古本市にて
大阪・四天王寺で開かれていた青空古本市に出かける。
非常に大きな規模で、早く行きたかったのだが、天候不順なども重なって、最終日の今日になってしまった。
とくに目的とする本があるわけではない。ただ、新刊書の書店に流通しない本を眺めているうちに、何かピンと来るものを見つけるのである。そして興味と価格のパフォーマンスが合えば購入する。
新刊のときに軽い興味を持ったものの、すぐに買う気にならなかった本が安値なら、とりあえず買っておこうか、というケースもあれば、ギュッと喉から手が出そうな本にも関わらず、高すぎて手が出ない本もある。それでも、こんなイベントだと財布が緩みがち(^o^)だ。
今日も、ちょっと買いすぎたかなあ。でも、後で買おうと思っていたのに、その後行くとなくなっていたりして、悔しい思いもする。古本は、やはり思いついたらすぐ手を出さねば。
実は、こうした無作為の本の探訪が、新たなアイデアを生み出すことも多いのだ。今回も、次のテーマになりそうな感触を得ることができた。もちろん、ヒ・ミ・ツ(笑)。
せっかくだから本日の収穫の1冊を示すと、
「はげ山の文化」(千葉徳爾・著)。昭和48年発行。
副題は……「はげ山」が語る日本人の社会と生活
う~ん、匂い立つような本だ(笑)。これは、正確には同じ著者による前書「はげ山の研究」のリニューアル版である。私の『「森を守れ」は森を殺す』と『日本人が知っておきたい森林の新常識』の関係のよう。。。(⌒ー⌒)。
現代日本では、あまりはげ山を意識することはなかったが、かつて日本全国にはげ山は広がっていた。こうした情報を今風に切り取れたらよいなあ、と思う。
古本業界には、昔の情報を今につなげる文化のようなものを感じる。
全然話は違うが、先日、私のいらない蔵書に娘の児童書関係を処分しようとブックオフに持ち込んだ。なかには美本や漫画本もある。ブックオフは、本の中身より見た目で判断すると聞いたから、そこそこの値が付くのではないか……という期待があった。
といっても、定価の10分の1くらいを意識した。それを半額で販売すれば、よい商売だろう。売れ残りを105円均一に回しても損はしないはず……。
が、甘かった。値のつかない本があり、ついたものも定価の30分の1、いや50分の1か。1冊10円程度が大半だ。
しかし、こりゃすごい商売だね。持ち込んだものを安値だからと引き上げる人は少ないだろう。もともと処分目当てだから。一方、店側は売れなければ、どんどん値引きして、どんどん廃棄すればいい。そして回転を早めるのだろう。そこに本に対する愛は感じ取れないなあ。
だいたい店内には、本を吟味するには似合わない音量で賑やかな音楽をがんがんかけて宣伝放送もがんがん入る。あんまり考えずに本を買え、という意図か。
やはりブックオフに本の文化はないと痛感。拙著が持ち込まれないことを願う。
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木に対する愛着や思い入れと同様、
本に対するそれも変化しているんでしょうか。
本好きにとっては淋しい事です。
ただ、自分自身も電子書籍の出現で、
紙の本の欠点「重い・場所をとる・傷む・入手が困難・・・などなど」
が以前より気になります。
いっそこの世の全ての書籍が電子化されたらスッキリするのでしょうか。
google社、早くやってくれ。
投稿: 島崎三歩 | 2012/05/04 13:58
電子書籍は、まだビジネスモデルが確立できていないので、今のところは期待していませんが、潜在的な可能性は大きいと思っています。
ただコピー対策は、よほど厳重にしていただかないと、著作権が壊滅しかねない。執筆者としては、危険視せざるをえないですね。
投稿: 田中淳夫 | 2012/05/04 23:10
そうですね。難しい問題ですね・・・
日本の行政府や法曹界、出版業界の電子書籍への対応のスピードの遅さが
心配です。
投稿: 島崎三歩 | 2012/05/05 15:24
活字で刻印する本が好きです。
迫力を感じますね。
啓蒙書、健康書をアマゾンに売ることがありますよ。
田中さんの本、数冊です。
本棚の右端に中村桂子さん、野口悠紀雄さん、尾崎左永子さんなどと並べています。
本の姿に支えられる思いです。
投稿: 岩井拓実 | 2012/05/06 20:53