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森と林業と動物の本

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2012年11月

2012/11/30

皆伐と択伐はどこがちがうのか

昨日の続き。と言っても、昨日の群状間伐とした写真は、国有林の皆伐地の間違いだということなので、書きにくくなったのだが……(-.-)。とりあえず、写真は差し替えた。

実は、私は皆伐を必ずしも悪いとは思っていない。大面積皆伐は論外だが、小規模皆伐は施業法の一つとして重要なのではないか、と思っている。

この場合の小規模とする面積はどれくらいなのか、科学的に説明することは私にはできないが、感覚的にはせいぜい1~3ヘクタールぐらいではないか。つまり、群状皆伐?の1区画面積ぐらいなら悪くないように感じる。これも科学的ではなく、感覚(^^;)

というのは、生態系を考えるうえで、皆伐地に相当するような非樹林地は重要だからだ。森林も重要だが、草原も大切で、それらがモザイク状に存在した方が、環境の多様性が増える。伐採跡地が草原になることで、生息できる生物種もいるだろう。草原を餌場としてシカが増えては困るという点もあるのが。

たとえば、スキー場も、ある意味帯状に皆伐した林地と酷似している。そしてスキールートは、積雪のあるシーズン以外は草が生えており、ここに結構重要な草本類や昆虫が存在して、貴重な生態系が生まれている。日本の国土には、過去多くの草原植生があったが、近年消えかけている。その中でスキー場や伐採跡地は、かろうじて草原が保たれる場所でもあるのだ。

日本の草原生態系を確保するためにも、皆伐施業を、なんていうと怒られるだろうか。

もちろん、経営的にもまとまった量の木材を出せる、コストダウンになる、という利点もある。再造林もしやすいだろう。その点では、林業経営とも合致しているはずだ。

ただし施業法としては、小規模皆伐地がモザイク状に入る割合は厳密に考えないといけないだろう。林地全体の何%まで伐採地となってもよいのか。また伐採頻度は何年に一度くらいか。そして跡地を再造林するのか天然更新に任せるのか。次世代の樹種は何か。細やかな知見と技術が必要となる。

しかし技術としての群状択伐帯状択伐は昔からあり、さらに今や死語になった?画伐とか漸伐なんて施業法もあった。いずれもいわゆる皆伐ではないが、小規模にまとまった伐採を行う。

さらに跡地を活かせば複層林施業にもつながる。小規模皆伐地に造林したら、林齢 のちがった林地が混ざるし、そこに広葉樹などの天然林が育てば混交林となる。皆伐から近自然の森を作り出すことも可能だろう。

だから群状間伐ではなく、群状皆伐として行うべきではないか……(と、昨日の記事に続けるつもりだったのだが、写真を間違えたので困ったなあ)。

このように皆伐と択伐の違い(境目)は、実は曖昧で、それぞれ林地の事情によって規模や回数が変わり、言葉の定義は別として、現場で施業を実行する段階では厳密に区別しなくてもよいように思う。(言葉によって、補助金が出る出ないというのはむなしい。。。)

そういや、岐阜の中原林業では、あえて皆伐施業をやっているそうだ。

中原林業全体としては、林齢の違う林区をいろいろ設けて「法正林」化していくそうだが、その一環で皆伐もしている。それは皆伐技術(伐採・搬出と造林)の伝承のためなのだそうである。

そんな、柔軟な施業法の選択と、細やかな技術が普及することに期待したい。

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中原林業の皆伐技術伝承地

2012/11/29

群状間伐か皆伐か

最近、「群状間伐」なる言葉が登場しているようである。

こんな言葉、林業用語にあった? と思うのだが、すでに行われているのである。

間伐は間伐でも、群では何か?

さっそく、実物を求めてGooglemapで探す。

先に上げた高知県のものは皆伐だったとのことで、別のを探す。これは静岡県で見つけたもの。

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こんな感じ。

一目でわかるだろう。列状間伐の一種なのかもしれないが、伐採幅がやたら広い。

群状というより帯状かもしれない。ただ、これは間伐として行ったのか、別の目的があったのかわからない。とりあえず、参考ということで。

通常の列状間伐も参考までに。(高知県)

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これはまた、きれいに(;_;)列状間伐したものだ。魚の骨並に、見事な筋が間伐列として入っている。

それでも、おそらく3残1伐くらいではないか。見たところは、緑が保たれているといえよう。




なぜ、群状間伐なんて奇怪な施業法が登場したのか。

おそらく森林・林業再生プランの施行と軌を一にしている。伐採量を増加させつつ、低コストで行えるからだ。しかも、肝心なのは、これを「間伐」扱いすることだ。

林野庁が認めたそうだが(一説によると、この方法を各地に勧めている、指導しているとも聞く)、間伐扱いすれば、補助金が出せるのである。しかも間伐だから、再造林をしないでよい。

現在は、搬出量が増えれば増えるほど、補助額も増える仕組みだ。この伐採方法なら最高額が期待できる。

しかし写真見て、これが健全な森、美しい森だと言える人はいるか?

そして伐採跡地はどうなる?

再造林しないのだから、裸地-草地のままだ。その後、天然更新的に樹木が生えるかどうかは、土地の条件次第。(でも、この前の森林総研の研究発表によると……。)とにかく、跡地の今後がどうなるか注視して手立てを打たねば、この土地の将来はない。所有者は、林業を棄てるつもりなのだろうか……。

これって、皆伐地を間伐扱いして補助金を取る、一種の詐欺ではないか。逆に言えば、これを間伐だと認める林野庁は、税金の不正支出、あるいは無駄遣いをしていることになる。これこそ、事業仕分けで取り上げるべき代物だ。

ただ、このような伐採方法が生態学的に問題あるのか、皆伐が全面的にいけないのか、ということまで考察を及ぼすと、ちょっと私の中でも意見が交錯する。

この点については、長くなるので改めて。

2012/11/28

葉っぱビジネスや変木ビジネスにアイデアはあるか

最近、またもや徳島県上勝町のいろどり事業が注目されている。

映画化もされた(『人生、いろどり』)し、テレビに幾度も出てきたり雑誌にも取り上げていた。何年かごとにブームになるのか?

説明の必要はないと思うが、いわゆる葉っぱを料理のつまものとして出荷して成功した話である。今や2億6000万円の年商があるという。

が、それらの紹介の仕方を見ていると、引っかかるのは「葉っぱを売るとは凄い発想だ」「葉っぱをつまもの商品にするというアイデアが素晴らしい」という論調だ。

が、そんな見立ては間違いだろう。そもそも、つまものという商品は、いろどり事業よりも前からすでに存在していたのだ。上勝町はそれを見て、取り入れたにすぎない。ただ、それを組織的にネットワークを組んで、また数々の新商品を次から次へと開発して、スピーディに出荷する体制づくりが凄くて素晴らしいのである。

さて、先日は吉野の銘木屋さんを訪れた。ここは、銘木……というより変木で有名だ。通常では扱わない不思議な木材ばかりを扱っているのである。

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こんな曲がった木が大量に……。





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こんなコブなのかなんなのかわからん木も重要な商品。

ちゃんと需要があるのだ。インテリアや意匠に使いたがる施主や設計士は少なくないらしい。値段はそこそこするが、かつての銘木ブームのようにバカ高くはない。むしろ、過去の吉野の銘木の値段を知っている人が聞くと、「意外と安いじゃないか」と買う気になるらしい(笑)。

