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2012/07/10

「スイス」という思想~歴史を振り返る

これまでスイスの林業事情の断片を有料ギリギリ無料情報(^o^)として紹介してきたが、実はこんなもの、知っても仕方がないのである。

そもそも林業なんて、その土地の自然条件や社会条件に左右されるもので、そのままでは彼の国の他人事以外の何者でもない。知るべきは、自らに還元される根幹の思想的背景ではないか……と思っている。

カテゴリータイトルを、『森から見た「スイス」』としたのは、スイスという国を森の歴史から見ることによって投射できないか、という思いからだった。スイスの林業を描くのではなく、スイスという国を考える際の切り口として森林・林業を考える。もちろん、それを裏返しにすれば、国の姿からスイスの林業を理解する助けになるだろう。

実は、その前に『森から見た「ニッポン」』も考えていて、同様に日本という国を森林史を通して描く可能性を考えていた。人が森とどのようにつきあってきたか、という切り口によってニッポンの新たな姿を浮かび上げ切り取れないかという、ちょっと気宇壮大な発想だ。

そこで、またまた断片的ながら、「スイス」という思想をかじってみたい。もちろん有料ギリギリ無料情報である。

手始めに、スイスの歴史をかじる。

……と言っても、スイスという国はいつ誕生したのか探すと、早くも混乱する。

旧石器時代の遺跡はあるそうだが、クニらしきものを形成するのは、紀元前1500年ほど前にケルト系のヘルウェティイ族の部族国家が最初である。そこに勢力を伸ばしたのがローマ帝国で、やがてゲルマン民族の大移動が始まり、ローマ領となる。西ローマ帝国の衰退後はブルグント王国ができるが、やがてフランク王国となり、さらに分裂後は、神聖ローマ帝国の一部となった。が、これは小領主の集まった地域だったということだろう。神聖ローマ帝国に政治的実体は希薄だからである。

やがてハプスブルク家が自らの勢力下におこうと侵出してくるが、それに対抗するために中央スイスの3地域(諸公)が1291年相互援助の「永久同盟」を結ぶ。これが原初スイスのスタートだ。

その後はモルガンテン同盟とかルツェルン同盟、チューリッヒ同盟、8邦同盟……この過程は複雑すぎて読んでもわからんが、形を変えながら同盟参加諸公を増やしていく。一時は非同盟国を攻めて支配下に置くような時期もあったようだ。またツィングリの宗教改革もあったし、宗教的にも様々な勢力が割拠したらしい。そして多くの戦争が起きた。

そして神聖ローマ帝国から独立し、ナポレオンの影響下に入ったり、また独立したり、分離同盟戦争が起きて……わからん(-_-)。ナポレオン後の1815年ウィーン会議で永世中立国となったことは有名。とにかく1848年に初期のスイス連邦が成立する。

なんだ、日本の明治維新に近い年に正式に独立近代化したのである。

とにかく、スイスは小領主の国の同盟体として形成されてきて、強大な中央集権国家の経験は一度もない。それところか連邦国家の意識も希薄で、各州の同盟が基礎になって生まれている。連邦ありきではなく、州(カントン)ありきなのだ。

そのため州(カントン)の権限が強く、またその中でも市町村のチカラが強い。さらに直接民主制であり、市民による合議制である。連邦の権限は限定的だ。そういや、スイスの大統領なんて、誰も知らないだろう。いない……というか、持ち回りなのだから。

言い換えると、極めて分権的で各地ごとに独自性があるということだ。また強力な権力もないことになる。そもそも分権という言葉自体が中央的発想であり、本来は「自分で決める」「お上にゆだねない」ではないだろうか。

同時に、歴史的に周囲の国から狙われてきて、その中で小国の生き残りをかけて複雑な手練手管を展開してきたことがうかがえる。小国が次々と同盟を結び、同時に複数の国に保険をかけておく。永世中立だって、甘っちょろい平和主義ではなく、武装中立であり、国民に極めて重い国防負担を強いている。仮にスイスを攻めたら死に物狂いの抵抗が待っていることを周辺諸国は感じている。また国際政治の外交の場を提供するとともに、金融の要になる道を選んだのも生き残り策の一つだろう。
だからこそ第1次、第2次世界大戦を、基本的に無傷でかいくぐった。

分権と生き残り。この2つがスイスの国是とも言える意識ではないか。

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スイス国旗がはためくチューリッヒの町並み。

 

国旗が正方形というのは、スイスだけだそう。

ともあれ、分権指向の高いスイスに森林政策に当てはめると、多様性の高い林業を展開する素地があることに気づくのである。

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