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森と林業と動物の本

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2012/09/22

つくりたい森は……

昨日、速水さんの『日本林業を立て直す』を紹介する中で思い出したのだけど、林業大学校では、さまざまな森づくりの手法を紹介した。

一斉林複層林、針広混交林、法正林に恒続林

施業も、間伐一つとっても劣性木間伐、優勢木間伐、ついでに将来木施業。そして無間伐
また定量間伐として列状、群状、皆伐なら大規模皆伐、小規模皆伐。列状皆伐? それに択伐、傘伐。天然更新

一方、歴史編では、ヘクタールあたり1万本の密植から1000本以下の疎植まで。また京都という土地柄、伏状台杉のような株仕立(萌芽更新)による木材生産も触れた。

まあ、てんこ盛りだ(笑)。とくに系統立てたというより、「思いつき」に近い。つまり、このブログと同じ(⌒ー⌒)。

講義時間は二限に分けて3時間もあったが(のどか痛い……)、とても全部ていねいに説明仕切れないから、詳しい内容は常勤の先生方にお願いするとして、林業にはさまざまな手法があり、めざす森にもさまざまな形があることを知ってもらおうという魂胆だ。一般に思っている林業=針葉樹の一斉林だけではない。間伐も劣勢木を伐るだけでない……ということを示すのが目的である。

その上で、「どんな森づくりをしたい?」「どんな手法を使う?」という問いかけをした。最後には全員(と言っても20人ほどだが)に応えてもらった。

正直、半数近くが10代だし、強い意志を持って林業を目指した人ばかりではないだけに、目標とする森なんて、ピンと来なかっただろう。いや、社会人からの転進組も、いきなり初めて聞くようなさまざまな森を示されて、どれか選べと言っても、困ったかもしれない。むしろ、これを機会に考えてもらうのが目的だ。

だけどね。自分が好きな森、つくりたい森を頭に描かず、林業(ようするに森づくり)するのって危険だよ。目標を決めるから手法も決まるのだし、仮に諸条件(気候や地質などの環境や経済や災害まで)が邪魔しても、何か手立てはないかと考え、どこまで妥協するかとか、逃げ道や遠回りしつつ目標に近づく手法などが生まれるのではないか。

生徒の答の中では、意外と恒続林が多かった。美しい写真を見せたからだろう。ただ「儲かる林業」と応えた生徒も複数いたし、なかには法正林がいいという者もいた。

さあ、今後彼らは何を考えどんな勉強をするだろうか。

講義の帰り、京都市内で娘と合流、一緒に食事した。

あんまり芳しくない前期の成績の話を聞いて、「目の前の木を伐る前に、どんな森をつくりたいか考えてから伐るのか植えるのか考えろ」と、思わす授業の延長のようなお説教。珍しく、素直に聞いておったよ(^^;)。

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コメント

素直な娘さんでうらやましい~うちの娘達なんて…

そこに反応するなんて…。(^_^;)
それに珍しく、ですよ。

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