だから視察者も少なくないらしいが、ここでも幅を聞かせているのが、「こんな変木でも商売になる」というアイデアに感心する声である。

ちがうでしょ。変木を欲しがる潜在的なユーザーはたしかにいる。それをいかに発掘するかが重要なのだ。そして買う気にさせる仕掛けも。量だって確保しなければならない。1本だけでは買ってくれない。
また、捨てられているような変木を、どのような加工をすれば興味を引くようになるかを見極める目が必要だし、そもそも変木を仕入れるルートを開拓しないと、市場では売っていないよ。素人が山に入っても、すぐに見つけられないよ。

だから、視察後、自分のところでも変木を扱おうとすると、たいてい失敗する(^^;)。
また、このやり方こそが日本の林業を救う! と気分を昂揚させて政策を練る行政関係者や学者、アドバイザーなども、思いつきの言いっぱなし。

だいたい、みんなが変木を扱いだしたら、こんな隙間商品、あっという間にだぶついてしまう。学ぶべきは、各種の潜在的ユーザーを発掘する技術なり努力だろう。

林業が不景気になると、数少ない成功者のところへ視察が相次ぐのだけど、結局見るべきところ、そのビジネスの肝を掴めない視察が多いようだね。

最後に。この銘木屋は変木で儲けていると思いがちだが、聞いてみると利益の本筋は昔ながらの磨き丸太などの銘木だそうだ。減ったと言えども、数寄屋建築などは今も根強く愛好家がいて、そこに需要がある。変木ビジネスが主流ではないのである。

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出節の磨き丸太。これだって奇形?の木材加工だけど、変木が並ぶ倉庫の中では真っ当な木に見えてくる。

2012/11/27

森の健全度の測り方

森林の健全度とか、自然度、豊かさなどを客観的に説明するのは、難しい。

とりあえず生物多様性を指標にすることは私も賛成だが、それだけではないし、そもそも生物多様性を評価することがとてつもなく難しい。植物・動物、昆虫……それぞれ調査して、他の地域より高いことを証明するには、莫大な時間と労力・経費がかかるだろう。

私なんかは、それを「森の美しさ」で示せないかと思う(パッと見て、美しいと感じたら、健全!という単純な方法)のだが、では美しさの指標を作るのが至難の業だろう。

ところが、対象となる森の一部で木々の樹種や太さなどを計測したデータを集めて「森の豊かさを測る指標」を割り出す手法が考えられているらしい。取り組んでいるのは、京都大学の北山兼弘教授である。そして、現在対象としているが、インドネシア。

http://mainichi.jp/feature/news/20121126ddm016070039000c.html

約10万ヘクタールの森に、半径20メートルの調査地を計60カ所設けて実施しているらしい。詳しい方法や理論は、記されていないのでわからないが、もし納得できる精度が得られるのなら、期待したい。

ちょっと興味を持ったのは、実施しているのがインドネシアのカリマンタンであること。

先に違法伐採木材のことに触れたが、違法伐採の多い国と言えば、すぐに上げられるのがインドネシアである。なかでもカリマンタンは熱帯木材の有力産地だが、そこで生産される木材の半分は違法だとわれる。まあ、それが輸出される頃には、たいてい合法になっている……。

ただ、単にひどい森林破壊の国だと批判するだけなのは間違いだ。

少し前に、インドネシアの木材輸出を解説するセミナーに出たことがあるが、講師役のインドネシア領事館の人は、まず当時流行っていた中島みゆきの「地上の星」(NHKの「プロジェクトX」のテーマソング)が流して、いかに違法伐採を取り締まる制度を作って、トレーサビリティにも努力しているかが語られた(^o^)。

実際、木材輸出企業にとっても、これ以上の破壊的伐採をしても、後がないことに気づいている。そこで、熱帯雨林の生物多様性を評価する試みが行われているらしい。上記の記事でも、伐採会社がFSCを取る予定らしい。

今後、世界的に森林なり林業の目標は、量から質に移っていくと感じている。日本は状況としてはぴったり(森林面積は過去最高なのに、人工林も雑木林も荒れているとされる)なのだが、人々の意識の点で非常に遅れている。今頃になって量を追求する林業を国上げて推進しているのだから。市民も、いまだに植樹植林したがるし。

日本の森でも、質の指標づくりと計測方法を確立しておかないと、いざというときに置いてきぼりを食うのではないだろうか。

2012/11/26

林学は森林学ではなくて林業学である。

タイトルを見て、のっけから何を言い出すのか、と思った人もいるだろう。

実は、タイトルの言葉は私の言葉ではない。

『改訂林政学』(塩谷勉著)という本の序説の冒頭にある言葉なのである。

たまたま私が学生時代に使っていた教科書を手にとって開いたところ、飛び込んできたのだ。この本は、昭和52年の発行だが、改訂版なので、初版は昭和48年に、執筆は47年に行われたものである。つまり、今から40年前の著作だ。

そこに「林学は森林学ではなくて林業学である」と記されている。

ここに原点があったか! 私は、森林学がしたくて大学の林学科に進学し、そこで林学は林業学であることに気づいて愕然としたのだ。その思いが、教科書に記されていたことに今頃気づいたという点に驚いた(笑)。

序説には、森林学ならば理学部のようなところで教育研究されてもよい、とある。林学は、あくまで林業の学問なのだ、と。

しかし林学の間口の広さにも触れてある。生物学、地質学、数学、物理、化学、土木、機械などの工学、経済、法律、社会、歴史、美学……と含まれていると説明する。

これも、私は気づいていた。当時、文学を除くすべての学問分野が含まれるんじゃないか、と言った記憶がある。ああ、そうか。だから私は文学者になれなかったんだ(^^;)。

しかし、これだけで終わらない。その後の緒論の冒頭には、「林政学とは」という定義が始まり、さらに森林の定義にさえ触れている。そこには森は「盛り」であり、林は「生やし」で平面的……なんて文学的?な解説が。森は形容詞で、林は名詞。森林とは、明治14年にフランスの法律を訳す過程で登場したらしい。つまり、森林という言葉は明治以降にしか使われないわけだ。

そのほか、いろいろ発見があった(^^;)のだが、冒頭にもどると、そもそもの林学の発生は、ドイツの官房学(カメラリズム)にある。官房学をどのような意味に取るかは難しいが、大雑把に言って行政学であり、その中心は財政学のようだ。つまり国家経営の方法論なのである。

だから国家財政をいかにして得るか、というところから林業が確立され、林学が登場するのだ。まさに林学は林業学なのであった。

その後、このテキストは重商主義や古典学派の自由主義、さらに歴史学派に、マルクスも登場して社会主義、修正資本主義……の解説まで進む。

これが林政学の教科書だよ\(^o^)/。学生時代には、理解できなかったし、うんざりしただろうな。ただテスト勉強用に赤い下線を引いたところだけを詰め込み覚えたのか。

だがパラパラと読み返して、40年前の古さが全然ない。当時から林業の危機的状況を訴えているし、そこに行政の果たす役割にも触れている。また歴史を積み上げて解説されると、今なら反発買いそうな林業の経済理論も納得してしまう。おそらく、その後も改訂版か、新たな林政学の本は出版されているとは思うが、この本でも十分という気がした。

昨今は、賛同するにしろ反発するにしろドイツ林業を振りかざすのが流行っているが、目先の技術や機械、それに社会制度を付け焼き刃的に取り上げるのではなく、どうせならドイツの林業と林学の発生から現代までの流れを勉強すべきではないかね。

そこには普遍的な林学の目的と、森林学も含んだ人と森林のつきあい方を考えるヒントが記されているように感じたよ。

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テスト用に、付け焼き刃的に勉強したんだろうな~と思わせる赤鉛筆の線が、痛々しい(笑)。

