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2013/01/21

千差万別の林業地を知ること

昨日まで、ナカシマアヤさんが吉野に来ていたことは、本ブログを読んでいただいた通り。

実は、吉野だけではない。毎年冬はスキー場勤務だったが、今冬はお休みして、各地を歩いている。佐賀、大分、長野、そして吉野……まだまだ回る予定らしい。

単に5年間も林業にどっぷり使ってきたから今冬はお休み……というのではないのだ。実は歩いているのは皆林業地。プライベートに時間を割いてまで林業の勉強をしているのだ。

一体何のため? どんな心境の変化? 5年も経てば、中堅どころ。林業についても一家言出てくるころではないの。

その点を問い質す(いえ、おうかがいをたてます)と、

吉和(広島)の林業しか知らないでいいのか、と疑問を持った」という。たしかに吉和の山ならかなり覚えた。が、林業は地域によって千差万別。地元の林業だけしか知らずに林業を語ってよいのか、吉和でしか林業できない能力なのか……と思い出したそうである。

たしかに林業は、土地によって条件がガラリと変わる。一つ尾根を越えると、気象も地形も地質も違う。そしてバックグラウンドの経済や産業構造も違っている。
私も繰り返している。だから森林・林業再生プランを批判する際に口にするのは、全国画一的な政策の問題点だ。それもドイツの一地方の例を「成功例」としてピックアップして、それを日本全国に当てはめようという愚である。

だが、実はもう一つ私も気になっているのは、林業家自身の視野である。みんな地元の林業しか知らずに論じることが多い。成功例・失敗例はもちろん、時代もズレる。はっきり言って視野が狭いのだ。にもかかわらず、ほかの地方の林業について知る努力はあまりしていないのではないか。

たとえば吉野の林業家は、吉野林業については詳しく、また技術も図抜けて凄いのだが、その経験で全国を推し量ったら全国的な林政を語れない。同じことをほかの林業地の人にも言えるだろう。

だから「現場にこだわる」ことが「(自らの)体験にこだわる」ことになると危険だと思っている。個人の体験を普遍化してはいけない。
一方で、全国を広く薄く見て歩き、各地の林業事情を足して割って平均値にしたような政策を出すのも愚の骨頂であろう。

どうも、林業界では守旧派や改革派も、自らの編み出した方法が一番正しい、と思い込みの強い人が多い(^^;)。森林・林業再生プラン一辺倒も困るが、全面否定も危険だ。ドイツ林業を信奉するのも伝統にしがみつくのも、外から見ていると視野の狭さを感じる。

林業の視察もよくあるが、あまり参考にしようとしていない。むしろ「うちと条件が違うから参考にならない」と拒否材料になっている。

だから、ナカシマアヤさんの挑戦に期待する。

各地を見て、それぞれの地域のノウハウではなく、発想を学んでください。それを持ち帰って咀嚼すれば、自らの仕事に応用できるかできないか、捨取選択できるだろう。
そして、何かが見えてきたら教えてね。私は、それをパクって本を書く(~_~;)。

009


吉野檜の木目から何を感じ取ったのか……。

奈良銘木協同組合の初市にて。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

中堅クラスの中期交換留学?をやったらいいんでしょうが、そうすると現場が回らないくなりますよね

今、林野庁関係など研修流行りじゃないですか。技術ノウハウばかり詰め込むような研修(それが土地ごとに違うから混乱の元なんだけど)より、各地の林業コンセプトを知る人と人が交わる研修会を催したらどうですかねえ。

林業作業員の独り言。

画一的な林野政策…所詮、お役所仕事。構造自体を変えないと何も変わる事はないでしょう。
現場から変えようにも、それだけの体力は今の林業事業体にはないですね。

今の政策で言えるのは、結局どんな現場であれ効率的な木材生産が必須だという事でしょう。
今はいろんな林業従事者の方がブログなどで情報発信されています。一現場作業員にできることといえば、それらで他の地域の現状や、知識、技術などをチェックしスキルアップに努めるだけです。

画一的になるのは、結局「管理したい」からでしょうかね。その場合、全国一緒の方が楽…。
管理ではなく提案で、現場が採択するような形式を考えます。その方が現場も責任を持つ。補助金も、方法に口を出さず一括して払う。


完全に「ケースバイケース」の政策は無理でも、たとえば森林事情を5種類くらいに類型化して、それぞれに適応した5種類の政策を提起、各地の林業家が選択してさらにアレンジして実施する……なんてスタイルは無理かな、と想像してしまうのですが。。。

ナカシマアヤさんが佐賀へ来られていたとは知りませんでした。せっかく会えるチャンスだったのに。   残念です。sad

残念でした(^^;)。

私も、今朝別れた後は、彼女がどこに行くのか知らない。きっと、あちこち飛んで行くのだろうな(遠い目)。。。

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