。

見通しは極めて明るくなった。ふふふ。今後がみもの。いつ国産割り箸が採用されるか、要チェックだ。しつこく見守ろう。

さらに長官自ら小学校に課外授業に訪れて森林・林業について語っているという話から、木育へと進み、ジャパン・フォーレストでつくっている「47都道府県クイズ箸セット」を紹介すると、即採用。それを使って課外授業をすることに。各都道府県の樹や花、鳥、動物、魚などシンボルをクイズ形式で紹介したセットである。とんとん拍子じゃないか。

さあ、掲載を断った奈良県、鹿児島県、沖縄県はどうする?

ともあれ、最後は長官室に陳列してあったオビスギの作品やポスターを手に、記念撮影。なんで、飫肥杉? う~ん、宮崎勢も営業熱心だ。(写真は、後日)

また、長官も、自ら広告塔の役割を担っておられることを自覚されている。

とにかくバタバタと短時間に、こちらが抱えてきた要望をクリア。

そして、昼食は、やはり農水省地下の食堂へ。入ったのは、農林水産省職員第五食堂 レストラン和幸。

この店を選んだのは、まったくの偶然なのだが、驚いたことに使っている割り箸(割り箸を使っていることにも驚いたが)は、なんと国産であった。

産地や納入ルートはわからないがヒノキと書かれてある。いやあ、幸先よし。

なんでもかんでも、とんとん拍子じゃないか。

ミッション終了だ\(^o^)/。

2012/05/16

割り箸大会の翌日訪ねたところ

割り箸大会と名打った飲み会は、当初参加者4、5人のはずが、気がつけばどんどん人が増え、ほとんど飛び込みも現れ……その結果、小さなテーブルに10人が囲むことになった。

場所は、東京駅~有楽町駅の間辺りのガード下の台湾料理店。。。本当に上を電車が走る音が聞こえる……。

でも、内装はみんな杉。なんでも内田洋行の手がけたリフォームだそう。昨夜の記事の写真に写っているテーブルは、中空でなかなか面白い。

で、私の割り箸コレクション(^o^)のお披露目などもありつつ、和やかに進んでていたのだが、そこに衆参議員会館の寿司屋に国産割り箸を導入させたジャパンフォーレストの二人が「明日、林野庁に訪ねて行きます」という話になったことから、私も誘われ、ちょうど午前中が空いていたからOKした。ほとんとアポなしであった。

で、林野庁の木材利用課の部屋で見かけた割り箸。

Photo_2






























拙著『割り箸はもったいない?』とセット販売している「希望のかけ箸」であった\(^o^)/。

もちろん、これだけで終わるわけはない。詳しいことはまた明日(^o^)。引っ張るなあ。

2012/05/15

第一回割り箸大会


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第一回割り箸大会、開催しました。
初めは数人の飲み会のはずでしたが、どんどん増えて、座るところに困るほど。そこで、ものすごい計画が決まりました。ああ、本当に明日実行するのか。。。

詳しくは明日!

2012/05/14

外資の買収した森林面積って…

林野庁と国交省が、2011年の外国資本が買収した森林面積の調査結果を公表している。

それによると、買収実績は157ヘクタール。前年の約4倍に増加したという。06年からの累計は、7道県で785ヘクタール…とのこと。

157ヘクタールは、日本の森林面積2500万ヘクタールに対して、0,000628%に当たる。累計で0,00314%。

山林取引全体の何%か、誰か調べてくれないか。

例によって読売新聞が熱心だが(^^;)、公式な数字以上の裏の取引があるから、調査結果は「氷山の一角」に過ぎず、その数倍という推定になる…だろうとか。

ま、相変わらず水源がどうの、とアホの一つ覚えのように繰り返している。本気で水源を狙っての買収だと考えているのならアホそのものだから、「一つ覚え」も仕方ないか(^^;)。

ところで読売の社説では、以下のように記していた。

一方、外資の誘致が地域経済の活性化に果たす役割は、小さくない。外資への警戒感をいたずらにあおるのではなく、行政の目が届かない山林取引を放置しないようなルール作りが必要だ

おお、ここは正論だ。本当は日本人の山林取引の方がよほど問題を抱えているのだ。ただし、これを厳しくチェックすると、山林取引が縮小し、林業振興に対する壁をつくってしまうだろう。