2012/11/25

大将軍神社の世代受け継ぎの木

京都市北区の住宅街の一角に、「大将軍神社」がある。

なぜか、ここを訪れる。たまたま通り掛かっただけだけど(^^;)。

大将軍とは大きな名だが、将軍とは軍隊の統率者を意味するのではなく、「陰陽道において方位の吉凶を司る八将軍神の一人で、魔王天王とも呼ばれる大鬼神」を指すのだそうだ。

もともと推古天皇の時代~つまり飛鳥時代に祀られて、平安京が作られた際に四方の守り神として設置された。だから大将軍神社はほかにもあるが、ここは北の守護神

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本殿は400年前のものであり、その前は今も強力なパワースポットとして知られている。また年間行事も盛んだし、不思議な砂盛りもあって、何やら怪しげ……もとい、厳かな雰囲気。

と、由緒正しいのだが、行ってみると、意外や境内は狭い。周りを住宅地に囲まれ、ギリギリまで切り詰めたような状態。厳しい状態に置かれていた(^^;)。

が、私の興味は、パワースポットではないのだ。

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世代受け継ぎの木


こんな立て札が。たしかに、境内には、三つの朱の囲いがある。

それは、大木が倒れた跡なのだが、そこにその木の種子が落ちて、親(倒木)を養分として育つ……つまり、更新(倒木更新か切株更新と言えるかもしれない)の土地なのである。

自然減少、じゃない、自然現象を、神聖な世代の受け継ぎとして祀るところに、神道の真骨頂を見た。

おかげで、方位の神様だけでなく、安産の神様も祀っているらしい。

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2012/11/24

郡山の書店より

福島の友人より、メールで写真が送られてきた。

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郡山市の書店に、見ての通りの本が平積み(立ててあるけと)。

おおお、感激だなあ。

土倉庄三郎は、あまり東北に縁がないから期待していなかったのに。
でも、新島八重(当時は山本八重)は、登場するけどね(^^ゞ。






ただ、隣の本は……話題の?宮脇さんであった(笑)。考えてみれば、「緑の長城」計画とかで、岩手・宮城・福島の海岸線に瓦礫で海岸林を作ろうと張り切っているから、よほど縁があるのだ。まあ、そこに「潜在自然植生」を振り回すから困ってしまうのだが……。

これは、次回作につなげよう。

でも、その下の棚に見える本も、なかなか面白い。私の持っている本も多いし。

ところで、福島の書店に並んでいたことに喜ぶのはいいが、肝心のお膝元・奈良の書店はどうなっているのか。

実は、今日もある大きめの書店を覗いたのである。

で、当然ながら探した。土倉本を。

まずノンフィクションのコーナーにはなかった。で、歴史本の棚はかなり広くあるが、まったくなし。しからばと、森林とか林業コーナーを探すもない。小さなスペースに「環境」棚があり、多少の森林関係書はあるが、まったく姿はなかった。これって、『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』だけでなく、私の著作のほとんどが置き場を持たないってこと?

最後に「郷土史コーナー」も見たが、そこには自費出版本まで置いてあるのに、土倉本はなかった……。徒労感。

奈良の書店は、だめだなあ。。。(涙)

! そうだ、大和郡山の書店を覗いてみるか(^o^)。郡山つながりで……。(^_^メ)

2012/11/23

閉鎖ゴルフ場の行く末

このブログ読者のほとんどが興味を持たないであろう、ゴルフ場(笑)。

その現状を少しお知らせ。私もゴルフには興味がないが、ゴルフ場には関心があるのだよ。

何より大きな問題は、閉鎖が相次いでいるということだ。この5年間に42コースが閉鎖・廃業した。また27ホール、36ホールという大型コースが、18ホールだけを残して残りを閉鎖する例もある。以前からゴルフ需要と供給のバランスが崩れており、500くらいのコースが余っているという報告があったが、深く静かに進行しているようだ。

とくに多いのが北海道だが、これは地元のゴルフ人口が少ないのに、環境がゴルフ向きということで全国最多のコースがあったからだろう。道外から呼び込むには、景気が悪化しすぎている。

そして、福島県。これは単なる経営悪化だけでなく、震災・原発被害の影響が大きい。被害を復旧するだけの経営体力がないのに加えて、放射能問題。風評だけで済まず、実際に降り注いだところもあるが、東電の賠償は行われていない。さらに地元人口減や家計悪化も響いているはずだ。

さて、私が気にしているのは、閉鎖されたコースが今後どうなるのか、である。

大方は、森林化を進めている。いや、積極的なものはわずかで、ほとんどが放置に近い形で草木が繁るままにしているのだろう。
しかし、放置では、先の森林総研の研究のように、うまく森林化するとは限らず、ブッシュや草原のままになったり、不健全な森林になってしまうことも考えられる。

ちなみに一ゴルフ場の面積は約100ヘクタール(18ホールの場合)。単純に42をかけると、4200ヘクタールもの用地が放棄されたことになる。そのうち元から森林(残置森林など)であるのは5~6割で、芝生のコースを3割と見込むと、720ヘクタールが森林化すると考えられる。おそらく、今後も閉鎖が続くだろうから、その数倍の面積が対象となる。

もちろん、一部はゴルフの練習場として使っているところもあるそうだし、別のレジャー施設へ転換させた例もある。またメガソーラー施設、つまりソーラーパネルの設置場所として利用するケースも出てきた。しかし、それも場所や地形などの条件に左右されるし、資金調達が大変だ。やはり低コストなら、森林化となる。

そこでゴルフ場の森林化に関する技術的アドバイスや、実働(植林・育林など)を請け負う組織が必要にならないか。また残置森林や今後造成する森林を利用したビジネス・イベントを行うこともできる。所有者は持て余しているのだから、安く借りられるはず。環境教育や森林療法、アウトドア系イベントなどが浮かぶだろう。

そんなNPOなどの法人を作ると、ビジネスにならないかね。

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写真は、ゴルフ場内で発見した、切株更新(切株の上に種子が落ちて、次世代が育つ状況)。

2012/11/22

違法な合法証明

りそなセミナーでは、海外の森林事情の一つとしてアカシア植林について触れたが、もっと触れてほしかった話題は「違法伐採」である。

サミットなどで違法伐採による木材の締め出しが決議され、日本も公共の木質物(建築材から紙まで)は合法な調達によるものを証明する必要が求められている。

実際、海外で貿易に供される木材の2~3割は違法伐採だというし、合法証明付きの木材だって、実は行政ぐるみのでっち上げ書類が多いことが指摘されている。

アメリカでは、違法伐採された木材を原料とする木材関連製品の輸入や取引を禁じた改正レイシー法が施行されている。アメリカの法律だけでなく、生産国の法律違反の木材も対象だ。非常に厳しく、骨抜き、抜け道探しが行われて、実際に摘発されるのは数件にすぎないというが、それでも悪質業者の駆逐に威力を発揮している。

日本も、違法伐採を取り締まれば、無理な木づかい運動なんか必要ないのだ。輸入木材の数割は違法だとされているから、それを追放すれば、否応なしに国産材を使わずにいられなくなる。莫大な需要が外材から国産材に向かうから、だぶついている木材は捌けて出荷体制が強まるだろう。そして価格も上がるのは間違いない。
使用する側も大切に使わざるを得ない。あっという間に木材自給率50%を達成できるだろう。そこで非木材建材に逃げないような努力は必要だが。。。

ただし、それは国産材は皆合法であった場合である。残念ながら、日本の合法証明なんて、ゆるゆるのカスみたいなものだ。講演では「厳しく取り締まったら、木材貿易が止まってしまう」なんて発言もあったが、それって違法に目をつぶるということじゃないのか。

だいたい合法証明自体が木材業者自ら発行しているのだし、それさえも自治体によって扱いが違っていて、添付書類がトレースできない有り様。ほとんど精査なしに発行されている……ことが、セミナー後の有志のお茶会(^o^)で語られた。

