本当の林業就業者数は?
日本の林業就業者の人数は何人だと思うだろうか。
多少とも林業をかじっている人なら、「5万人を切った」と聞いているはずだ。私も4万数千人だったと記憶している。それも年々減少傾向が進んでいて、平均年齢も60歳近く。
全国合わせて、これくらいかよ、と危機的状況が浮かび上がるのだが、驚くべき統計の数字を見つけた。
2010年の国勢調査の結果の抽出速報集計では、6万6900人となっているのだ。
その前の2005年の調査では4万6618人である。つまり、5年で2万人以上増えた?
ほとんど5割り増し? そ、そんなバカな。
ちょっと信じられないが、どうやらこの間に産業分類の変更があったからだという。つまり、森林組合の従業員は、これまで「その他(協同組合)」に分類されていた。それを改めて林業に振り分けしたから、2万人も数字上は増えた……というのだ。
これって、今までの統計には、森林組合の職員や作業員は林業就業者に入っていなかったってこと? だから緑の雇用事業で働く人々もほとんど森林組合勤務となるからカウントしなかったということになる。
1、2年で辞める人もいるが、研修後、残って居つく人だっている。その動態がわからない。
緑の雇用には若者が多いが、彼らが反映されなかったら、平均寿命も下がらないだろう。
さらに「自営・一人親方」の把握は難しいとある。山村に住んで、身内なりコネで依頼された山仕事をしている人は、統計の網に引っかかりにくいのだ。また、彼らは毎日山仕事とは限らず、季節性もある。年間何日間と副業的な人もいるだろう。
となると、2010年度の数字(6万6900人)が実態に近いとは言えるが、まだまだ捕捉されていない山行きさんもいるだろうし、そもそも、これまでの数値が当てにならないことになり、動態が把握できない。
そもそも、この林業就業者には、管理職とか事務専従職も入るだろう。
林業の現場作業者としては、
1985年 96381人
1990年 73337人
1995年 58754人
2000年 46868人
2005年 33237人
こちらは順調に減っている(~_~;)が、肝心の2010年は国勢調査の結果がまだ公表されていないのだ。
一体、林業従事者は増えているのか、減っているのか?
なんだか、こんないい加減な統計を元に林業を語っていたのかと思うと馬鹿らしくなる。
もっとも、実態に近づいて増えたと言っても全国に6万人では……大企業1社分にすぎないけどね。
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実は、山林所有者の数も よく似た感じのようです。
○ha以上の持ち主の数しか カウントされず それが県の数字として公表されてたり・・・。
私には、その意図がよくわからないのだけど。
投稿: ki | 2012/05/28 23:15
山林所有者数もいい加減ですか。それでは「人工林面積」というのも、あんまり当てにならないでしょうね。
「人工林1000万ヘクタール」も怪しくなってきた(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2012/05/29 00:09