林野庁の発表は以下の通り。

http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/120511.html

このデータを見るとわかるが、山林取引と言ったって、面積は1ヘクタール以下が結構多くて、宅地開発・別荘用のものまでリストアップしている。こんなことを続けたら、一般の不動産取引も沈滞化させてしまうだろう。公になりたがらない業者は多いのだ。

それに、157ヘクタールという数字に違和感を覚えるのは私だけだろうか。まるでこれが広大な面積かのように説明していることが…。

だいたい、この面積にゴルフ場の売買は入っていないようだ。だって、ゴルフ場一つで100ヘクタール(18ホール)から150ヘクタール(27ホール)あるのだ。敷地のうちの半分が森林と考えると、157ヘクタールなんて、たかだか2、3のゴルフ場内の森林面積にすぎない

実は、ゴルフ場の外資による買収は進んでいる。ゴルフ場経営が厳しくなるにつれて、外資に売り渡すケースが増えているからだ。意外と多いのが韓国資本だそうだ。今、韓国は空前のゴルフ場ブームだからだ。日本にゴルフに来る韓国人が増えているのだ。

またファンドなどが買い上げ、経営を刷新して転売するケースも少なくない。

それなのに、なぜ「外資がゴルフ場を奪う」と騒がないのだろうか。こちらの方が所有地への支配権は強いと思うのだが。買収したゴルフ場に大きな井戸を掘って、水を汲み上げるかもしれないよ(⌒ー⌒)。ゴルフ場を拠点に、近隣の自衛隊基地に対して諜報活動をしているかもしれない。。。ま、ありえないが。

実は買収されたゴルフ場は、経営体質を一辺させて利益の出るように変えられるケースが多い。それは悪くない話だ。
負債を抱えて苦しんでいる所有者が救われるだけでなく、ゴルフ場で働く人たちや納入業者も、また税収面で地域も救われる。会員権を持つ人も紙屑になるよりマシだろう。そしてゴルフ場が閉鎖され放置されたら、環境的にも悪影響が出るに違いない。もしかしたら、跡地が産廃捨て場にされる可能性も否定できない(というより、各地で問題になっている)。

こうした側面を持つゴルフ場の売買に待ったをかけたら、ステークホルダーが多すぎて批判が出ることを見込んで触れないのかもしれない。

いずれにしても、あまりに小さな外資の山林買収を、さも深刻そうに騒ぐのは、なんだか割り箸騒動に似ている。

日本の年間木材消費量の0,4%、中国の木材消費量の0,09%程度の日本人が使う割り箸を問題として派手に取り上げて、熱帯雨林破壊の元凶とか、中国の森林を食いつぶしていると騒ぎ、もっと重要な木材の無駄遣いあるいは森林荒廃に眼を向けないのだ。

ということで、明日は東京入りします。そして夜は、割り箸大会。割り箸芸大会じゃないよ。

割り箸に関心を抱く人々が集い、熱く語ります(笑)。不思議な会になりそうじゃ。

2012/05/13

吉野山~杉は杉でも

連休も終わり、桜も散ったから、吉野山~第3弾。

吉野山の杉と言えば、ようするに吉野杉。そこで想像するのは、大径木で真っ直ぐ林立する森の姿だろう。

が、吉野山の麓で見かけたのは、これだ。

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おわかりか。細い幹と樹頂部だけに葉を残した特殊な姿。

そう、台杉である。

吉野林業地と対に語られがちな京都の北山林業地で生産される特殊な台杉仕立を行っているのだ。

ここで、少し北山林業について。

北山林業と言えば、磨き丸太生産と、台杉仕立だろう。磨き丸太はいうまでもなく、床の間の床柱などに使う、皮を剥いて磨き上げた丸太だ。京に発達した茶の湯文化で数寄屋造りが持て囃された中で生まれた特殊な役物である。

が、実は磨き丸太の生産が多いのは京都ではなく吉野、つまり奈良県であることはあまり知られていない。明治以降、奈良県でも磨き丸太生産が広がり、「京仕立」の名で出荷されたのだ。思えば、吉野杉は植林後弱度の間伐を繰り返すが、その途中の細い丸太は磨き丸太用にぴったりだ。

もっとも、今は磨き丸太専用に細く無節の杉を育てているのだろうが。

ただ、磨き丸太の需要は激減している。

一方、台杉仕立は、土地の狭い北山で極細の丸太をつくる手法として生まれたとされ、枝や梢を落として、枝分かれを誘発し、まっすぐ細い幹を伸ばした。もとはれっきとした木材生産であり、垂木などに使われたが、今や園芸的な庭木として扱われている。