しかも、日本の法律そのものが穴だらけで、相当ひどい伐採をしても、法律違反にはならない。さもなきゃ、100ヘクタールの大規模皆伐なんぞできない。

これを是正せずに外材の違法だけを厳しく取り締まったら、外国から猛烈な抗議を受けるだろう。そうなれば、日本の林業現場も少しは変わると思う。まあ、外圧を期待するのは邪道だが……。

2012/11/21

アカシア植林と生物多様性

先日のりそなセミナーにもどるが、ここで多く取り上げられた話題は、熱帯地域におけるアカシアの植林だった。

インドネシアのスマトラ島には、一カ所20万ヘクタールものアカシアの人工林があるそうだ。ほかにもカリマンタン(インドネシア領ボルネオ)や、マレーシア・サバ州(ボルネオ島)にも、大々的な人工林が広がっているそうだ。

話を聞いていると、アブラヤシのプランテーションは自然破壊的だが、アカシアは森づくりであるかのようなニュアンスである。そして、一斉林のため生物多様性が低い問題が指摘されるが、実際は伐採跡地のような草原化した荒れ地に植えるのだし、保全林を設けることで鳥類など動物も生存できている……とのいい訳も付け足す。(川井教授の講演だけどね)

なんだか、既視感がある。

1980年代から、熱帯地域にアカシアやユーカリなど早生樹種による植林が進んでいる。それに対して、「ユーカリやアカシアの林は緑の砂漠である」「外来種であり、熱帯雨林の破壊である」という論調が広がった。それに対応するかのように、フタバガキ科の在来樹種(ラワン、セレヤ、メランティなど)の植林実験が行われ始めた。

私は、その現場を視察して回った。三菱商事の取り組んだフタバガキの植林実験地なども見たし、市民団体によるフタバガキ植林ツアーにも触れた。アカシア植林地も見た。

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写真は、20年前の焼畑の進むボルネオ(サラワク州)。


森は、二次林だった。

フタバガキ植林実験は、そんなところで行われていた。



正直言って、フタバガキの植林は実験段階であり、規模も内容もしょぼかった(^^;)。だいたい在来樹種だと言って、フタバガキばかり植えても多様な森は取り戻せない。フタバガキの一斉林ができるだけだ。

一方で、外来種のアカシアやユーカリが言われるほど悪いわけではない。何より生長が早く、緑化が進む。アランアラン草に覆われ草原化した伐採地を被覆することができる。また経済性に乗りやすい。主にパルプのほか、合板材料などになる。

が、結局、そこにあるのは熱帯雨林などではなかった。生物多様性の宝庫であり、熱帯雨林気候に適合した森ではない。

まずはアカシア林であっても、その後いかに多様性ある森にするか、フタバガキを含む在来樹種と混交させるか(あるいはモザイク配置するか)、それが20年以上前からの課題だったはずだ。

だが、何も進んでいない。20年前と同じことを繰り返している。

くしくも翌日の森林総研の研究発表では、一斉林であるスギ林を広葉樹林化するのは、いかに難しいか、と語られたわけだが、なんだかこちらもでも既視感。当時から悩ましい問題であったわけだ。

そして20年たっても、何も進んでいない。むしろ市民団体の突き上げが減った分、アカシアの一斉林づくりが大手を振って推進されている気配。

人工林を否定するのではなく、「一斉林の人工林」から「多様性ある人工林」づくりが課題のはずだったのに。

一応、森林総研でも研究はされているようだ。「広葉樹林化プロジェクト」があるらしい。

http://www2.ffpri.affrc.go.jp/labs/bl_pro_1/top.html

でも、現場への還元はどれだけ行われているのか。国内だけでなく、海外にも普及する意志はないのだろうか。

むしろ海外の方が一斉林化が激化している。アカシアやユーカリだけでなく、ファルカタ、ラジアータパインなどを採用して温帯地域でも進んでいる。
欧米ではようやくトウヒやモミの一斉林から抜け出そうとしているが、世界の趨勢は、むしろ一斉林・短伐期に向かっている。それに対する自然の豊かさを活かした、オルタナティブな林業を提案できないかね。。。

2012/11/20

「意外とたくましい?」講演会

「仕事納めでヒマ」だから講演会・・・第二弾(笑)

今日は京都で森林総研関西支所の講演会。というより、研究発表会かな。

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テーマは、以下の通り。









意外にたくましい?人工林の脇役たち

人工林の植生は貧弱? でも、意外に環境
は多様で、うまく適応する低木も・・・

ふだん脚光を浴びない人工林の脇役たちの
姿を紹介します。

このように記されていたら、どのように想像する?

人工林だって、林床には多くの低木、下草が生え、そこには多様で豊かな生態系が存在する。人工林だって捨てたもんじゃない……という研究結果が出るかも……。

で、発表されたのは゛次の3つのテーマ。

・コショウノキが住処を求めて
・消えゆくコブシと広がるニオイコブシ  -西日本のモクレン仲間の盛衰-
・スギを間引けば脇役たちは生き残れるか?

……聴講した後の私の気分。「人工林の脇役は、たくましくなかったんだ……」

コショウノキは、照葉樹林の薄暗い林床に生える木だが、照葉樹林がどんどん開発で減り、その後に成立した落葉性の雑木林には適応しにくく、むしろ常緑の人工林の林床に生活の場を得た植物。とはいえ、希少種・絶滅危惧種に近く、人工林に新たな場を得たというよりは、なんとか生き長らえているという感じ。

二番手のコブシ、ニオイコブシ(+タムシバ)も、減少の一途。平地の河畔林に多いということもあって、西日本からは消えつつあるとのこと。(ただ、私は山口県で、林内放牧地の山一面にこぶしが繁っているのを見ているのだが……山には生えにくいと言っていたが別物なのだろうか。)

そして最後に、人工林を間伐や皆伐して広葉樹林にできるか、というテーマ。研究地は秋田県なのだが、結果として、極めて難しいという。間伐、あるいは皆伐して、そこに生えてくる雑木の広葉樹は多いのだが、なかなか居つかず、伐採前から生えていた前生樹がかろうじて残る程度で、後から侵入した樹はやがて衰えていくという。皆伐地も、何年たってもササやススキ原のままになる可能性も高いそう。

ようするに、人工林の脇役は、みんなひ弱いのか?

これでは生物多様性の高い人工林づくりは、険しい道のりとなりそうだ。択伐施業とか針広混交林づくりだって、簡単じゃないということを証明したようでもある。

演題に「たくましい?」と?マークがついていたのはそういうことか。拙著の『割り箸はもったいない?』も、もったいない? と?マークで世間の想像を裏切っているのだが。

とはいえ、そうではなく、立派に成立した針広混交林だってある。その差は何か? 地質や気候条件か? 人工林の歴史か? 施業者の技術か? 知識と知恵か? 経験か? いずれにしろ、生兵法は怪我の元だって?

