閉鎖ゴルフ場の行く末
このブログ読者のほとんどが興味を持たないであろう、ゴルフ場(笑)。
その現状を少しお知らせ。私もゴルフには興味がないが、ゴルフ場には関心があるのだよ。
何より大きな問題は、閉鎖が相次いでいるということだ。この5年間に42コースが閉鎖・廃業した。また27ホール、36ホールという大型コースが、18ホールだけを残して残りを閉鎖する例もある。以前からゴルフ需要と供給のバランスが崩れており、500くらいのコースが余っているという報告があったが、深く静かに進行しているようだ。
とくに多いのが北海道だが、これは地元のゴルフ人口が少ないのに、環境がゴルフ向きということで全国最多のコースがあったからだろう。道外から呼び込むには、景気が悪化しすぎている。
そして、福島県。これは単なる経営悪化だけでなく、震災・原発被害の影響が大きい。被害を復旧するだけの経営体力がないのに加えて、放射能問題。風評だけで済まず、実際に降り注いだところもあるが、東電の賠償は行われていない。さらに地元人口減や家計悪化も響いているはずだ。
さて、私が気にしているのは、閉鎖されたコースが今後どうなるのか、である。
大方は、森林化を進めている。いや、積極的なものはわずかで、ほとんどが放置に近い形で草木が繁るままにしているのだろう。
しかし、放置では、先の森林総研の研究のように、うまく森林化するとは限らず、ブッシュや草原のままになったり、不健全な森林になってしまうことも考えられる。
ちなみに一ゴルフ場の面積は約100ヘクタール(18ホールの場合)。単純に42をかけると、4200ヘクタールもの用地が放棄されたことになる。そのうち元から森林(残置森林など)であるのは5~6割で、芝生のコースを3割と見込むと、720ヘクタールが森林化すると考えられる。おそらく、今後も閉鎖が続くだろうから、その数倍の面積が対象となる。
もちろん、一部はゴルフの練習場として使っているところもあるそうだし、別のレジャー施設へ転換させた例もある。またメガソーラー施設、つまりソーラーパネルの設置場所として利用するケースも出てきた。しかし、それも場所や地形などの条件に左右されるし、資金調達が大変だ。やはり低コストなら、森林化となる。
そこでゴルフ場の森林化に関する技術的アドバイスや、実働(植林・育林など)を請け負う組織が必要にならないか。また残置森林や今後造成する森林を利用したビジネス・イベントを行うこともできる。所有者は持て余しているのだから、安く借りられるはず。環境教育や森林療法、アウトドア系イベントなどが浮かぶだろう。
そんなNPOなどの法人を作ると、ビジネスにならないかね。
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うーむ 美味しい(笑)
MTBとかシクロクロス(つまり不整地自転車遊び)のコース
クロスカントリー(走り)のコース
なんかすぐに思いつきました
私は犬の散歩(肥料付き)とか
グリーンに幕営とか(めちゃくちゃ寝心地よし)しか利用したことないですけど
投稿: DT | 2012/11/24 19:28
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿: 株の指標 | 2012/12/01 12:58
田中様
お久しぶりです。
ゴルフ場は、私も、縁がないのですが・・・。宮崎も経営が危ないゴルフ場があるみたいで、大変なんだなあと思っています。
変わり種でいけば、サファリパークからゴルフ場になったところもありますね。話が逆か!!
フェニックスにシロアリ捜しに行ったときに有名なグリーンキーパーさんからシロアリは、「ありがたい」と言う話をしていました。台風などで倒れた松をそのままにしておくそうです。重機を入れるとコースを閉鎖しなければならなくなり、人工的な痕は、ゴルファのクレームになるからだそうで、自然にシロアリさんが食べてもらう方が、経費も掛からないとのことでした。考え方で、いろいろあるんですね。
投稿: 海杉 | 2012/12/03 09:54
サファリパークの方が面白そう(^^;)。
シロアリでなくても、自然に木が腐朽していく様子は、ゴルフ場に似合う景色だと思いますね。
でも、ゴルフ場で幕営なんて。。。そりゃ、気持ちよいでしょうよ(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2012/12/03 15:37