森林・林業教育の変遷
この春、京都に開校した京都府立林業大学校。
私も、少し講座を受け持っているので、その打ち合わせをした。
この大学校は、京都府農林水産部直営?の学校で、即戦力的な林業教育を売り物にしている。高性能林業機械の扱いから、木材加工、流通、そして公共政策まで教えるというものだ。
詳しいことは、こちらまで。
http://www.pref.kyoto.jp/rinmu/resources/1306973699631.pdf
同じく今春、愛媛大学に開講したのが、森の国(地域再生人材創出拠点)。大学院クラスや社会人の森林管理高度技術者養成など、こちらも林業に関する人材育成だ。http://morinokuni.agr.ehime-u.ac.jp/file/pamphH24.pdf
振り返れば、こうした教育機関の先駆が岐阜の森林文化アカデミーだし、
http://www.forest.ac.jp/
林業技術者の「学び直し」を掲げたのは鹿児島大学。
http://agri2000.agri.kagoshima-u.ac.jp/~env/FEM/manabi/
それぞれ特徴を出しているから、カリキュラムや内容には違いがあるのだが、このところ林業教育の場をつくろうという社会的要請が強まっているのだろう。
考えてみれば、これまで林業の人材育成は、高校の林業科のほか、大学の林学科であった。京都府だって京都府立大学を持っているのだ。
だが、今や既成の大学教育では、林業の人材育成は行われなくなったのだろう。
思えば、私は「林学」とは「森林学」と勘違いして、林学科に進学し、入ってから「林学」とは「林業学」であることを知ってショックを受けた。
ところが、実はこの頃が曲がり角で、以後「林学」は「森林生態学」を中心とした学問の場となっていく。農学部や林学科などが消えて、生物資源学部? 森林科学科? などわけのわからない名前になって、林野庁の営林局・署も、森林管理局・署に名を変える。林業白書も、森林林業白書になった。
皮肉なことに、林業学が森林学に衣替えした今頃になって、林業学の重要性に光が当たりだしたようだ。森林資源を生産するのは、林業だからだ。そして林業再生なくして、中山間地域の振興も進まないことに気づいたのだろう。
だが、すでに既成の教育では、林業人材の育成はできなくなっている。そこで、改めて、林業教育機関の設立が相次いでいる……。
私の見立ては、こんなところだ。林業教育にも時代の流れによる変遷があるわけだ。
どうせなら、私の講座では、この「森林林業教育史」でもやろうかな(⌒ー⌒)。
« 修正・議員会館の食堂の割り箸が… | トップページ | 木のまちづくりを拒むもの »
「林業・林産業」カテゴリの記事
- トランプは森のラストベルトを救うか(2025.03.14)
- 林業機械に林業3原則を植え付けろ!(2025.03.10)
- トランプ、木材にも関税か(2025.03.04)
- 見えないカルテルが、木材価格を下げる(2025.01.13)
- 理想の林業~台湾の公有林がFSC取得(2024.12.27)
コメント