……と、???ばかりを付けてみました(^o^)。

 

2012/11/19

新島八重の写真に写る…

情報が寄せられた。

同志社女子大学で、11月23日より「新島八重と同志社女学校」という展示会が開かれるそうである。説明するまでもないだろうが、新島八重は、同志社創設者の新島襄の奥さんで、来年のNHKの大河ドラマの主人公である。

会津に生まれ、幕末の会津戦争では銃を手にとって戦い、「幕末のジャンヌダルク」と呼ばれたが、その後京都に出て、新島襄と知り合い、結婚する。「ハンサム・ウーマン」と呼ばれて数々の旧弊と戦いながら時代を切り開いた女性である。

私が、非常に興味を持っている(歴史上の)女性の一人だ。大河ドラマでは、綾瀬はるかが演じるということにも興味を持っているが…(^^;)。

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これが、そのチラシ。

後列左が、八重だ。











ここで驚くのは、右の女性たちである。なんと、土倉糸(前列)、小糸(後列)だというのだ。

土倉庄三郎の3女、4女である。双子なのだ。この写真を見ても、非常によく似ているが、一卵性か二卵性かはわからない。

土倉家の息子娘たちは、多くが同志社に学んでいる。八重は、初期の同志社の運営も手伝っているから、そこで土倉家の人々とも関わりがあったのは、間違いない。が、こうして並んで写真に写っているとは想像していなかった。思いのほか、深い交流があったのかもしれない。

そこで゛同志社女子大のホームページを見ると、こんな写真が紹介されていた。

http://www.dwc.doshisha.ac.jp/yae/profile/gallery.html

この中で、1889年の「第7回女学校卒業式」という写真には、なんと土倉政(子)が写っている。庄三郎の次女で、アメリカに留学した才媛である。彼女は、後に清の西太后とも親しくなり、日本の外交の陰で活躍する。

思えば、私が八重を知ったのは、土倉庄三郎の資料を探して読んでいる過程であった。そして、脱線して八重の人生にも触れて感動したのだ。つまり、元から私の中では、土倉家と八重はつながっていたのである。

来年、八重ブームが起きたら、その影の土倉家も少し思い出してね。

この展示会、機会を設けて訪ねてみたい。

りそなセミナー

怒濤の10月がすぎて、11月に入ると、どうやら仕事納めの雰囲気(^^;)。

今年は、いろいろあった、波瀾万丈であったなあ……と、回顧するのは、まだ早いか。ともあれ、ヒマになった(*_*)。

というわけで(何が?)、たまたま案内のあったりそなセミナーに顔を出した。

これはりそなアジア・オセアニア財団主催のシンポジウムで、

「森は生きている-日本の森から世界へ  アジアの経済成長と環境保全」

というタイトル。なんかわからんが、基調報告は、林野庁林政部長の末松広行氏と、京都大学の川井秀一教授。ほか、財団の援助を受けた3つの事例の報告、パネリング……そして、なぜか最後にドリアード・バンドのコンサート(?_?)。

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こちらは、日本の森……というより林業の紹介。

やっぱり伐って使うことが中心となる。

ほかは、ボルネオなどの研究や事業報告が多かった。



私にとって、ボルネオは第2の故郷だ\(^o^)/。初めての海外がボルネオ(マレーシア・サバ州)だし、原始のジャングルでオランウータンを求めて分け入り……すでにボルネオには原生林などなく、全部二次林になっていることを思い知る……思えば、これが林業に眼を向ける根底になったのかもしれない。

そんな世界では、今やアカシアを中心とした植林が進められており、そのビジネス実態についての話は、それなりに面白かった。面白いというより、7年で回転できるほどの生長なんだから、ここに真性の法正林が生まれるかもしれん。

りそな銀行がバックにいて、参加者の多くがビジネス関係となると、こうなるか。

でも、本当に面白かったのは、終わってから、セミナー関係者から聞いたセミナー開催までの裏事情かもね(⌒ー⌒)。何があったか。誰が何をしでかしたか。蠢く蠢く。輩が蠢く。

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お口直しに、ドリアード・バンドに急遽参加したゲストヴォーカル・西部里菜さん。

2012/11/17

コタツの天板

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写真は、某スーパーマーケットの家具売り場で見かけたテーブル……ではなくて、コタツ。

こりゃ、なかなかオシャレではないか。

この天板は、おそらく集成材、あるいは合板だろう。表面だけのツキ板かもしれない。また、木板そのものも、外材だろう。もしかして、色も染色か?

ま、そんな“あら探し”をしても、オシャレなものはオシャレ。わざと凸凹に合わせてあるのもセンスを感じる。

思わず欲しくなったが、価格は……6万円を超えている(^^;)。単なるコタツなら数千円であるのだが。

とはいえ、この手のセンスが必要だなあ。

2012/11/16

「神のつかい」駆除・その後

先に記した、奈良の鹿駆除の方針のニュースの続報。

実は、あっさり撤回された。

予想通り、抗議が殺到したからだ。しかし、抗議の内容を読むと、愕然とする。

「地元では鹿を殺しているが、奈良だけは殺さないで」なんて声があったんだって。おいおい、である。

http://www.j-cast.com/2012/11/13153680.html

   県担当者の説明によると、報道を受けて、奈良公園室を含め関係機関等に100件以上、「シカを駆除するな」「撃つな」といった抗議電話が殺到し、業務に支障を来した。電話は日本全国からかけられ、「地元はシカを害獣として殺してしまうが、奈良だけは守ってくれると思っていた」といった内容もあった。

だいたい、ニュースをちゃんと読んでいない。奈良公園で鹿狩りをするわけではないのだ。増えすぎて、奈良公園から外に出て行った鹿を駆除して、頭数管理をするという意味だったのに、まるで狩猟場になるかのような反応。

もともと、はっきり決まったわけでもない県の方針を早く報道しすぎた朝日新聞にも問題あるんだけど。(最初から潰すつもりで報道したのか?)

鹿を殺すのは可哀相、という言うが、増えすぎた鹿が樹木の新芽を食べてしまったり、樹皮を剥がしてしまった状態を見て、可哀相とは感じないのかな。

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いっそ、鹿を草刈り・芝刈り要員として活用するか…。

2012/11/15

二つの墓の謎

今日は、ちょっとクイズ。

奈良県川上村大滝の龍泉寺の横手には墓地があるが、その一角に土倉家の人々の墓が集められている。

私は、かつて墓石を確認してまわったのだが、この二つの墓石に注目した。

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まず、こちら。

俗名 土倉庄三郎 橘正信

とあり、享年66歳と読める。

明治3年に亡くなっている。




2


ところが、その隣にある墓には、このように記されている。

俗名 土倉庄三郎 享年78歳

亡くなったのは、大正6年である。






さて、これをどう解釈する?

ヒントとしては、没年からも確認したのだが、上記は庄三郎の父・庄右衛門の墓と考えて間違いなさそうだ。そして下記は、庄三郎本人の墓と考えられる。

では、なぜ父・庄右衛門の墓石に「土倉庄三郎」と彫られているのか?

これは以前から謎であり、私も悩まされた。
そのうえに行き着いた結論は、拙著『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』に記したからお読みください(^o^)。

それが正解と断言できるわけではなく、推測だとしか言えない。しかし、調べている過程で、明治維新で政権交代した際の混乱ぶり、いや、浅慮の政令や告知が相次いだ状況が浮かび上がった。

今なら歴史上の一コマとして笑える無茶ぶりだが、当時は大変だったろう。素人が権力を握ると、熟慮するより思いつきの政策を振りかざしたくなるものなのだろう。

だって、深く考えない思いつきをすぐに実行するのはスピーディで面白いし、何より楽だからね。それは、「思いつきブログ」を書いていても思う(笑)。

……と、3年前の政権交代から始まったドタバタぶりを、解散総選挙が決まった翌日に振り返ってしまった(⌒ー⌒)。

2012/11/14

HPに『山林王・土倉庄三郎の生涯』 のページ

今更遅すぎるのだが、自分のHPに、『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』のページを作った。

http://homepage2.nifty.com/tankenka/chosaku-sanrino.htm

とくに新味はないが、目次を掲載したほか、前書きも載せた。さらにリンクをいくつか張ったほか、これまで未公開の庄三郎の顔写真を添付。若い頃の珍しいもの。……まあ、若いと言っても40くらいかな?