この台杉仕立まで吉野山で見かけるとは思わなかった。山というより平坦な庭のようなところでつくっている。しかし、この杉は、最終的にどんな姿に育てられるのだろうか。

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まさに穂先しか葉が残されていない。見たところ、根元で枝分かれというより、萌芽更新したものを幾本か育てているように見える。

正直言って、日本式庭園に似合う台杉仕立も、最近は需要がめっきり減ったそう。私も、こうした杉が、洋式の現代風の庭に似合うとは思えない。また価格も高くて、一般住宅向きには手が出ない。

ただ、この育林技法は面白い。もっと、今の住宅に担う台杉仕立のデザインを考えれないかなあ。デザイナーから提案してみたらどうだろうか。大きさもずっと小さくして、盆栽感覚の庭木をつくる。価格も抑えてほしい。そうしたら再び人気を呼ばないかなあ。

2012/05/12

吉野山~蔵王堂の柱

連休終わったし、桜も散ったし、吉野山~第2弾。

金峰山寺蔵王堂はご存じだろうか。東大寺大仏殿に次に大きいとされる木造建築(ただし、明治以降の現代建築は除く)とされる。

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現在のお堂は、1592年建立。

現在、こちらの秘仏とされた3体の「蔵王権現立像(重要文化財)」は秘仏とされるが、特別拝観中だと知り、急遽駆けつけた。その秘仏の素晴らしいこと。巨大さといい、形相といい、一見の価値がある。
しかも期間中は、内陣まで入れてくれるのだ。そこでは障子に囲んで個室に仕立て着席できる。周りの目を気にせず、ゆっくり拝観できる趣向なのである。3体をじっくり見るために、私は2度も内陣入りした。

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が、実は私の本当の目的は別にあった。蔵王堂の柱をよく見たかったのだ。これだけのお堂には68本の巨木が使われている。ほとんどがスギとヒノキである。が、その中に混ざっている不思議な木材がある。


ツツジとナシである。

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残念ながら、堂内は撮影禁止だが、外から強引に撮影したもの。

中の柱に「つつじの柱」と書かれているのが読めるだろうか。

ツツジ? あの灌木種が、長さ5mにもならんとする幹を直径80センチレベルに太らせることができるだろうか。どうも調べた人によると、中国原産のチャンチンという木(センダン科)の材だという。いずれにしても通常は建築材にする木ではないだろう。

また奥にはナシの木とする柱もある。本当かどうかわからない。だいたいナシは日本原産なのだろうか。

いずれにしても、樹種だけでなく、形状がデコボコのまま、ゆがんだり曲がった木をそのまま柱にしているのも特徴だ。その柱群は異様であると同時に素晴らしい建築技術だ。そして、美しいのだ。ほとんど製材せずに利用している。

手に入った木を、雑木も含めて自在に使って建てる……なんだか数寄屋づくりの精神に通じるものを感じる。

世界遺産というだけでなく、また東大寺大仏殿とは違った雰囲気の漂う世界であった。

2012/05/11

吉野山~異形の森

連休も明けて、桜も散ったことだし(^^;)、吉野山に行ってきた。

吉野山の木と言えば、何を思い出すだろうか。当然、桜である。

加えて、やはり吉野なんだから、吉野杉もあるだろう、またヒノキもあるということは、皆さん想像できるはず。

が、それだけではないのである。こんな森もある。

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な、なんだ、こりゃ?  と、最初は思った。

不思議というか、なんか、ゾクゾクする木々の姿である。

どちらかというと、怪しき光景。悪しき森のような……。


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もちろん、知っている人は知っている、この樹木は、そんなに珍しいものではない。

コウヤマキである。

現在は日本にしかなく、また分布は点在しているという点では珍しいのだが、庭木にもなるなど、身近な樹木と言ってよいだろう。

ちなみに、本家?の高野山のコウヤマキ林。

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まっすぐ伸びてます。

この差は、高野山は素直で育ちがよくて、吉野山は性質がねじくれてる……のではない。

コウヤマキはお盆の供花としての需要があるが、吉野山のコウヤマキ林は、人が供花として毎度枝を伐り続けたため、その度に分岐を繰り返し、こんな不気味な姿になったのだそうだ。

しかし、ここまで見事な異形の森となったのなら、桜、杉(と檜)に次ぐ、第3の吉野山の木として売り出せないか。吉野山の穴場観光スポットになるのではないか。

2012/05/10

限界集落一歩手前

今年度の地元自治会役員になってしまった。

一度務めたから、もうお役御免のつもりだったのに、なり手がいずに大揉めした末に、私も手伝うことになったのだ。前回は副会長だったので、なんとか会計に格下げしてもらった(^^;)。

