役物コテージ?
まだ続くか、天川村の話。
ここでは、キャンプ場に泊まった。と言っても、コテージである。それがスゴいのだ。何がスゴいって、このコテージ、役物で建てられているのだ!
……いや、見た目はフツーの簡素なコテージなんだけどね。オートキャンプ用に車を止めるスペースもあって、前にバーベキュー用のテーブルとイス。そしてロフト付きの室内で、詰めれば10人は寝られる。が、とくに立派な造りではない。
しかし、この写真を見てくれ。
写真は、コテージ前のテーブルをどけた状態だが、広い縁側と庇があるのが特徴。雨でも活動できるスグレモノ。
しかし、この庇を支える柱は。梁は。
わからない?
拡大してみよう。
どうだ。柱は磨き丸太。それも節を強調した出節と呼ぶ珍重される役物だ。(単に、枝打ちをしなかった間伐材だって。)
そして注目は梁だ。絞り丸太である。丸太表面が縮緬のようにデコボコになったのが特徴。突然変異で生まれた奇形ではあるが、それを珍重する時代があった。その苗は、通常の苗より数倍もしたと聞かされている。だから、スギの若木の幹に人工的にデコボコを付ける技術まで発達したのである。
どちらも、時代が時代なら、1本10万円20万円という値がついた。ときに100万円を越えるケースさえあった。かつては数寄屋造り、床の間用材として引っ張りだこだったのだ。
それを使ったコテージだよ。
いかに高級なキャンプ場だったかわかるだろう(笑)。
まあ、組み合わせ(組木とかいうレベルではない)のところが、いかにも手づくり感のある乱暴な掘り方、おそらくチェンソーで削った代物であるが。
実際は、せっかくの役物用に育てたスギも、太りスギると価値が下がる。床の間需要がなくなった今、まったくと言ってよいほど売れない。ただでさえ売れない磨き丸太なのに、いよいよ使い道がなくて、キャンプ場の手づくりコテージの材料に回されたのだろう。
まあ、こんな用途でも使わないよりマシだが、そろそろあぶれている役物の新しい使い道を模索した方がよいよ。とくに絞り丸太のような木肌のものは、製材とデザイン次第でいろいろ使えるよ。いっそ、デコボコの表皮を剥いでパネルに張りつけ壁板にしたっていい。
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