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森と林業の本

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2012/11/20

「意外とたくましい?」講演会

「仕事納めでヒマ」だから講演会・・・第二弾(笑)

今日は京都で森林総研関西支所の講演会。というより、研究発表会かな。

001

テーマは、以下の通り。









意外にたくましい?人工林の脇役たち

人工林の植生は貧弱? でも、意外に環境
は多様で、うまく適応する低木も・・・

ふだん脚光を浴びない人工林の脇役たちの
姿を紹介します。

このように記されていたら、どのように想像する?

人工林だって、林床には多くの低木、下草が生え、そこには多様で豊かな生態系が存在する。人工林だって捨てたもんじゃない……という研究結果が出るかも……。

で、発表されたのは゛次の3つのテーマ。

・コショウノキが住処を求めて
・消えゆくコブシと広がるニオイコブシ  -西日本のモクレン仲間の盛衰-
・スギを間引けば脇役たちは生き残れるか?

……聴講した後の私の気分。「人工林の脇役は、たくましくなかったんだ……」

コショウノキは、照葉樹林の薄暗い林床に生える木だが、照葉樹林がどんどん開発で減り、その後に成立した落葉性の雑木林には適応しにくく、むしろ常緑の人工林の林床に生活の場を得た植物。とはいえ、希少種・絶滅危惧種に近く、人工林に新たな場を得たというよりは、なんとか生き長らえているという感じ。

二番手のコブシ、ニオイコブシ(+タムシバ)も、減少の一途。平地の河畔林に多いということもあって、西日本からは消えつつあるとのこと。(ただ、私は山口県で、林内放牧地の山一面にこぶしが繁っているのを見ているのだが……山には生えにくいと言っていたが別物なのだろうか。)

そして最後に、人工林を間伐や皆伐して広葉樹林にできるか、というテーマ。研究地は秋田県なのだが、結果として、極めて難しいという。間伐、あるいは皆伐して、そこに生えてくる雑木の広葉樹は多いのだが、なかなか居つかず、伐採前から生えていた前生樹がかろうじて残る程度で、後から侵入した樹はやがて衰えていくという。皆伐地も、何年たってもササやススキ原のままになる可能性も高いそう。

ようするに、人工林の脇役は、みんなひ弱いのか?

これでは生物多様性の高い人工林づくりは、険しい道のりとなりそうだ。択伐施業とか針広混交林づくりだって、簡単じゃないということを証明したようでもある。

演題に「たくましい?」と?マークがついていたのはそういうことか。拙著の『割り箸はもったいない?』も、もったいない? と?マークで世間の想像を裏切っているのだが。

とはいえ、そうではなく、立派に成立した針広混交林だってある。その差は何か? 地質や気候条件か? 人工林の歴史か? 施業者の技術か? 知識と知恵か? 経験か? いずれにしろ、生兵法は怪我の元だって?

……と、???ばかりを付けてみました(^o^)。

 

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コメント

21haの広葉樹林(植林木はシイ・カシ3種・タブ・クヌギ・コナラ・ケヤキ・ヤマザクラ)を育成中の私に誰か話を聞きに来れば、いかに育成が楽勝か教えてあげるのですが。

おお、ぜひ森林総研と張り合ってください(^o^)。

ただ、沢畑式広葉樹林育成法は、広葉樹の苗を植える方法ですね。上記は伐採後の天然更新狙い?ですが。

21haの森の中には、皆伐後に植林が不十分であった場所も含んでいます。水俣では鹿が少なければ楽勝ですが、北国ではそうも行かんでしょうね。

そうか、ならば研究者は水俣の山を調査対象にして、広葉樹林化の技法を研究してほしいですね。

もちろん、獣害の多寡も研究要素になりますね。

一度は森林総研(熊本)に調査を持ちかけたのですが、関心がないようでした。ボランティアとの協働も含めて、広葉樹林を育てる方法は既に確立しているのですが、誰か話を聞きに来てくれんかなあ。

森林ボランティアなどのシステム論はともかく、広葉樹林化は地域ごとに条件がちがうので、試験地の選定が難しいですね。
しかも継続的に最低でも10年以上やらないといけない。一度は、広葉樹林化が完了した(成功した)と思えた山も、その後衰退するケースもあるそうです。

だからこそ、愛林館のように長期観察+施業継続が行われている土地を調査対象にする意義があると思うんですけどね。
いっそ、沢畑さんが論文書けばいいんです(^o^)。

論文か(遠くを見る目)。。。もう何年も書いていません。。。でも、誰もしないなら自力でするしかありませんなあ。

老後の楽しみになりますよ(^^;)。

論文でなく、広葉樹林化マニュアルとして経験たっぷり、情感たっぷりにかけば、ベストセラーを狙えるかも……。

ベストセラー、よかですね。

「聞こえる。木が育つ音が。水を育む音が。」
みたいな書き出しでいいですか。

沢畑さま。
そ、それです。
その書き出しです。。
表紙も木に耳をあてたり、地面に耳をあてたり
それっぽく。(^^)

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