森林コミュニケーション
スイスのフォレスターについて若干触れたが、彼らを生み出しているのは、ちゃんとした教育機関「リース・フォレスター学校」である。
学校は、木造3階建て。その構造も面白いし、また内装も興味深い。この点を語るだけでかなり書けてしまう。
宿舎もあり、我々もそこに泊めてもらった。
ただ入学するには、義務教育9年を経て森林作業員としての職業訓練を3年、上級森林作業員になって……そのうえでこの学校で2年間学んで、そこで座学に実地研修をみっちり行い、ようやく国家資格としてのフォレスターを受験できる。かなり厳しいことは間違いない。
1969年設立で、これまで1000人の卒業生を出しているらしい。毎年20~30人程度の計算になる。経営は、11の州の出資で作った基金で成り立つ。
またフォレスター以外のレンジャー養成コースもあるし、林業会社の経営やら作業員の再教育などいろいろコースがあるそうだ。それらに対する教育カリキュラムも詳しく教えてくれた。
が、この学校でどんな教育がされているか……ここまで来ると、またもや有料情報の域に達する(⌒ー⌒)のでパス。実は、この当たり、まともにメモを取っていない私は、記憶していないのだが……(-_-)。いや、その、有料情報だからね。
ただ、鮮烈に覚えていることがある。
それは、「森林コミュニケーション」という単位があることだ。
森林コミュニケーション!
コミュニケーション能力がなければ、フォレスターにはなれない。いや、向いていない。
我々は何なのか。どのようにする(したい)のか? 現場はもちろん社会、経営、経済、みなコミュニケーション力を磨くことで目的を遂行できる、そして必要なネットワークを築いていなければないない……。
う~ん。
日本のフォレスター(に限らず、施策遂行担当者を含む関係者)は、森林の知識なんか後回しにして、これだけでも学んでほしい。命令したり、補助金ぶら下げたり、パワーハラスメントして実行するのではなく、コミュニケーション能力で勝負してほしい。
« 樹齢は気にならない? | トップページ | 「スイス」という思想~歴史を振り返る »
「海の向こうの森」カテゴリの記事
- 阿里山の林業史をたどるギャラリー(2024.10.02)
- 東洋一だった嘉義製材所の目玉は(2024.10.01)
- 阿里山のスギ林(2024.09.30)
- ベトナム・アカシア林の伐期(2024.08.30)
フォレスターは、医学、法学よりも権威のあるものと考えます。今の日本の性急な中身の薄い、しかもコンサルへ丸投げ的な方法で、森林と会話できるフォレスターなど育つはずがないですね。
投稿: とも | 2012/07/10 09:50
医学、法学よりもですか。それはスゴい……というより、日本の実情と正反対。
日本では、まず法学を納めたものが実権にぎります。
……日本の官僚だけでなく、政治家も法学部・法曹職出身者ばかり。もちろん、林野庁も。
法治国家というけれど、法の支配なのか、法による支配なのか……。
でも、法だってコミュニケーションが第一のはずなんですけどね。
投稿: 田中淳夫 | 2012/07/10 11:59
比較するものかどうかは別として、
床屋さんの情報収集能力は極めて高いといつも感心します。
(人にもよると思いますが)
その情報の質で客層も変わってくるのかなあとも思ったりもします。
投稿: 鈴木浩之 | 2012/07/10 12:15