わが町の自治会役員は半年も前から懸案となっていた。ようするに次回は私の属している班から出さねばならないのだが、誰も引き受け手がない状態が続いていたのだ。
それで総会間際までゴタゴタもめ続けていて、私にも依頼がきたのだが、会長だけはご勘弁を~と逃げて、結局、会長はくじ引きで決めたというわけ。結果は、なんと小さな子供のいる家庭となり、結果的に奥さんが引き受けることに。

通常、この手の役員は定年退職などして悠々自適の人が引き受けるものだ。仕事を持っていたら平日昼間は動けないし、何かと無理が来る。しかし客観的には適任者であっても、断固拒否されたらどうにもならない。

だが、くじ引きにすること自体にも異論があり、ではどんな方法がと言っても誰も意見を言わず……と堂々巡り。まったく自治会を維持することがどんどん困難になってくる。

だいたい地域が衰退して限界集落にする最初の過程に、区長のなり手がいなくなることだという。地域のまとめ役がいなければ行事もできなくなり、バラバラになっていく。

……ということは、我が町も限界集落一歩手前か?

生駒市にはコミュニティーバスが走っているが、これも老人が増えて自家用車に乗れなくなると出歩けなくなったからだ。なにしろ坂道が多いから……ああ、これも限界集落っぽい(笑)。

特急が停まり、百貨店のある駅前から徒歩5分の我が家の「集落」が限界化?

そういや、近隣の町の自治会も、分裂して1丁目、2丁目ごとに分かれた。全体をまとめる人がいなくなり、意見対立が増しているようだ。
比較的人口のある町でさえ、こんな現象が広がっている。

そこで気がついたのは、高齢者が多いと、会議が長引き結論が出せなくなる(-.-)ということだ。
自分の意見に固執し、自らは動くのはイヤで、上から目線で話しがち。また話の持っていき方も下手なため相手を怒らせて、まとまるものもまとまらないようにしてしまう。

かつて、年寄りは長老として、私心なく組織のまとめ役になるものと時代劇の中からも決まっていたのだが……。今は、高齢者ほど目先の利益に振り回される。お互いの足を引っ張り合いかねない。

もしかして、東北の被災地の復興がなかなか進まないというのは、高齢化が進んだ地域が多いからかもしれない。

……こんなこと考えているうちに、ふと、日本全体が高齢化していることで、今後地域間のつながりが薄まっていくような気がした。あるいは分裂して小さくなり、行事も大幅に縮小され……。祭がなくなる文化が消える、なんて問題は実は小さい。もっと実務的な作業ができなくなるのではなかろうか。

自治会がなくなれば、行政への情報が上がりにくくなる。たとえば道路が傷んでもいても、誰も通報しなくなるかもしれない。民生委員の引き受け手もいなくなる。孤独死も児童虐待も、発見が遅れるだろう。

高齢化問題は、地方の田舎、とくに限界集落のような地域が深刻と思われがちだが、実は危険なのは大都会だ。小さな地域なら、なんとかやり繰りする。だが、大都会では、介護を必要とする高齢者が。毎年数万人ずつ増えていく。
後期高齢者が100万人単位で存在する都市を想像してほしい。仮に若者がそこそこいて、限界集落より平均年齢が低くて見えても、これだけの規模の要介護者をケアする組織や社会をつくれるだろうか。

自治会の運営が難行することも、限界集落の定義に加えてほしいね。

2012/05/09

木のまちづくりを拒むもの

ほとんど知らなかったのだが、吉野でこんなコンペをしていたのだった。

http://yoshinozai.com/compe.html

吉野製材工業協同組合が主催の木材活用コンペだ。木の町部門、木のリフォーム部門などと分かれている。その結果は、上記のサイトを観てほしいが、木材によって町を彩ろう、という呼びかけだろう。

なかには、町全体を木材市場に見立てたり、これでもか、というほど木材を使った「木材の洞窟」があって、私は好きだなあ。http://www.ah-a.jp/index.php/wood

もちろん最優秀賞を取ったからといって、近鉄吉野線の鉄橋を木造化できるわけではないだろうが、ようやく木材の景観というものが見直され始めたように感じる。

一点一点の木材作品づくりは、かなり進んできたように思うが、本当のところ、一軒の家、一件の木橋や家具、グッズ……では、木材の魅力は伝えにくいように思う。自分の持ち物を木にするだけでなく、目に入る他者も含めて考える発想がほしい。いかに外の世界とつながるか、景観の視点で取り組めないものか。

