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2012/12/09

鎮守の森は、林業地だった?

日本で、もっとも多様性が高く、原生状態が保たれている森として注目されるのは、鎮守の森である。

ごく一部の無人島や高山などの手つかずの森は別として、神社の境内に広がる社叢は、土地の気候や土質などに適した、いわゆる「潜在自然植生」(笑)で、非常に多彩な植物が存在しているとされる。そして原生的な生態系だと。

Photo


写真は、生駒大社の鎮守の森。



なかなか立派な照葉樹が育ち、「潜在植生」ぽい。

が、パラパラ見ていた本に、昭和10年の「社寺林の現況」という農林省山林局(今の林野庁)お調査結果が記されていた。

それによると、全国177万3730余の社寺を調べたところ、関東地方はスギやヒノキ、マツが代表的樹種で、信越地方はそこにカラマツやケヤキが混じる。東海、近畿、中国地方もスギやヒノキ、マツで、少し照葉樹が混ざる。四国と九州はカシ、シイ、クスノキ、それにマツ。

全体としては、スギとヒノキの単純林が多かったのだそうだ。

おいおい、「潜在自然植生」はどこへ行った(~_~;)。照葉樹は全然目立たないじゃないか。多様性の高い森とは言い難い。地域に則した樹種とはいえ、あきらかに木材需要に応える木が育っている。おそらく人の手で植えたのだろう。

もともと神社は神の依代として植樹はしていたわけだし、その際に役に立つ木を選ぶのは当たり前かもしれない。また、近隣住民が入って、落ち葉などを採取することも許していたのではないか。

ようするに、昔は社寺林と言えども手を一切入れない不伐の森ではなく、伐ったり植えたりしていたのだろう。

すると、社寺林こそが、都市林業の形態を体現していたのではないか。集落の中、あるいは近郊にあって、里人と深くつきあっていた森林地域だからだ。
ほとんどの社寺林は1ヘクタール未満の小さな空間だったが、そこから日常的に薪や落ち葉を採取したり、ときに木材も得ていたのかもしれない。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

このブログ記事を読んで、以前コメントにも書きました本「軍需物資から
見た戦国合戦」を思い出し、読み返しました(^^)
 少なくとも長楽寺(群馬県太田市)というお寺では「杉の取り木をさせた」
など、苗木育成の記述や戦国時代ゆえか「サイカチ」も・・・明らかにお寺
や神社が木々の育成や植林技術、または苗木などの商品売買の場所
だったと思われますね。

私もその本は読んでいたけど、覚えていなかった(~_~;)。

今の人間は社寺を特別な目で見てしまうけど、案外、かつては地域にある存在として、当然のように経済活動として物資供給もしていたんでしょうね。今だって鎮守の森伐って、駐車場にしてしまうところあるし。

社寺林の目的の一つに本殿等の建て替えの用材確保があったと思います。伊勢神宮の遷宮に習うところもあったり、火災や老朽化に対応するために社寺林を整備し、いざとなればそれを用いることを考えていたようです。長野県のお寺などでも有名な大名、武人が寄進した苗木で・・・というところもあるそうです。なので、社寺林のすべてが「鎮守」の森ではなかったのかもしれません。お寺さんなんかの古文書をひも解けば何か出てくるかもしれませんが、ずくがないですw

寺社の立替用材としての植林は確実にありましたね。
それ以外に、たとえば間伐材とか雑木を薪として販売するとか、落葉落枝を肥料用に出すとか、結構経済行為をしていたと思うんですよ。

もともと寺や神社は、社寺林からの収益で運営されていたとも聞きます。それが、明治になって上地令で国に取り上げられて、金かなくなったので葬式仏教とか結婚式神社になったとか……。戒名も、その頃から付けるようになったそうですね。

かつての社寺林の樹種については、小椋純一さんの『森と草原の歴史』が参考になるかと....一読してみてはいかがでしょうか?

その本も読まないとなあ。

目の前には、読もうと思っている本が積んであります。結構、プレッシャー(笑)。

神社のご神木が狙われているのか、神社のご神木の不審な立ち枯れが見付かっているというNHKの報道があります。真相は如何に。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/1126.html

ほしいご神木などの大木に農薬垂らして枯らし、安く買いたたく手法は昔からあったそうですよ。でも、最近目立つのは、大木が減ってきたからかもなあ。

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