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森と林業と田舎の本

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2012/06/07

スイス林業は世界一?

明治から戦前にかけての、日本の林政の変遷を調べている。なかでも注目なのは、欧米の林業を視察した記録である。

何冊もあるし、まだパラパラ読み出したばかりだが、すこぶる面白い。

そこで気がつくのは、決してドイツ一辺倒ではないことだ。たしかにドイツ林学は当時から先進的で、日本に林学を導入する際もドイツに学んでいるのだが、実は多くの国を視察してどこがよいか探っている。たとえばフランス林業に関してもかなり取り込んだ形跡がある。フランス文献を日本向きに翻訳しているのだ。また各国の助っ人外国人の林業技師も何人も招聘している。

国で言えば、ほかにフィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク……ドイツだって北ドイツと南ドイツは区別している。(正確にいうと、プロシアも登場する。)さらにイタリア、イギリス、ベルギー、アメリカやロシアも……。

必死でモデルになる国を探したことが伝わってくる。

なかでも目を引くのは、スイス林業である。意外なことに、スイスの択伐林こそ最高の林業経営という主張が広がった時代?があったのだ。

なんたって視察者は、出発する前に大先輩より「スイスの林業さえ見れば他の国は見なくてもよい」とさえ言われている。スイスの林業は択伐で成り立っていて、それは林業の最高峰だという。当時、日本でも択伐施業が大はやりだったからだろう。

ところが勇んで訪れると、どこでも択伐を取り入れているわけではないうえ、細かな条件があることを知る。気候、地質、地形……そしてきめ細やかな技術。だから、一斉林を択伐林にするのは、100年以上かかることもあるし、そもそも無理な場合が多い、と聞かされる。

あげくに、外国人が視察に来ると、自身の手がけている特殊な施業を見せて良好な実績を示す人物がいたことで海外では有名になった、しかし彼が生存していた間で終わっている……と告げられるのだ。

またデンマークの営林署長に「日本人は時時、吾吾の林業を見に来る。しかし、1日か2日で帰ってしまう。それでは却って吾吾の林業が誤解されるおそれがある」といわれた人がいて、何か月も勉強するつもりがある人なら、経費その他一切を自分で引き受けてもいい、とさえ誘われたそうだ。

……しかし、そう勧められたからと、半年の予定だった視察を勝手に2年に延ばしてしまった人もすごい(笑)。今の官僚にそれができるだろうか。

それでも「外国に来て先進地を見る時、その個々の珍しい技術を鬼の首でも取ったように丸呑みしてそれを導入する」から危険であると記されている。

いやはや、今でも通用する言葉だなあ(笑)。

というわけで、実は私もスイス林業の視察に参加することになった

来週15日出発で2週間ほどだ。

しっかり見てきます。学んできます。仮に十分身につかなくても「鬼の首を取ったように丸呑み」はしません。

この視察者は、アルフレート・メーラーに会って、「森林と木に対する愛が生き生きとしているならば、林業の多くのことは習得される」といわれたそうだ。この言葉を信じて、「愛」を持って、時間が短いことを補おう(^o^)。

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コメント

そう言えば、昨年も「愛」を語っていたような。
うん。そうだ。
「フクシマ愛」でした。
ありがたいことでした。

もしや、この季節が「愛」が芽生えるの季節?
今回は、う~ん、「森林愛」でしょうか。

そうだった。福島を始め被災地を回って、帰りに東京でソトコトの取材を受けて、そのテーマが「森林愛」。

フクシマ愛と森林愛は、相性がいいのです。

偶然私も17日から一週間スイスなのです。スイス東部のMaienfeldで開催される大学院生対象のサマースクールに参加します。どこかですれ違ったりしたら面白いのに、と思いました。そんなうまくは世の中運ばないでしょうけど。

おお、偶然ですね。こちらは視察団だから、勝手な行動はできませんが、どんな奇跡が起きるかわかりませんよ(^o^)。

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