ただ、せっかくの発想も現実には厳しい点がいっぱいある。

以前紹介したが、長野県上田市では、「景観木工」という発想を取り入れて、商店街などから木装化を進めていた。

最初は補助金がついた5件だが、この交渉が難行したという。商店街の空き店舗や駐車場の柵などを木材でオシャレに……という取り組みが、所有者の納得を得られないのだそうだ。

もちろん費用は要らず、勝手に綺麗に装ってくれるというのに、難色を示すのだ。結局、いざとなったらすぐに取り外せるような仕組みにして(元からの外装は残して、その上に被せる形)、ようやくOKを取り付けたそうだ。

で、実際にやってみると評判がよくて、次の希望者が現れたり、自主的に自らの店舗前を木装化したり……と協力的になってきたそうだ。

何に付け、「変わる」「変える」「新しい」ことに反対する勢力はあるのだ。

そういや、先日衆参議員会館の寿司屋に割り箸を導入させたジャパンフォーレストでは、都道府県別のクイズ?を箸袋に付けた割り箸を出そうと、各自治体にお願いしたところ(もちろん、何の負担を求めるわけでなく、その都道府県の見どころを紹介宣伝するわけだ)、なんと断る県があったのだよ。

それは……奈良県! と鹿児島、そうして沖縄なんだそう。

なかでも奈良県が反対した? 割り箸生産日本一を誇る奈良県が? 信じられん。

だいたい許可を得るようなものではなく、いわば届け出みたいなものなのに、断るとは。担当者、出てこい! といいたくなる。なんなら、私が説明に行こうか。

そういや、東京在住の森林所有者が求めた森林簿を、郵送では受け付けずに直接取りに来い、と言ったもの奈良県だと。こんな県はほかになかったという……。

 

なんだか、奈良県を糾弾したくなるが、ここで感じるのは、「今はじり貧」、だけど「今を変えたくない」という勢力の正体をしっかり見極めないといけないことだなあ。

2012/05/08

森林・林業教育の変遷

この春、京都に開校した京都府立林業大学校

私も、少し講座を受け持っているので、その打ち合わせをした。

この大学校は、京都府農林水産部直営?の学校で、即戦力的な林業教育を売り物にしている。高性能林業機械の扱いから、木材加工、流通、そして公共政策まで教えるというものだ。

詳しいことは、こちらまで。
http://www.pref.kyoto.jp/rinmu/resources/1306973699631.pdf

同じく今春、愛媛大学に開講したのが、森の国(地域再生人材創出拠点)。大学院クラスや社会人の森林管理高度技術者養成など、こちらも林業に関する人材育成だ。http://morinokuni.agr.ehime-u.ac.jp/file/pamphH24.pdf

振り返れば、こうした教育機関の先駆が岐阜の森林文化アカデミーだし、
http://www.forest.ac.jp/

林業技術者の「学び直し」を掲げたのは鹿児島大学。
http://agri2000.agri.kagoshima-u.ac.jp/~env/FEM/manabi/

それぞれ特徴を出しているから、カリキュラムや内容には違いがあるのだが、このところ林業教育の場をつくろうという社会的要請が強まっているのだろう。

考えてみれば、これまで林業の人材育成は、高校の林業科のほか、大学の林学科であった。京都府だって京都府立大学を持っているのだ。

だが、今や既成の大学教育では、林業の人材育成は行われなくなったのだろう。

思えば、私は「林学」とは「森林学」と勘違いして、林学科に進学し、入ってから「林学」とは「林業学」であることを知ってショックを受けた。

ところが、実はこの頃が曲がり角で、以後「林学」は「森林生態学」を中心とした学問の場となっていく。農学部や林学科などが消えて、生物資源学部? 森林科学科? などわけのわからない名前になって、林野庁の営林局・署も、森林管理局・署に名を変える。林業白書も、森林林業白書になった。

皮肉なことに、林業学が森林学に衣替えした今頃になって、林業学の重要性に光が当たりだしたようだ。森林資源を生産するのは、林業だからだ。そして林業再生なくして、中山間地域の振興も進まないことに気づいたのだろう。

