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森と林業と動物の本

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2012/08/01

祭の模擬店に学ぶ、材価の下落

今週末、8月4日は、地元・生駒の「どんどこまつり」であった。

私は、東京のセミナーに出るため欠席せざるを得ないが、実は毎年模擬店を出している。もうかれこれ10年以上になる。

売るのは、最初の頃はフランクフルトに焼き鳥、綿菓子もあったし、飲料も扱った。近年は、もっとも楽で利益率の高いフライドポテトに定着している。

もちろん、私個人ではない。当時は娘の学童保育関係であったし、今は当時の保護者の有志だ。今では私も手抜きになって、ほとんど実務は任せきり。わずかにフライドポテトを揚げることと、客の呼び込みくらいである。これだって技術もいるし、猛烈な熱気の中で行うのは大変。今年は、それもしないわけだが。

だが、最初はまなじりを決しての出店であった。なにしろ、ここで利益を上げなければ学童保育所で始めた延長保育制度が崩壊しかねなかったからだ。私が仕掛けて立ち上げたこの制度、最初は何の補助金もなく、自主運営。赤字がかさんでいたのを、この模擬店の利益で払拭しようという勝負の場であった。

当然、いかに利益を上げるか、販売戦略を練る。
ところが伏兵があった。いかなる素材を使おうと、市が販売価格を一律に指定してきたのだ。同じ品目で模擬店に価格差があってはいけないという、役所ならではの発想。私は、かなり大きく上等なフランクフルト・ソーセージを準備していたのに、価格がほかのスーパーで仕入れた安物と同じにされては利益が出ない。かなり焦った。

……結果は、圧勝であった。早い時間に全部売り切ったのだ。そこで、なんと売れずに困っていた知り合いの店の焼き鳥(冷凍の串)を買い取り、それをこちらで焼いて販売するという作戦に出た。詳細は省略するが、みんなの協力により、売り切って見せた。保護者も子供らも必死になった総力戦だった。祭の終末には一気に串の数を増やして、売れ残りを一掃。全部売り切った。翌日のない祭で、在庫を抱えるわけにはいかない。

そして赤字を埋めるに足りる利益を上げたのである。

……こんな思い出話(自慢話か?)をするのは、現在の木材価格の下落から連想したからである。

価格設定の上限を決められている中で販売する、利益を出すには、ものすごい知恵と努力が必要なことを身をもって知ったのだ。

これまで国産材が売れないのは、価格が高いから・・・と言い訳されてきた。実は高いのは役物だけで、一般材は外材より安かったわけだが、それに目をつぶってきた。

しかし、価格は十分に安いと指摘されると、今度は安定供給できないから、と来た。さらに乾燥させていないことも問題として、売れない理由付けになった。

そこで新生産システムなどで、大量に安定供給できる仕組みを税金注ぎ込んで作った。乾燥もさせた。
外材と価格を拮抗させ、安定供給、安定品質を達成した、さあ、これで国産材は売れるぞ、と考えたわけだ。だが、国産材の需要は伸びない。しかし、どんどん伐採されて市場に出てくる。伐出経費は補助金で賄うから、業者は赤字にはならないからだ。結果、丸太がだぶついて価格が暴落する……こんな有り様だ。

祭の模擬店で、フランクフルトの値段を同じにしたら、どの店も同じように売れる……と考えたのと発想は似ているかもしれない。いや、条件が同じなら、国産材を買ってくれるに違いない、と消費者の愛国心に期待したのかもしれないが、甘かった。

やっぱり売るためには、プラスαが必要なんだな。売る努力という。

当時の我が店は、売ることに関しての気合が違った、と思う。


P8050012

今は、運営ノウハウをため込んだから、楽しむための店だ。最小限の労力で儲ける体制が確立している。そもそも儲ける必要もない。利益も打ち上げ費用になる。
今年は私は参加できないが、娘(とその友人)らを送り込むことに成功。彼らに働かせて、私は打ち上げだけに参加しよう(⌒ー⌒)。

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コメント

売る努力も方法の良しあしや運も関係すると思います。
こんなにやっているのに、とか、イベントに参加しているのに、とかいう意見をたまに聞きますが、その仕立てやトークの質がカギになると思っている今日この頃です。

林業や木材のイベント出展もそうです。人だかりができるブースが優秀というわけでもないです。単にモノを配っていたり、何かがタダだったり。精錬されたブース展開をするか、あるいは田舎丸出しであるにもかかわらずそこには密かなコンセプトを混ぜ込んであるとか、人気があるブースは情報とか良さとかいう「お土産」を持って帰ってもらえたりします。
そういいながらも、私どもの出展はいつもやっつけ仕事でやっていまして、あまり人のことは言えないのですが、朝からの状況や客層を見て説明の内容やアプローチの仕方を変えたりします。今日はあまり客ツキが悪いからブースに入ってくれた人に集中しようとか、逆に呼び込みをして情報をなるべくばらまきましょうとか、いろんなこと考えます。
たまに、出展者の我々が楽しんじゃっている時もあったりもしますけど・・・・。

そう、「売る努力」も方法を間違うと、徒労になる。ここは厳密な方向性が必要ですね。
そういや、我々の成功を見て、ほかの学童保育所が出店したものの、大量に売れ残って赤字を抱えたと聞きました。やっぱり商売は難しい。

でも、出店者が楽しむのが大前提ですよ。

田中様
お久しぶりです。いや!その通り!!思わず、拍手してしまいました。売る努力ですよね。

祭など一過性の場で「売る努力」をするのと違って、日常的に「売る努力」をしている皆さんには、頭が下がります。
私も、持続性が足りない。。。

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