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森と林業の本

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2012/11/09

「神のつかい」の駆除

熊本の研修会で主催者側であった上津江(大分)のトライウッドの担当者は、奈良女子大出身だという。それで、ひとしきり奈良女子大の話題になったのだが、そこで私がスマホで写した写真を示した。

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校庭を悠然と歩く鹿。奈良女子大内には、鹿が闊歩しているのだ(笑)。







ところが、今日の新聞によると、奈良でもシカの駆除が始まりそうだ。

何も山の中の鹿を駆除していなかったわけではない。ただ奈良公園の鹿は国の天然記念物にも指定され、春日大社の「神のつかい」扱いだったから、非常に駆除は難しいのだ。しかし、あまりに農地や人家の庭まで荒らすようになったから、頭数管理をしなければならなくなったという。

鹿害は、山中にとどまらなくなったということか。

正確には、公園のエリア内では駆除せず、そこからはみ出たところの鹿を駆除する計画だそうだが、多分、また反対運動が起きるんだろう(笑)。

しかし、「神のつかい」と言ったって、鹿は鹿。明治維新時と、太平洋戦争の戦争直後は密猟で38頭と79頭(この頭数には異説あり)まで減っていた。それが、保護を復活すると10年くらいで1000頭あまりまで回復した。このところは、ずっと1200頭前後のはず。

この繁殖力、結構脅威だ。研究者によると、昔から鹿害はすさまじく、農民を悩ませてきたらしい。江戸時代は鉄砲を所持することが禁じられていたが、獣害を防ぐことを名目に、鉄砲を部分的に解禁することも多かった。それでも、野生動物は増え続けたという。
つまり、現在が増えすぎたのではなく、そもそも、これぐらい昔からいたのかもしれない。そして人間と戦ってきたのかもしれない。

よく共存・共生というが、そんな生易しいものではなく、常に必死で相手をたたき潰すくらいの気持ちでやっても、トントンなのだ。

ほかにもカモシカやサル害も多いし、私はクマだって増えているのではないかと疑っているし、もしかして、日本列島は、有史以来、最高の野生動物天国になってきているのではないのかね。

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コメント

動物写真の第一人者、宮崎学さん(キツネ目の男ではない方)がクマなどについては大変面白いことを書いておられます。
http://tukinowaguma.net
こちらでも、鹿の食害対策をぼちぼちやっております。

宮崎学さんは、「熊は増えている」の急先鋒ですね。

そもそも野生動物を「増えすぎたら(人に害を与えたら)駆除する」のは、古来当たり前の考え方であって、いつから忌避感情を持ち出したんでしょうね。

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