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2012/06/09

林業が面白くない……魅力はどこへ行った?

古い林業関係本を読んでいて、ふと思ったこと。

どうも最近の林業は面白くない……。昔の林業は読んでいて面白そうなのに、現代に視点を移すと、途端に魅力が減じるのだ。

こんなことを書けば、自己否定?自分で自分の足をすくっているようなものかもしれんが、私の肩書は森林ジャーナリストであって、林業ジャーナリストじゃないし、と反論・弁明しておこう。

ともあれ、面白くないという前に、以前は何が面白かったのか考えてみた。

折しも、「聞き書き甲子園」の案内が届いた。森の名手名人に高校生が仕事を聞き書きするという企画、もう11回目になるのだ。最近は森だけでは足りずに川や海関係者も対象に広げたようだが、

「時代を担う高校生に「名人」との出会いを通して、古く化から受け継がれてきた自然と生きる知恵や技、価値観に触れ、自然と人との“つながり”を見つめ直すきっかけとしてもらえる」

ことを狙っているらしい。

私も吉野の林業一筋に歩んだ辻谷達雄師(^o^)の話を聞き取り『山は学校だった』を執筆しているとおり、こうした行為の価値はよく理解している。おそらく参加した高校生は、きっと人生の先達の話に大きな影響を受けるだろう。

ただ、この「聞き書き甲子園」の対象となる名手名人とは、ほとんどが古い技、古い時代に生きて技を身につけた人ではないだろうか。継承していると言っても、後継者がいなかったり、今は需要が激減している分野が多い。
ごく稀にチェンソーアートなど最近の技も混ざるのだが、これだって名人に選ばれた人は、実は飛騨高山の合掌造りの職人だったという裏事情がある。さもないとドラマにならないだろう。だってチェンソーアートを初めて3、4年なんだから……。

では、現代の林業はドラマとなり、後世に残すべき技を持つ名手名人は生まれるだろうか。グラップルのつかみ方が神業とか、プロセッサでミリ単位の寸法に玉切りできるとか。一人で1日に30立米の木材を出しますぜ、とか。

もちろん、それらだってすごい技術なんだが、かつて林業に触れたときのわくわく感がない。これは私個人の感想であるから、わくわくする人だっているのだろうが……。

林業に魅力を感じるのは、そこに夢があったからだ。林業は産業であり、主に木材生産が目的ではあるが、木を伐ることで森をデザインする面があった。100年先の森の姿を描けたし、雑木雑草も含めて視野に入っていた。それが、現代林業に顔を突っ込めば突っ込むほど見えなくなる。。。

高性能林業機械に乗って、林地に一度も足を下ろさず作業を終えることだって可能になってきた。重機を操ることに喜びを感じる人はいいのだが、ちょっと違和感がある。

林業が目先の生産性や効率を追いかけ、補助金をいかに適応させるかを気にする仕事になってしまってはいないか。

森の名手名人に聞き書きした高校生が、それをきっかけに林業に興味を持って、現代の林業界で働こうと飛び込んだら、失望させることになるのではないか。

現在の林業現場が、林業の魅力を自信を持って示せなければ、本当の意味での将来はないだろう。そして、今は極めて瀬戸際にあるように感じてしまう。

……この件に関しては、まだ十分に発酵していないので、もう少し考えを深めてみたい。

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コメント

うちにいる就森者は、森づくりがしたかったけど林業の伐採ばっかりで嫌になった、ということを言っていました。森づくりという大きな世界の一部に林業というビジネスがあるわけで、林業∈森づくりなのですが、現状の就職先では森づくりが難しい。。。

近所の林家は将来性を見据えた施行はしているのですが、今度はなかなかカネにならない。

難しい問題ですが、環境支払い制度をもう少し充実できないかなと思います。田中さんの言うように森林保有税を創設して、ほったらかしの山からカネを取って、しっかり手入れして森のめぐみを与えている森へカネを払うという制度です。

森の聞き書き甲子園は、制度ができた時に「ボランティアとの協働の分野で私を聞き書きの対象に入れてくれ」と電話をしてみたのですが、ダメでした。

電話したんですか。それはスゴいな(笑)。
今一度トライしてみては。ネタ不足らしいから。だいたい年間100人以上選んでいるんだから、もう1100人を越えているんですよ。もう無理が来ている。

人は、林業ではなく、森づくりに魅力を感じるのですよ。だから林業従事ではなく、就森なのです。

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