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森と林業の本

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2012/09/24

スギの四方無地

昨夜、某林業家から聞いた話。

「スギの柱材取る18㎝径の価格が高騰している」。

なんでも立米7万円とか。。。

ええ? という感じ。その理由・条件は、「四方無地が採れるもの」である。

今更、四方無地が……。

説明するまでもないが、柱にした際に、四方どこにも節がない柱材を四方無地という。かつては超高価格の木材商品であった。銘木と呼ばれ、一本何十万円するケースもあった。

なんたって、住宅と言えば和風であり、そこには床の間をしつらえた畳の間があり襖で仕切ってあり……。そして部屋の真ん中にある柱は、どこから見ても節がないことを尊んだ。そのため林業地では競って枝打ちをした。

もともとスギは枝打ちをしない。せずとも密植していれば、下から枯れ落ちるし、そもそも節があってもなくてもスギ材の場合は気にしないことが多かった。だが、戦後の住宅ブームで、差別化を行うため、節が少ないほど、無節ほど高い値がついたのだ。そこで、スギの枝打ちが流行った時期がある。

しかし、それもバブル崩壊後は壊滅状態。景気が悪くて高い材を使わなくなったこともあるが、和風建築自体が減ったからだ。柱も襖がなくなれば壁に囲まれているから、四方は見えない。三方も減り二面だけしか表に出ない。

そして大壁構法となり、洋風住宅になると、柱自体がクロスで覆われ見えなくなった。

かくして、苦労して枝打ちしたのに、並材以下の値段しかつかなくなったはずだが……。

四方無地の柱が高くなった理由は、簡単であった。

いくら需要が縮んでも、多少はある。今も和風住宅は建つし、数寄屋造りを求める施主も多少はいる。そしてスギの柱を求める施主も極めて少ないながらいる。

が、スギで枝打ちした木など、ヒノキならともかく、もともとそんなに多くない。いくら求めても市場にないとなれば……。

かくして需給バランスが崩れたのだ。品不足になれば価格が上がるのである。

皮肉な話ではある。が、チキンレースのように、今までスギもていねいに育ててきた山主にとってはチャンス到来か。もっとも、スギだからと安値でたたいて購入して、その中から四方無地になる材を探し出して、うまく転売するのが一番儲かるo(^_-)O。

ニッチの中のニッチを狙ったビジネスも、あるかもしれない。ただし、情報が勝負だ。どんな材が希少価値で高くなっているか。どこで高く取引しているのか、肝心の材はどこにあるのか。みんな情報をつかんでいなかったら、チャンスは逃してしまう。しかも、高値取引は瞬間風速かもしれないから、すぐにブームは去るかもね。

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コメント

0.13*0.13*3=0.00507立米
0.00507*7万円=3,549円/四寸柱1本単価
たぶん、四方無地が取れそうな丸太の落札価格ではないかと・・・
そろそろマジで「立方メートルでナンボ」を代えないといけないのでは・・・
田中さんなら出来ます!

あ、もちろん「四方無地が取れそうな丸太」単価です。四方無地の柱材がこの値段ではありません。訂正しておきますね。

しかし、木材の値段のつけ方は、独特すぎて部外者にはわかりにくいですね。

この件に関しては四手井綱英先生もお判りになられてない様にとれます・・・。
田中さんが、いつかこの件を書いて下さるのを希望します。

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