急遽つくったものだから、今後少しずつ改正して、秘蔵ネタも入れようかと思っている。

それにしても、最近はホームページが沈滞気味だが、やはり重視ずへきではないか、と思い出した。ツイッターやフェイスブックはもちろん、プログというのは、一過性というか、時間とともに流れて目に止まりにくくなる。即時性や刻一刻変わる社会に対応するにはよいが、継続的な情報はやっぱり作り込んだホームページだろう。
できれば、昔書いたブログ記事を、ホームページに収録することも考えている。

それに、私のホームページは、もともと趣味で「知られざる探検家列伝」からスタートしているのだが、こちらも100人を目指したのに62人で止まってしまった。そのうち再開したい。土倉庄三郎の次男・龍次郎なんか、充分に掲載価値のある「知られざる探検家」なのだ。

2012/11/13

クローズアップ現代「眠れる日本の宝の山」

NHKの「クローズアップ現代」が、林業を取り上げた。

タイトルは、予告時よりどんどん変化して「国産林暴落の衝撃」だったのが、「日本林業は自立できるか」となり、最終的に「眠れる日本の宝の山~林業再生への挑戦~」となったようだ。

※国産林というのも???だけど。国産材の誤字? 国産林業?

予告では、国産材の価格暴落を取り上げるような様子だったのに、放映されたものは、暴落話は導入にすぎず、しかも森林・林業再生プランを、まるでそのための対策かのような表現で紹介する。

反対である。再生プランが材価を暴落させたんでしょ……(-.-)。再生プランでは需要喚起も取り組んだようかに紹介しているが、私はそんな事実を知らないし。
しかも、再生の動きに西粟倉・森の学校を取り上げている(でも、なぜか製材所扱い)けど、再生プランの実践とは真逆の取組例じゃないの?

う~ん。きっと、この番組を見た林業に心を寄せる人の間では、議論百出、百花繚乱ではないか(^^;)。

ちなみに私の脳裏に浮かんだ言葉は、鉄面皮であった。。。

コメンテーターとして登場した梶山氏、肩書は富士通総研を使っているが、「元国家戦略室の内閣審議官」を使うべきだと思う。だって、森林・林業再生プランをつくった当事者なのだから。それを第三者の顔で評論するなんて……そんな他人事、もとい客観的な評論は、私に任せておきなさい(^o^)。

おそらく、タイトルだけでなく、プロデューサーは林業を取り上げようと思ったものの、焦点を当てるテーマに何にすべきか迷走を重ねたのだろう。材価暴落?始動した森林・林業再生プラン?各地の新しい動き?  頭を絞ったけど突破口が見つからず、取材したネタを丸めた団子のような総花的な扱いになってしまった……しかも現在の政策批判もできなかった(横やりがあったのかしらん)。

そんな作り手の迷い・戸惑いぶり・苦悩、そして能無しが伝わってきた番組だった。

2012/11/12

「フィンランドの森林」

先日の熊本では、フィンランドの林業機械メーカー・ケスラー社の人たちも参加していて、日本語はわからないはずなのに、私の講演も聴いてくれていたのだが、終わった後に、彼らが行ったプレゼンの資料をいただいた。

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それが、これ。







最初は、???だったが、手にとってみると、

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USBメモリーだった。

オシャレだ。フィンランドの産業プロダクツも、なかなかのスクレ者だね。



データは、英語だから、かろうじて読める。

それによると、フィンランドの面積は、304 000 km2で、そのうち76%が森林。人口は約500万人。

なんか、日本の資料のフィンランドの森林率より高まっている気がする。で、そのうち個人所有が6割を占める。平均所有面積は、約30ha。なお国有林は26%。樹種構成はこんな具合。マツ49%、スプルース30%、シラカバ17%。ほか3%。多様性は極めて少ない。

意外なのは、木材生産で輸出しているのは、圧倒的に紙とパルプが多いこと。必ずしも用材輸出国ではなかったのか。でも、林業・木材産業に従事している雇用率(23%)や生産高などは非常に高く、林業が国の産業であることは間違いなさそう。

林業は、やはり皆伐-一斉造林らしい。機械化は進んでいる……って、機械メーカーの人が言うのだから、そうなるだろう(笑)。で、森林の95%がヨーロッパの森林認証PEFCを取得している。(FSCは少ないらしい。)

輸送は、トラックが76%を占めるが、そこに鉄道や船(湖の利用)も組み合わせることを進めている。これらはCO2削減の意味があるそうだ。ちなみに湖を巨大な筏で移動させるシーンは、なかなか圧巻だ。筏というスケールじゃない。人工の島みたい。

木材生産以外の林業には、観光産業も多い、バイオエネルギーの利用など、興味深い点はいくつかあるが、もう読むのは疲れた(^^;)。今日は、これまで。


2012/11/11

中世の木材供給地

このところ、自宅と実家の蔵書の整理を進めている。

ようするに圧縮を図らねばならなくなったのだ。私は、わりと身の回りのものを定期的に捨てるようにしており、躊躇しない方と思っているのだが、書籍類だけは別。

すると、出てくるわ出てくるわ。忘れていたような本や書類資料の山(笑)。当初の目算の量の2倍3倍になる。ああ、こんなところにダンボール箱に詰めて押し込んでいたのか……と“発見”してしまう。読んだ記憶のないものや、今度資料として買うつもりだった本が、すでにあったりする(;^_^A。私か執筆した記事の掲載された雑誌も多いが、これは切り取るなどして圧縮しないといけないなあ。

さて、そんな中で発見したのが、「謎解き中世史」(今谷明著)。パラパラとめくってみると、
中世絵巻から読む建築「木工具」の発達史
という一節が。そこを、またパラパラめくると、室町時代に京の都を初めとした畿内に運び込まれた木材船の記録が書かれていた。(1444年~49年)

そこには25の港のうち、過半の14港が、淡路、讃岐、阿波、土佐だというのだが、さらに積載量を比較すると、阿波の港がずば抜けて多いという。つまり、当時の畿内の木材需要を支えていたのは阿波、つまり現在の徳島県だということになる。

ちょっと意外である。徳島県でも,木頭地方は今も林業地であり木材供給地ではあるが、そんなに多量のイメージがない。讃岐(香川県)や淡路(淡路島)なら、もっと意外感がある。むしろ、江戸時代は土佐が多かったはず。また九州からも運んでいた。

当時は、より畿内に近い阿波などが重要産地だったのかもしれない。ただ、徳島と言っても、吉野川を流送したとすると、その上流の土佐・嶺北地方が産地だと考えることもできる。

いずれにしろ、時代とともに木材供給地は変化していたのだろう。

木材移動から、歴史的な各地の経済力を計ることができるかもしれない。

※一点、気になるのは、山間部の木材移動は、木馬を使ったのだろう、という推測が載っているが、これはちょっと……。中世以前の図説には見つからないそうだが、江戸時代でもあったのか? 木馬が盛んに使われるのは明治時代である。(もっとも積極的に使ったのが、土倉庄三郎。)その前から存在していた可能性はあるが、普及しなかったと考えるか、そもそも発明されたのが後世なのか。

果たして木馬の発祥は、いつ、どこ、だろうか。

2012/11/10

高コストの林業機械

八代で紹介されたフィンランドの林業事情もそれなりに面白いのだが、やっぱり気になるのは、ケスラーの林業機械。

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写真は、ケスラーのアタッチメントをつけたハーベスタ。実は日本仕様である。

性能値を示すと、玉切り直径550ミリ、枝払い直径480ミリ。ヘッド重量570キログラム。

これだけでは、どんなものかピンとこないのだが、特徴はストローク式であることらしい。

一般にハーベスタやプロセッサが丸太をつかんで、枝打ちや玉切りをする際に丸太を動かすのは、爪のついたローラーで繰るようにする。それを油圧(?)によるストローク式にしたという。例えば悪いが、シャクトリムシのように動かすわけだ。

