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2012/09/11

豪農・上田家の内実

本日訪れたのは、吉野町竜門の上田家

ここは、かつて豪農として知られ、竜門の庄屋も務めたお家柄。実は、奈良の歴史文化財関係ではちょっと知られた存在。というのも、上田家文書というものが存在するからだ。

上田家には、代々の人物が記録魔だったそうで、細かなメモが大量に残されているからだ。古くは天保の時代から数々の証書類からメモ書き、さらに明治の新聞まで残されている。古代史ばかりの奈良ではなく、近現代史における奈良(の、とくに農村部)を描くのに欠かせない資料として文化財指定も受けた。

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この蔵に、上田家文書は眠っている。蔵自体が築400年という代物で、漏電で火災になったら大変と、今も電気さえ引いていない。





ところで、豪農とか庄屋と言えば、さぞかし大金持ちだったろうと想像するが、当主の話によると反対らしい。大変な貧乏をして、しかも借金まみれだったという。

なぜなら、庄屋になると、幕府などの使者を受け入れたり、また集落のイベントや事件がある旅に出費を強いられるからだ。多少の田畑を多く持っていても追いつかないほどの支出があり、しかも体面を守るためにしなければならない贅沢も多いのである。

そのため山やら田畑などのほか家宝の骨董・家具のほか、庭の石、燈籠まで売り飛ばし、最後は幕府の使者を受け入れるために建てた豪華な離れまで売却した。明治になって必要なくなったからだろう。それでも間に合わず、土倉家に莫大な借金をした。本当は明治維新の時に踏み倒せばいいのに(~_~;)、マジメにコツコツ返し続け、返済が終わったのは大正年間だという。

だから当主は、「うちは、土倉家より先に没落した」と自慢する(^o^)。でも、今も家を残しているのだから、ある意味生き抜いたのだ。

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これが当時の家の梁。築200年以上だそうだ。今は使っていないが、わずか10年前まで住んでいたのである。


曲がった木(おそらくマツ)を梁にするのは、粘りがあって振動に強いから……なんて後世の建築家などはいうのだが、実は材料はみんな自分の山の木を使うものだから、木を選べなかったのである。そこで寸法が梁向きの木が、曲がったものしかなければ、それを使うしかない。
曲がっていても梁に利用するため、屋根の構造・木組みも工夫しながら、建てたというわけだ。

でも、今となっては曲がった梁が財産。意匠としても素晴らしい。紙屑扱いで借金のカタに売り飛ばせなかったメモ書き文書類も、今となっては明治の農村を語る資料として貴重な財産となっている。

何が財産になるか、なんて、後世の人が決めるのかもしれないよ。

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木製品・木造建築」カテゴリの記事

コメント

そうですよね。
今長女が殴り書きしているお絵かきも、
将来は・・・・
なんて考えて、押し入れがどんどん狭くなっていっています・・・。

取捨選択は必須ですね。

いつか価値が出るかも、いつか使うことがあるかも……と思って残しておくと、部屋がゴミ屋敷になります(~_~;)。
今、心を鬼にして、どんどん捨てている。自分の服もどんどん捨てる。するとタンスが広くなる。本も整理。押し入れもひっくり返して半分くらい捨てる。

断捨離まで行きませんが、気持ちいいすよ。

国宝の彦根城の天守閣も似たような梁ですよ~(^^)継ぎはぎだらけ。
(他の観光客とは別に中で上ばかり見ていた私(爆))
彦根城は近隣の城の櫓や天守閣の寄せ集め&再利用でも有名ですが、
こうした点ももっと注目されて欲しいですが、今の戦国ブーム、武将萌えが
主ですからね~(^^;)
*そうそう、先月、彦根城すぐちかくの佐和山城址で歴女の遭難騒ぎが・・
午後4時から佐和山を登り始めて、帰りに道がわからずSOS・・・(^^;)

昔は、古材利用は当たり前でしたからね。
木材不足というより、木材の搬出が大変で、できれば古材の方が調達しやすかったんだろうな。

明智光秀の福知山城は、石垣にお地蔵様まで使っているし、結構資源の使い回し?をしていたのでしょう。

それにしても、午後4時から山に登っちゃイカン。ああ、山と思っていないか、歴女にとっては城跡巡り(^^;)。

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