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2012/08/30

漆業界の秘密

昨日は、真っ当な漆掻きの様子を紹介したから、今日はもっと裏側のダークな部分を(笑)。

そもそも漆とは何か。正式にはウルシノキから採取する樹液なのだが、成分はウルシオール。だが、ほかにラッコールやチチオールを成分とする「漆」も、東南アジアで産していて、多少は日本に入っている。

しかし、それ以前に現在の漆器の4分の3を占めるのが、ウレタン樹脂塗装だ。見た目はあまり違いがなく騙されがちだが、こちらは言うまでもなく合成樹脂。表面だけ漆を塗って、下地は合成樹脂という代物も少なくない。

そして4分の1の本来の漆を使った作品のうち98%は中国産漆だという。国産漆は、わずか2%しか生産されていない。

が、驚くのは、この先だ。

国産漆と言っても、その中身は決して100%ウルシノキの樹液とは言えないのだ。なぜなら業者が混ぜ物をしているから。漆掻き職人は、業者に売り、業者が漆芸職人に売るのだが、この間に何があるのだろうか……。

私の聞いた話によると、完全な国産漆はさらに少ないそうだ。たいてい中国産漆を混ぜる。次に伸びをよくしたり乾燥を早め固化を強める添加剤を入れる。さらに水や油で薄める。なかには水飴を入れて粘りを出したりもする。そして、色をつける。

最近は、流通が崩れて、直接産地に漆を買い付ける漆芸家もいるので、少しずつ本物の漆が出回ることもあるそうだが、こうした事情を知っている漆芸職人はあまりいないそうだ。

しかし肝心の漆の色が灰色になっていたりする。それでも気づかないのは漆芸家自身が、本物の漆を見ていないからだ。
本来の漆は半透明だし、匂いも少し甘いようなかぐわしい醤油のような香り。だが、中国産のものは、管理が悪く腐敗臭がするものも少なくない。日本と採取技術も違うし、もっとも質のよい漆は輸出しないともいう。

さらに、漆芸の職人と作家の間にもダークな闇がある。

漆を使った蒔絵などの作品は高値がつくが、そこに付く作家名が、本当の作者とは限らない。たいてい職人に発注している。通常はデザインを指定するものだが、なかにはまったくお任せで作らせて、それを買い取り自分の名で10倍の価格にして売るケースもある。

だから、たまにテレビ局が漆芸作家の取材で工房(と称する場所)を訪れても、その作家は実際の作業はできないそうだ。だって、まったく技術がないから。

……ま、こんな裏事情を、その現場の職人に聞いたのだから、間違いないでしょう。ああ、でも書いちゃったなあ。

漆を英語では、ジャパンというそうだ。本当に現在もそうなのか知らないが、かつて漆器などの作品が欧米で持て囃され、日本の漆芸技術の高さを象徴する話になった。しかし、今や材料から技術まで空洞化が進んでいるのだ。

※追伸

Photo


写真追加。これが本物・混ぜ物なしの国産漆。

半透明なのがわかる。

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森林資源」カテゴリの記事

コメント

ウレタン樹脂もだけど、さらにエグいのは木地の「天然木加工品」だと思います。合成樹脂に木粉を混ぜたもの。デパートの漆器売場で表示を確認すると、半分はこれ。手に持つとずっしり重い。本物の木は軽い。「天然木加工品」なる名称が合法という現状は許しがたい。

商品としての漆器の問題点は、木地(素地)の質や、下地の丁寧さなどは、買うときには確かめようがないこと。手抜きで制作していても、外見からは判別がつかず、何年かしてやっとボロが出る。だから、絶対に本物がほしければ、ほんとうに信用のおける作家さんから買うしかない。なんという狭き門。

「漆=ジャパン」は、松田権六が広めた、ほとんどヨタ話。実際には「近世にかけての一時期、ヨーロッパでそう呼ばれたことがある」だけ。いま話してもまったく通じない。漆は、ジャパニーズ・ラッカー、またはウルシ。北國新聞社『漆はジャパンである』に詳しい検証が。

「天然木加工品」は、木粉から作っていることを隠すネーミングですね。
「木」をうたったプラスチックは業界に溢れています。
でも「ほんとうに信用のおける作家さん」とは誰ですかね。人間国宝にだって自分で塗っていない人はいるもの。いっそ、作家ではなく職人から直に買った方がいいですよ。でもほとんどの職人は、漆に興味持っていないから……。

今では漆を「ジャパン」と言わないことは知っています。チャイナが陶磁器を示すのはどうかな(^^;)。

こんなかんじで、世の中の裏事情や、カラクリ、真実、陰謀等が全て明白になったら人間不信になりそう(笑)

知ってしまった私は……(笑)。

漆を正直に塗っている者もいるんですがねぇ。
価格の安い漆器があまりにも多いのでお客さんには何故そんなに高いのかって云われますー。
カシュー漆のにおいを本当の漆と勘違いしている人もたくさんいます。
国産漆も漆問屋さんで精製するのでーとおっしゃってますので、
混ざりもの無し100%の国産漆って我々には入手出来ないですよね。
うちみたいに木地もつくって漆も塗って。安く売って・・・。

曽爾村に漆を掻きに行ったときのぬるべの漆や、阿波漆なんかはきめ細かく使い心地、色も全然違います。
植樹した漆は10年位で採取出来るのでしょうか?
漆を植えて掻き使うのがいちばんいいんですかね。

曽爾村に漆掻きに行ったのですか。日本最初の漆産地、復興できるかな?

もちろん、漆を塗っている人はマジメにやっているのだと思いますよ。
ただ、その前段階の漆に混ぜ物してあったり、職人が塗った作品を自分の名で世に出したり……という話が多すぎるのです。

100%国産漆も、最近は産地から出回るようになったそうです。そもそも漆芸業界が縮小して、卸し業者が撤退したからだそうで……。

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