違法な合法証明
りそなセミナーでは、海外の森林事情の一つとしてアカシア植林について触れたが、もっと触れてほしかった話題は「違法伐採」である。
サミットなどで違法伐採による木材の締め出しが決議され、日本も公共の木質物(建築材から紙まで)は合法な調達によるものを証明する必要が求められている。
実際、海外で貿易に供される木材の2~3割は違法伐採だというし、合法証明付きの木材だって、実は行政ぐるみのでっち上げ書類が多いことが指摘されている。
アメリカでは、違法伐採された木材を原料とする木材関連製品の輸入や取引を禁じた改正レイシー法が施行されている。アメリカの法律だけでなく、生産国の法律違反の木材も対象だ。非常に厳しく、骨抜き、抜け道探しが行われて、実際に摘発されるのは数件にすぎないというが、それでも悪質業者の駆逐に威力を発揮している。
日本も、違法伐採を取り締まれば、無理な木づかい運動なんか必要ないのだ。輸入木材の数割は違法だとされているから、それを追放すれば、否応なしに国産材を使わずにいられなくなる。莫大な需要が外材から国産材に向かうから、だぶついている木材は捌けて出荷体制が強まるだろう。そして価格も上がるのは間違いない。
使用する側も大切に使わざるを得ない。あっという間に木材自給率50%を達成できるだろう。そこで非木材建材に逃げないような努力は必要だが。。。
ただし、それは国産材は皆合法であった場合である。残念ながら、日本の合法証明なんて、ゆるゆるのカスみたいなものだ。講演では「厳しく取り締まったら、木材貿易が止まってしまう」なんて発言もあったが、それって違法に目をつぶるということじゃないのか。
だいたい合法証明自体が木材業者自ら発行しているのだし、それさえも自治体によって扱いが違っていて、添付書類がトレースできない有り様。ほとんど精査なしに発行されている……ことが、セミナー後の有志のお茶会(^o^)で語られた。
しかも、日本の法律そのものが穴だらけで、相当ひどい伐採をしても、法律違反にはならない。さもなきゃ、100ヘクタールの大規模皆伐なんぞできない。
これを是正せずに外材の違法だけを厳しく取り締まったら、外国から猛烈な抗議を受けるだろう。そうなれば、日本の林業現場も少しは変わると思う。まあ、外圧を期待するのは邪道だが……。
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こんにちは!
違法伐採について調べていて、こちらのサイトにたどり着きました。各国の現状、悲しいと思っていたら日本もですか。うーん・・。
投稿: ゆき | 2012/11/26 18:39
合法証明はないよりマシと思うか、実は広報証明だったりして(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2012/11/27 00:34