ブッシュに帰れ! ~ソロモン化する日本
ソロモン諸島の地震・津波のニュースが流れている。ようやく現地の映像が届いたからだろう。荒い画像ながら、津波の押し寄せる様子と、破壊された集落、流された一帯が映っていた。今や、どこでも映像は撮られるものである。
視察したソロモンの首相も映った。リロ首相という。……そういや、二度目のソロモンを訪問した時に、リロという名の国会議員と知り合ったな。彼の案内で、シンボ島の火山地帯を見学したのだ……と思い出す。彼は、教育大臣をやりたいと言っていた。
ところが我々(静岡大学探検部)を案内したことで、地主から訴えるといわれて焦っていた。我々は、わずかにお金を包んだのだった。これって、献金?
彼と首相が同一人物かどうかは定かではない。ファミリーネームが少し違うようだし……。
それはともかく、ソロモン人には、「ブッシュに帰れ」思想があるそうだ。ブッシュとは、ジャングル転じて田舎、故郷を指す。タウン、シティに対する反語である。
ソロモン人も、田舎の島や集落を出て、町で働き結構いい暮らしを送る人もいる。
ところが何年かすると、彼らは町の生活を捨ててブッシュに帰りたがるそうである。職はなくても、畑と海があれば、食うには困らないのだろう。
当時は、日本の大洋漁業が進出していて、子会社のソロモンタイヨーには多くのソロモン人が働いていた。しっかり働き、結構稼ぎ、技術も身につけ、日本へ研修まで行った人も少なからずいた。
が、帰国したら辞めてしまうのである。「日本に行けたから、もう働かなくてもいい」と考えるそうだ。そこに上昇思考はあまりない。近代的生活にあまり未練がないらしい。
彼らには、「ブッシュ」回帰意識が根強いのである。先に紹介した「カーゴカルト」の裏返しのような心理である。「豊か」になるために、自ら働く意識は弱く、「カーゴ」が持ち込まれるのを待つ。一方で、豊かな近代文明よりもブッシュ、つまり故郷を求める。
社会学的には、発展途上国に多い「低レベルにおける欲望の充足」現象らしい。
が、日本でも田舎暮らし指向が強まっているし、高齢者だけでなく、若者まで「小さな幸せ」を求め、「現状に満足」し、「刺激的な世間(海外)に出たがらない」「持ち家、持ち車を求めない」層が増えてきたという。
ということは、案外日本でも「ブッシュに帰れ」指向が強まる「ソロモン化」が進んでいるのかも? カーゴカルトも広まっているし。
これからは、バック・ツー・ザ・ブッシュ! かもね。。。
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