すると速度は落ちるが、寸法を確実に測って玉切りできるうえ、低燃費なのだそうだ。しかも故障が少ない。日本の林業事情に合わせて、注文に従って設計したという。

まあ、機械の仕組みについては専門家に任せます(^^;)。

それにしても、やっぱり驚くのは、アタッチメントだけで千数百万円して、ハーベスタの価格の約半分を占めるということ。高いなあ。自前で購入したら、これを償却するのにどれほどの山を伐って、何立米の木材を出さねばならないのだろう。

ところで、

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こちらはキャタピラー九州が開発したチッパー。林地残材でも選定木でも竹でも、何でもその場でチップにできる。

写真の小さな方なら、軽トラの荷台にも乗るから、どこへでも運べるという。その場でチップにして、持ち帰るなり散布するなりOKですよ……と。

が、価格は小さい方でも160万円。大きな方は、その数倍。

いくら再生可能エネルギー全量買い取り制度で、チップが金になると言っても、この金額で元を取るのは至難の業だ……。結局、補助金頼みの購入になりかねない。

購入を助ける(ただし、もらい得の補助金ではない)、何かよい方法はないものか。機械化は悪いことではない。効率だけでなく労力や安全面からも労働条件を改善する。しかし、こういった価格だと、使い方に無理が出る。メンテナンスにも金がかかる。一般には機械化による高コストが林業を追い込んでしまうような気がする。

上記のハーベスタは、燃費やメンテナンス費を圧縮するのに効果があるそうだ。またカーボンオフセットのシステムを組み込んであって、排出するCO2を埋め合わせもする。また数年後の買取保証額をあらかじめ設定して購入するも可能だという。
何か、そのような仕組みをもっと活かして、例えばNPOや森林ボランティアでもやり方次第で購入できるような方法を提示できないだろうか。

2012/11/09

「神のつかい」の駆除

熊本の研修会で主催者側であった上津江(大分)のトライウッドの担当者は、奈良女子大出身だという。それで、ひとしきり奈良女子大の話題になったのだが、そこで私がスマホで写した写真を示した。

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校庭を悠然と歩く鹿。奈良女子大内には、鹿が闊歩しているのだ(笑)。







ところが、今日の新聞によると、奈良でもシカの駆除が始まりそうだ。

何も山の中の鹿を駆除していなかったわけではない。ただ奈良公園の鹿は国の天然記念物にも指定され、春日大社の「神のつかい」扱いだったから、非常に駆除は難しいのだ。しかし、あまりに農地や人家の庭まで荒らすようになったから、頭数管理をしなければならなくなったという。

鹿害は、山中にとどまらなくなったということか。

正確には、公園のエリア内では駆除せず、そこからはみ出たところの鹿を駆除する計画だそうだが、多分、また反対運動が起きるんだろう(笑)。

しかし、「神のつかい」と言ったって、鹿は鹿。明治維新時と、太平洋戦争の戦争直後は密猟で38頭と79頭(この頭数には異説あり)まで減っていた。それが、保護を復活すると10年くらいで1000頭あまりまで回復した。このところは、ずっと1200頭前後のはず。

この繁殖力、結構脅威だ。研究者によると、昔から鹿害はすさまじく、農民を悩ませてきたらしい。江戸時代は鉄砲を所持することが禁じられていたが、獣害を防ぐことを名目に、鉄砲を部分的に解禁することも多かった。それでも、野生動物は増え続けたという。
つまり、現在が増えすぎたのではなく、そもそも、これぐらい昔からいたのかもしれない。そして人間と戦ってきたのかもしれない。

よく共存・共生というが、そんな生易しいものではなく、常に必死で相手をたたき潰すくらいの気持ちでやっても、トントンなのだ。

ほかにもカモシカやサル害も多いし、私はクマだって増えているのではないかと疑っているし、もしかして、日本列島は、有史以来、最高の野生動物天国になってきているのではないのかね。

2012/11/08

研修会で意外な出会い

熊本県八代市よりもどった。

九州の森林カーボンオフセット推進協議会」の森づくり研修会に呼ばれたのである。メンバーは、大分県日田市上津江のトライ・ウッドとキャタピラー九州、ケスラ代理店……というわけで、集まったのは、林業機械屋さんが多く、林業界とは近いようでいて、ちと肌合いが違っていたが、なかなか面白かった。

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このバッジは、「THINK FOREST」~森を想う~

地球の周りにあるのは林業機械。それらが出すCO2を森林整備でオフセット(相殺)するという考え方だ。

森林整備は地球温暖化を救う、というお題目ながら、巨大な重機の出すCO2はどうなるんだ、という問いかけに対する一つの答だろう。

本会には、モア・トゥリーズの水谷さんも来ていた(というより主催側か?)ほか、フィンランドのケスラ社の方々も来られて、フィンランドの林業事情も聞かせていただいたし、以前の熊本行で知り合った方々も来てくださり、なかなか賑やか。

そして、意外な出会いもあった。

それは、西日本新聞の記者。大分県の日田支局からわざわざ取材に……と思ったら、なんと広島の安田林業の○○○○アヤさんの従兄弟だという。(なぜ、伏せ字なんだろ)

しかも、今年1年は林業取材を続けているのだそうだ。

というわけで、いろいろ質問を受けたが、私も思わず「アヤさんには、いつも遊んでもらっています」と頭を下げてしまったのだったm(_._)m。

2012/11/07

林業機械のベースマシン

林業機械のベースマシン
熊本県八代市のキャタピラー九州とケスラーの林業機械展の会場を覗いた。

当たり前だけど、ベースマシンは皆キャタピラー。日本の林業機械は、ほとんど建設機械用クローラー(キャタピラー)である。欧米では、ほとんどホイール(タイヤ)だけど。

2012/11/06

長崎にある“吉野の森”を作った人

せっかくだから、昨日の続きのような、ちがうような話。

長崎県の島原半島に、鍋島林業という林業会社がある。その名の通り、かつての肥前藩主・鍋島家の持つ山林を預かっている。長崎県と佐賀県は、かつて同じ県だったし、肥前も島原半島を含んでいた。そして鍋島家の所有だった。

ここで見た森が、美しい。

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大木が林立している。当時、樹齢150年くらいと聴いたが、生長がいいから、結構な太さだ。九州では希有な人工林だろう。

施業的には、傘伐という言い方もする、優良樹を残して周りを伐って残した木を育てる、いわば「将来木施業」みたいなもの。残した木を母樹として、種子が育つのを期待するという点では、天然更新的でもある。

一見して、吉野の森を連想した。

すると案内した人が、この森は、戦前、東京大学のなんとかというエラい先生が指導してつくったそうですという。

それって? 本多静六ではないか。

本多静六は、各地の名家の山林を指導して回ったことで知られる。そこで鍋島家の求めに応じて、森づくりを指導したのだろう。傘伐は、ヨーロッパでよく行われていたから、それを取り入れたのかもしれない。一方で、当時は吉野の森が模範とされていたから、それを意識したとも思える。

本多に吉野林業を教えたのは土倉庄三郎なのだから、ここは土倉式造林法の片鱗が残る森ということになる。

戦中戦後、木材不足の中で多くの森は皆伐されてしまったが、こうしたところにわずかながらも戦前のより良き指導を活かした森が残されているのだ。

今に残る本多静六のつくった人工林というのは、意外と知られてないが、長崎で見るのもいいだろう。

2012/11/05

本多静六と明治神宮

森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』は、当然ながら土倉庄三郎の一生を追いかけたわけだが、実は柱はもう一つある。