だが、すでに既成の教育では、林業人材の育成はできなくなっている。そこで、改めて、林業教育機関の設立が相次いでいる……。

私の見立ては、こんなところだ。林業教育にも時代の流れによる変遷があるわけだ。

どうせなら、私の講座では、この「森林林業教育史」でもやろうかな(⌒ー⌒)。

2012/05/07

修正・議員会館の食堂の割り箸が…

先に農水省地下の食堂に割り箸が……という速報を書いたが、やっぱり間違っていた(笑)。
だいたい、この手の情報は勘違いがつきもので、正確ではないなあ、農水省の地下に寿司屋はあったかなあ、と思っていたのだが……。まあ、所詮「思いつき」ブログだから。

そこで、改めて確認した内容。

まず場所は、衆議院と参議院の食堂。さらに衆議院第一議員会館、国会記者会館の食堂であった。そこに入っている寿司屋「初花」で国産割り箸が採用になったのである。

また樹脂箸から割り箸に変えたのではなく、中国産割り箸から国産割り箸へ変えたらしい。価格が上がる分は、アドバシ、つまり箸袋に広告を載せることで対応する。なおカーボン・オフセットにも適応していて、10グラムの二酸化炭素削減になるそうだ。

いつから切り替わるのか……は、聞き忘れた(^^;)。5月中だろう。

ぜひ、国会担当記者は、こうした事実も記事にしてほしいものだ。もちろん政治家などの皆さんも、お店を訪問して、割り箸をほめること。それだけで印象は変わるよ。

国会、霞が関が日本の中枢だと思っている方々、割り箸もここから広めない? そして、日本の森林に寄与してみないか。

2012/05/06

うきうき?いきいき?

連休最終日は、大阪。

ちゃんと仕事の一件があったのだが、その後誘われるままに参加した集会?は、都心のビルの屋上で開かれた飲み会であった(^o^)。

で、何の宴会なのかよくわかっていないのだが、主催グループは「谷町う木う木」という木材振興に関わっている人々。建築士から学生まで、大阪と吉野などの人間がいる。

私はまだよくわかっていないので、こちらをどうぞ。

http://letsukiuki.ciao.jp/

とにかく、様々なイベントを行い、内田洋行なども関わり、つまり日本全国スギダラケ倶楽部も関係しており……よくわからない(^^;)。この日初めての参加者もいて(私もだけど)、フェイスブックつながりの人もいる。

ただ女性が多かった。女子会か?  で、宴会の様子。

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この写真を掲載する際は、目伏せを入れてくれ、と言われたが、皆さん、素敵な女性ばかりなので(ちょっとヨイショ)、そのまま載せてしまおう。

そういや、東京にはNPOの活木活木(イキイキ)森ネットワークなんてのもあったな。

ウキウキか? イキイキか?

ま、私はそんな木にこだわる女性たちに会うのは、ドキドキでスキスキなのだよ、なんて言葉遊びは飽き飽きか……(^^;)\(-_-メ;)。

2012/05/05

飯盛山

生駒山系の飯盛山に登った。

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山頂からは大阪平野を一望し、遠くは京都まで見える。なかなかの眺望である。




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向きを変えれば、樹海かと思うほどの景色も広がっている。

なんか森の地平線みたいだ。




が、この山の標高は314m。生駒山の中でもたいした峰ではない。
山というのは、高さではなく、その地形と位置によって眺望が決まるのだな、と思えた。

実は、この山は歴史的にも有名である。

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一つは南北朝で戦った楠木正行らがこの山の周辺で陣を張ったこと。だから、頂上には、こんな銅像もある。



ただ、私が注目したいのは、ここに日本の中枢が置かれたことがあることだ。それは戦国時代だから、全国を睥睨していたとは言えないにしろ、正当な政権である室町幕府の実権を握っていた三好長慶がこの山に築城して、政治の采配をふるっていたからだ。
そしてキリスト教の布教を許したため、多くのキリシタンを誕生させた。

もっとも4年で長慶は亡くなり、彼に取って代わったのが松永久秀である。彼は大和を抑えたものの、そこに織田信長が上洛するのだが……。

ま、それはともかく、私はここまで生駒山の縦走路を歩いてたどり着いた。アップダウンはあったものの、全体に尾根を下り続けたから、登山というより下山気分であった。飯盛山下山と名付けよう。

2012/05/04

フキの収穫

本日は、庭の世話。ようするに草むしりと掃除である。

小さな庭でも、結構繁ってきた。なかでも課題は、庭の一角に繁ったフキである。これをいよいよ刈り取ることにした。

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こんな感じ。春先にはフキノトウも出たのだが、今春は食べずに残し、そのままフキを繁らせておいた。

