森林政策のグローバル化
NHK大河の『八重の桜』は、楽しみに見ている。
第1回目の始まりは、アメリカの南北戦争。そこで使われた武器が、幕末日本の戊辰戦争に流れ込んだことを示唆していて、世界と日本がつながっていることを示すとともに、同時代性を感じさせる秀逸な導入部だった。
明治維新を欧米から100年遅れの近代化と見る向きが多いが、実は、この時期欧米でも同じような変換期を迎えていた。アメリカは日本開国の主導権を取りながら、明治維新前後にはイギリスやフランスに遅れをとったのも、南北戦争が勃発したためである。
そしてプロシアがドイツ帝国に移り変わるのも、イタリアが統一されイタリア王国となったのも、みな同じ時期である。さらに普墺戦争や普仏戦争も起き、ハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー帝国が登場した。ほか、ロシアも農奴解放の変革期なら、清国は太平天国の大乱が相次いだ。
19世紀後半は、世界的な動乱期であり、時代が大きく切り替わろうとしていたのだ。
通信や交通手段が限られていた時代でも、意外や世界は同時性を持っていたのではないか。
現在は、さらに情報が瞬時に飛び交い、金融や貿易を通じて一国の出来事があっという間に世界に伝播する。
日本がバブル崩壊させたら世界的な不景気の時代になったし、今や世界中がデフレになり、その反動で借金まみれの経済事情である。一方で、環境問題が地球規模で注目された。そして、地球温暖化や生物多様性などがキーワードになってきた。
……というようなマクロな視点で、林業や森林問題を見ると、日本の問題も世界とつながっていることを感じる。まさにグローバル化。
たとえば森林・林業再生プランのように林業改革が打ち出されたのは,日本の林業が欧米より遅れているから……と思われるからだが、果してそうか。実は、各国が日本の眠れる木材資源に目をつけた結果かもしれない。欧米で林業機械の中古が余ったから、日本に送り込んだのかもしれない。
遅かれ早かれ起きたことなのだ。世界の潮流に乗っただけか……。
今後、日本の森林がどうなるか、林業がどの方向に進むかも世界的な動きを注視すれば、見えてくる部分もあるだろう。
たとえば木材需要は今後伸びるか縮むか。長伐期か短伐期のどちらに向かうか。機械化はどうなる? 天然更新の是非? 森林のような環境に関わるものは、とくにグローバル化が進んでいる。
日本の森林政策を決めるのは、実は世界情勢かもしれない。国内事情ばかりに縛られていると、世界の状況を見過ごして、大きな勘違いするかもよ。
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ガラパゴスってやつですね・・・。
投稿: 島崎三歩 | 2013/01/25 22:51
なるほど、逆の意味で、ガラパゴス……。底流ではつながっているのに、肝心の人は世界とのつながりに気づいていないのかも。
投稿: 田中淳夫 | 2013/01/25 22:58