その一つが、明治の林政であり、それを支えた本多静六である。

当初の構想では、本多静六の一生も密に取り上げる予定だった。事実、かなり執筆している。が、あまりに分量が膨らみすぎて、削る過程で本多の部分の大半をカットした。(それでも、各所にチラリチラリと登場するから、ご確認あれ。) 林政に関しても、多くをカットすることになってしまった。。。

で、本多静六と言えば、明治神宮の森である。(私の中では)

明治神宮を創設する際の鎮守の森づくりを依頼された本多は、期待された杉並木の荘厳な森を覆して、照葉樹林の森を企画する。仁徳天皇陵のような古墳に繁る森をイメージしたとされる。

これには異論が巻き起こり、時の総理・大隈重信も強固に反対したそうだが、いろいろ科学的データを示して押し通したそうだ。

と言っても、最初から照葉樹を植え込んでいる某氏のような指導はせず、当時の建設予定地に残っていたアカマツなどは残しつつ、その間にスギやヒノキなど針葉樹、そして落葉樹や照葉樹を植えていき、時間をかけて遷移させて、100年後の森をイメージした。

神宮林が完成したのは1921年だから、もうすぐ100年を迎える。

そこで先日、表参道に宿泊したので朝から見学した。

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広い参道も、両側の照葉樹が大きく育って枝を伸ばし、覆わんばかりだ。

どこを見ても、巨木の照葉樹が繁っている。マツやスギなどの針葉樹は見当たらない。構想どおりに遷移したと言えるだろう。

こんな図もある。




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当時、作られた植生遷移予想図(を再現したもの)だ。

だいたい、この通りになったと言ってよいのではないか。

(本図は、「森田稲子のブログ」より抜粋。)




もちろん明治神宮の森は、本多だけが作ったのではない。ほかにも多くの学者、そして現場の担当者が尽力したのはいうまでもない。

ただ、本多の植生学はドイツ仕込みながら、ちゃんと日本に適合させて、実践でも見事に成功させている。

今のドイツ林業を生兵法のまま丸呑みしてグダグタになっている林業現場や、潜在植生論を振りかざして遷移過程を考えずに照葉樹の植林を進めている人より、ずっと素晴らしい。

学者も官僚も、当時の方が、森林に対する時間の感覚が自然界に合致していたように感じる。そして横やりにも押し返す根性があった。やはり神代の意識があったからか? なんて考えてしまう。

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2012/11/04

谷山浩子コンサート

本日は、「谷山浩子コンサート〜デビュー40周年大感謝祭〜」in大阪

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3時間プラスαの長上場でした。惚けました。

生で、フルバンドで、聴くと、まったく別世界に連れて行かれました。何も語れない。書けない……。

とくに、アンコールが終わって、会場も明るくなり、場内放送もある中、ひたすら拍手のコールでダブルアンコールに持ち込んだ大阪的ノリに感動(~_~;)。

やっぱり、癒しには、森林セラピーより効くよv(^0^)。

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2012/11/03

奈良県商工観光館を訪ねよう

昨日の奈良の町の余話。

近鉄奈良駅前には、奈良県商工観光館がある。この1階は、「きてみて奈良SHOP」という名で、奈良の物産を集めているから、なかなかの穴場である。意外とよいお土産が見つかるだろう。

で、ここに昨日は、吉野の物産を揃えていた。そして、どん! とあるのが、割り箸なのである。ワゴンコーナーもあるが、奥にも、結構オシャレdで土産になりそうな割り箸が並んでいる。

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しかも、産直だからかなり安い。

天削や利久の高級割り箸も、1膳当たりで5円程度。

箸袋も土産を意識したデザインが施されている。



そして、もう一つ注目したいのが、こんな商品。

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吉野杉と吉野檜のiPhoneカバー。

地元の業者がつくったみたい。こんなページがあった。

http://marushouten.ocnk.net/

ほかのスマホケースもーあればよいのだが。





ほかにも、美しい銘木の加工品がいろいろ並んでいる。なかなかセンスもよくて、一昔前のように、材質はよくてもデザインがなあ~と嘆かなくてもよい。

ただ、そうした品は、値はかなり張る(~_~;)。簡単に手が出ないよ。

ともあれ、目の保養にはなる。ちょうど正倉院展も始まった。奈良にお越しの節は、ぜひ覗いてください。以上、観光案内でした。

2012/11/02

ない、ない、ない…奈良の書店にて

ない、ない、ない…奈良の書店にて
奈良市に出かけたので、多少の空き時間に奈良で一番大きな書店を覗いた。
もちろん「森と近代日本を動かした男」を探すためである。

まず新刊書コーナー。ない。
歴史コーナー。ない。
ええい、林業コーナー。…林業コーナー自体がない。
森林関係の棚にもない。

だんだん頭に血が上って来る。
書店中を探してないのだ。

ふと気がついた、パソコンによる検索コーナーがある。震える指(!)で書名を入力。

…写真のとおり。
品切れだった。

2012/11/01

「カンバシ」…て?

岡山県西粟倉村より届いた、「カンバシ」。

カンバシって何? と思うのは私も同じである。まあ、見た目は割り箸セット。

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割り箸は、当然、西粟倉村産。FSC認証材を使って作っているものだ。種類としては、利久箸。そうか、高級割り箸も作っていたのか。

それが10膳セットになっているのだが、ここで注目すべきは、箸袋だ。

そう、三角形をして、ちょうどスギの樹冠をイメージできるようにしている。ありそうでなかったデザインだ。



が、このセットの意味は、単なるデザインではなかった。まず、名前の意味からして、間伐材の割り箸なのだが、この杉林仕立の中から箸を1膳2膳と抜き取ると、それが間伐しているように見えるというう寸法。なかなか、オシャレじゃないか。環境教育にも使えるかな?

それだけではない。この箸袋、なんと和紙なのだ。ミツマタ製だという。

ミツマタは、以前にも触れたが、スギやヒノキの人工林の林床によく生える低木だ。だから、林業地の副産物として、和紙材料の産地にもなっていたのだ。

そんな意味も表していると言う。

そして、そして。この割り箸セットの台紙を組み立てると……。

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じゃーん。このようになるのであった(笑)。箸ホルダーだったのか。

う~ん。凝ってる。凝りすぎかもしれない(~_~;)。

いっそ、西粟倉村産のスギは、これから「凝り杉」と名付けるといい(^^;)\(-_-メ;)。

これで、1280円だそうである。4000セット限定発売。販売元は、森意識PのミツマタPだそうである。Pは、プロジェクトの意かな。

こうしたものは、ノベルティとか、環境教育素材として売るべきなのかな。

なんだか、割り箸の世界は、ビジネス・アイデアを競う分野になってきたようだ。これまで寝たようだった林業界の一角に、外部から参入しやすい風穴が開いたかのよう。

どうだろう、これを持って、また林野庁長官室に殴り込み…じゃない、表敬訪問させていただくというのは。もちろん農林水産事務次官室でもよい。ああ、大臣室だっていいんだが。

林業を振興したいと、業界関係者以外の人も、アイデアを凝らして努力しているんだ、ということを知らしめたい。こんな業界、ほかにないんだよ…。

ちょっとだけ注文を付ける。もう少しわかりやすい組立方を記してほしい。予備知識がないとわからないだろうし、ちょっと迷ったぞ。
それに、この割り箸セットの意味、つまり杉林の間伐に見立てていることや、ミツマタ製和紙の箸袋を使う意義もわかりやすく説明した一文がほしいなあ。林業とミツマタの関係とかも、一般人にはわかりにくいだろう。

一応、検索してみると、プレスリリース発見。http://ja.scribd.com/doc/111178805/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%80%80%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%B7%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85



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