フキを収穫したかったからである。フキノトウより、こちらの方が食べでがある(^^;)。

                                                       

最初は、太いものの抜き伐りのつもりが、刈っているうちにどんどんと。やっぱり択伐より皆伐の方が楽しい(^^;)と知った次第。

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こんな具合。細いフキをわずかに残すだけで、フキ以外のミツバやドクダミほか雑草も覗く。

奥にある怪しげな門?は気にしないでください(笑)。








これが収穫物。

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茎だけにしても結構な量になる。当分食べ続けねばならない。

どのように調理するか、いろいろ考える。ただ、皮をむいて筋を取り除く下拵えが大変であった。





 

ちなみに葉の方は、こんな量になる。

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一般には、ほとんど使い道はない。

だがフキの葉は、、実は貴重な資源となるのだ。









それを教わったのは、高知県。こちらの四万十流域の山村では、このフキの葉のことを「くそっぱ」というそうだ。

ようするに、山でトイレにいった際に、尻を拭くのによいのだそうだ。私も実験してみたことがあるが、なるほど、これは心地よい。野クソの場合、トイレットペーパーなんか使わずともフキの葉があれば十分。その後の見た目も美しい。

フキは、食料になるだけでなく、こうした使い道にも資源となるよ。

さて、肝心のフキの料理は、結局フキご飯キャラブキ揚げとの煮物豆板醤炒め……これで当分は、酒の肴はフキ続きだ。

2012/05/03

古本市にて

大阪・四天王寺で開かれていた青空古本市に出かける。

非常に大きな規模で、早く行きたかったのだが、天候不順なども重なって、最終日の今日になってしまった。

とくに目的とする本があるわけではない。ただ、新刊書の書店に流通しない本を眺めているうちに、何かピンと来るものを見つけるのである。そして興味と価格のパフォーマンスが合えば購入する。
新刊のときに軽い興味を持ったものの、すぐに買う気にならなかった本が安値なら、とりあえず買っておこうか、というケースもあれば、ギュッと喉から手が出そうな本にも関わらず、高すぎて手が出ない本もある。それでも、こんなイベントだと財布が緩みがち(^o^)だ。

今日も、ちょっと買いすぎたかなあ。でも、後で買おうと思っていたのに、その後行くとなくなっていたりして、悔しい思いもする。古本は、やはり思いついたらすぐ手を出さねば。

実は、こうした無作為の本の探訪が、新たなアイデアを生み出すことも多いのだ。今回も、次のテーマになりそうな感触を得ることができた。もちろん、ヒ・ミ・ツ(笑)。

せっかくだから本日の収穫の1冊を示すと、

「はげ山の文化」(千葉徳爾・著)。昭和48年発行。
副題は……「はげ山」が語る日本人の社会と生活

う~ん、匂い立つような本だ(笑)。これは、正確には同じ著者による前書「はげ山の研究」のリニューアル版である。私の『「森を守れ」は森を殺す』と『日本人が知っておきたい森林の新常識』の関係のよう。。。(⌒ー⌒)。

現代日本では、あまりはげ山を意識することはなかったが、かつて日本全国にはげ山は広がっていた。こうした情報を今風に切り取れたらよいなあ、と思う。

古本業界には、昔の情報を今につなげる文化のようなものを感じる。

 

 

全然話は違うが、先日、私のいらない蔵書に娘の児童書関係を処分しようとブックオフに持ち込んだ。なかには美本や漫画本もある。ブックオフは、本の中身より見た目で判断すると聞いたから、そこそこの値が付くのではないか……という期待があった。
といっても、定価の10分の1くらいを意識した。それを半額で販売すれば、よい商売だろう。売れ残りを105円均一に回しても損はしないはず……。

が、甘かった。値のつかない本があり、ついたものも定価の30分の1、いや50分の1か。1冊10円程度が大半だ。

しかし、こりゃすごい商売だね。持ち込んだものを安値だからと引き上げる人は少ないだろう。もともと処分目当てだから。一方、店側は売れなければ、どんどん値引きして、どんどん廃棄すればいい。そして回転を早めるのだろう。そこに本に対する愛は感じ取れないなあ。

