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2012/08/27

『吉野林業全書』の復刻

私的にちょっと驚きのニュース。

『吉野林業全書』が復刻されることになった。発行元は、日本林業調査会。

http://www.j-fic.com/books/isbn978-4-88965-221-5.html

書 名:吉野林業全書 ―現代語訳付き―
監 修:土倉梅造
規格等:B5判 248頁 並製 ISBN978-4-88965-221-5
定 価:5,000円(消費税込み(本体価格4,762円)、送料無料)
発売日:2012年9月3日

『吉野林業全書』とは、明治期に吉野林業が持て囃され、全国に普及する過程で多くの吉野林業を紹介する本が発行されたが、その中でも決定版とも言える代物である。

原書の発行は、明治31年。それを現代語訳をつけて復刻したのが昭和58年だが、長く絶版になっていた。それが、急に再版とは。

発行は9月3日だが、前日までにネットで申し込むと1000円お安くなるようで、早めに紹介しておく。

ちなみに、私はすでに所蔵しているよん。なかには、原書のコレクターもいるそうだ。

Img036

 


これが、原書の表紙。石版印刷だそうだ。

そこに並ぶ名前を見たら、山形有朋や品川弥二郎など錚々たる人物の推薦を受けている。そしてその一角に土倉庄三郎が校閲として名を連ねている。





   

文章のほか写真もあるが、目立つのは図版だ。豊富な絵柄で、林業技術が紹介されている。
Photo_2 

Img037

    









   
左図は、ヒノキの枝打ちの様子。そのほか造林から始まり、育林、伐採、搬出、そして商品化や大阪の市場まで、細やかだ。どれほどの利益が上がるか具体的に書かれていて、当時の物価や山仕事の職人の生活をかいま見ることもできる。

右図は、川上村大滝の吉野川の曲がり鼻の地点を描いており、下の方には土倉屋敷が書き込まれている。これが、私の注目する理由である。

現代において、さすがに人力の搬出や商品化(主に製材のほか樽丸など)は、日本の林業史や民俗学的資料にはなっても、参考にはならないだろう。しかし、造林・育林技術からすると、非常に価値がある。

とくに、「質より量」の乱暴な林業がまかり通っている現場では、質を高めるこれらの技術が非常に価値を持つのではないか。

今後、伐採ばかりではなく、再び森づくりに注目が集まる時期が来る。決して、吉野の技術は、古びないはずだ。

ただ、一言。『吉野林業全書』を、実質、土倉庄三郎の著書として紹介する人がいる(この復刻版の前書きにもそう書かれている)が、それはうがちすぎだ。

この本の著者は、表紙に記されているとおり、森庄一郎である。彼も吉野の山主であり、吉野林業の技術に長けた一人である。彼は、各地に技術者として招聘されているから、決して単なるライター・編集者ではない。
ただ出版費用を土倉庄三郎が出しており、その際に庄三郎も眼を通して「校閲」したことは間違いあるまいが。

拙著も、これくらい息長く発行されたいなあ。もちろん、土倉庄三郎伝も。

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コメント

息長く。。
100年後くらいに復刻版とか。

んーと。。子孫に買うように遺言しておかねば。(^^)

100年後も色あせない本を書かねば(^-^)。
とりあえず、駄洒落は省かないと。。。

代々の遺言書を作成しておきます。

「割り箸はもったいない?」復刻させましょう!

子孫には原書、それも追補、最新事情版を挟み込んだレア物、超プレミア本、を遺してやろうっと!

こちらは100年も待てない(~_~;)。

次はカラーグラビア付きの豪華本にするとか、握手権とか投票権をつけて売り出すか……。AKBじゃない。。。

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