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森と林業の本

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2012/05/13

吉野山~杉は杉でも

連休も終わり、桜も散ったから、吉野山~第3弾。

吉野山の杉と言えば、ようするに吉野杉。そこで想像するのは、大径木で真っ直ぐ林立する森の姿だろう。

が、吉野山の麓で見かけたのは、これだ。

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おわかりか。細い幹と樹頂部だけに葉を残した特殊な姿。

そう、台杉である。

吉野林業地と対に語られがちな京都の北山林業地で生産される特殊な台杉仕立を行っているのだ。

ここで、少し北山林業について。

北山林業と言えば、磨き丸太生産と、台杉仕立だろう。磨き丸太はいうまでもなく、床の間の床柱などに使う、皮を剥いて磨き上げた丸太だ。京に発達した茶の湯文化で数寄屋造りが持て囃された中で生まれた特殊な役物である。

が、実は磨き丸太の生産が多いのは京都ではなく吉野、つまり奈良県であることはあまり知られていない。明治以降、奈良県でも磨き丸太生産が広がり、「京仕立」の名で出荷されたのだ。思えば、吉野杉は植林後弱度の間伐を繰り返すが、その途中の細い丸太は磨き丸太用にぴったりだ。

もっとも、今は磨き丸太専用に細く無節の杉を育てているのだろうが。

ただ、磨き丸太の需要は激減している。

一方、台杉仕立は、土地の狭い北山で極細の丸太をつくる手法として生まれたとされ、枝や梢を落として、枝分かれを誘発し、まっすぐ細い幹を伸ばした。もとはれっきとした木材生産であり、垂木などに使われたが、今や園芸的な庭木として扱われている。

この台杉仕立まで吉野山で見かけるとは思わなかった。山というより平坦な庭のようなところでつくっている。しかし、この杉は、最終的にどんな姿に育てられるのだろうか。

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まさに穂先しか葉が残されていない。見たところ、根元で枝分かれというより、萌芽更新したものを幾本か育てているように見える。

正直言って、日本式庭園に似合う台杉仕立も、最近は需要がめっきり減ったそう。私も、こうした杉が、洋式の現代風の庭に似合うとは思えない。また価格も高くて、一般住宅向きには手が出ない。

ただ、この育林技法は面白い。もっと、今の住宅に担う台杉仕立のデザインを考えれないかなあ。デザイナーから提案してみたらどうだろうか。大きさもずっと小さくして、盆栽感覚の庭木をつくる。価格も抑えてほしい。そうしたら再び人気を呼ばないかなあ。

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コメント

 祖父は自分の山では人工磨き丸太専門にやっていて、バブルの頃は月に3本ほど伐って生活していましたね。(小屋に山のようにプラスチックや木のパターン(?木に針金で巻いていくもの)が置いてありました。
 手剥きすると水圧や砂で剥くより高く売れる+杉皮が売れるので、子どもの頃、お小遣いを貰うため、長期休みで吉野に言ったときは、よく剥いていました。
(買った銘木屋は、クソ高い床柱を小学生が仕上げているとは夢にも思っていないだろうなぁ)

月3本で生活ができたという値段が、今や夢のまた夢です(@_@)。

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