だいたい店内には、本を吟味するには似合わない音量で賑やかな音楽をがんがんかけて宣伝放送もがんがん入る。あんまり考えずに本を買え、という意図か。

やはりブックオフに本の文化はないと痛感。拙著が持ち込まれないことを願う。

2012/05/02

森林・林業イベント情報募集

連休後半入りである。

さぞかし、世間は浮かれているであろう……。

というようなことはドーデモよく、今日はお願いを。

環境とCSRと「志」のビジネス情報誌』というキャッチフレーズの季刊誌『オルタナ
http://www.alterna.co.jp/
に、私は林業関係の小さな連載を持っているが、そこに毎号林業関連のニュース・イベント告知を5本掲載することになったという。

私の手元にあるものだけでは偏っているだろう。

もし、何かご存じの方がいれば(あるいは主催者自らでも)、教えてほしい。コメント欄に記してもよいし、メールで寄せていただいてもよい。

私の方で転送する。

ただし、確実に載るという保証はしない。また告知記事を書くための取材(多分、電話程度)を受ける可能性はある。(だから、できれば連絡先を。)

次号の締切りは、5月20日だそうである。

※追記。告知できるのは出版後だから、締切りの1か月以上先のイベントでないと意味がないでしょうね。。。

2012/05/01

リグニン産業、なるか?

こんな記事が。

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001204210003

ようするに、三重大学の舩岡正光教授が研究しているリグニンの実用化に向けて、徳島県那賀町にプラントを建設したというものだ。木材10キロを分解して、リグノフェノール3キロと、糖7キロを抽出する計画だという。

舩岡教授の研究に関しては、私も20年ほど前に取材していて、いたく感激したものである。
これは、木材の成分の3割を占めるリグニンを抽出することにより、新素材を作り出すものである。リグニンは、セルロースなどを接着して、木質を形作るものだから、たとえばセルロースだけで作った紙にリグニンを浸透させると、それは木質になるのだ。

この理論や基礎技術は、1988年に完成している。理屈は極めて単純。

これまでは、リグニンを破壊してセルロースだけを取り出すことばかりしていた(主に製紙など)。それを反対にセルロースを破壊することでリグニンを取り出す。この際、セルロースは糖に分解され、リグニンはリグノフェノールという物質になる……というだけなのだ。試験管の中では、簡単に行える。

ところが、実用化がなかなか進まず、とうとう24年。今回もようやく実用化実験プラントである。実は日本のリグニン研究は50年以上も前から行われてきた。にもかかわらず、停滞していたのだから、かくも実用化とは難しいものなのか。

ただ、近年急速に進んでいる。舩岡教授の研究だけでなく、森林総研でもリグニンから高性能活性炭素繊維の製造に成功している。北大もリグニンを炭素繊維に変換する技術を確立したと発表しているし、産学共同でリグニンよりエポキシ樹脂を開発も行われた。

数年後には、リグニン産業が生まれ、大きく成長するかもしれない。

私がリグニン産業に期待するのは、どう考えても木材の高付加価値需要は伸びないからである。

昔は、森林資源が逼迫すれば価格が上がるのではないか、と期待する気持ちもあったのだが、結果的に価格が上がれば木材を使わない方向に世情は動く。そして代替素材(金属や合成樹脂など)に移るだけ……という経済事情が透けて見えてきた。

人間の木に対する思いなんてのは、その程度なのだ。

わずかに意匠分野能分野に望みを託すが、これとて需要規模がどれほどあるかわからない。かといって、木材以外の需要も、エネルギー利用はマテリアル以上に安価だし、アロマなどに利用できる樹脂なども隙間需要しか生み出せないだろう。

となると、薬品分野で、樹液から癌の特効薬でもつくるしかないのか……と冗談半分に考えていたが、隠れた森林資源にリグニンがあることを思い出した。

考えてみれば、木材の強度を保つのもリグニンなら、エネルギーにしてもセルロースよりベンゼン核を持つリグニンの方が高い。量的には7対3だが、果たして燃焼したときのエネルギー量はセルロースとリグニンのどちらが高いか。

もともと私は、木材は小さく分解することで用途を増やしてきたと考えている。大径木から小径木へ。無垢材から寄木・集成材へ。さらにチップからのパーティクルボード、木粉からのファイバーボートへ。となると、次は分子レベルしかないでしょう(笑)。

リグノフェノールからはプラスチックが作れるし、先に記した通りセルロースと再結合させて人工木材も誕生させられる。またセルロースを糖に変えれば、食料品はもちろん、発酵させてエタノールにもできる。

もちろんコストの壁などもあるが、付加価値の高い商品づくりにつなげる一筋の光明を感じるのである。

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