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2013/02/15

スイッチング・コストは「めんどくさい」

かつて「森林・林業再生プラン」という政策があった(笑)。

そこでは、とにかく木材自給率50%越えを狙った。

そのためには、国産材を大量に安定供給させねばならないと考える。

しかし木材需要は伸びていないから、外材需要が国産材に置き換わることでシェアを上げねばならない。

そこで国産材の価格を外材並か外材以下にしたら、国産材は売れるだろうと考えた。

そして、価格を下げても利益が出るように、低コスト林業を目指した。

低コストは機械化で達成する。(ただし、高価な林業機械は補助金で購入してね。故障はしないでね。)

……結果として、大量生産には成功しつつあるのが、コストは充分に下がらないし、全然外材と置き換わらない。かろうじて合板用だけ伸びたが、もともと価格は安すぎて利益は出ない。国産材はだぶつき、価格は暴落。さらに林業を圧迫している。

 
 

 

ま、図式的に描いてみると、これが近年の林業改革の顛末か。

こうなったのには、いろいろな要因があるのだが、ここでは「なぜ国産材は外材と置き換わらなかったか」を考えてみる。

それまで国産材が売れなかったのは、安定供給できず、発注側に応えられなかったから、とされてきた。それを解消したのに……という恨み節は、政策立案者の間には多いだろう。

でも一般のビジネスマンから見たら、当たり前かもしれない。だって、国産材側はまともな営業努力していないんだもの。

ただ、それだけで片づけるわけにはいくまい。

やはり、これまで外材を使ってきた側にとって、国産材に切り換えるコストが解消されなかったからだろう。いわゆるスイッチング・コストだ。

木材価格だけなら、外材と国産材の開きはなくなってきた、いや国産材の方が安いくらいだ。しかし品質が違えば製材機械の調製も必要だし、流通ルートの整備や事務手続の改革が必要になる。それを行うには、やはり手間がかかり、目先のコストも増える。人も新しいやり方を覚えないといけない。それに慣れた外材のような信頼感はまだない。どんなクレームが来るか。。またユーザーへの新しい素材に変えることに説明義務も生じる。なにより、外材じゃ、何がいけないの?

ああ、めんどくさい

これだよなあ。この「めんどくさい」を解消する、あるいは乗り換えるほどの利得が国産材にはない。とくに、現在の林業および木材業界は、めんどくさいの嫌いだよな。。いままでどおりが楽でいいよな。。。

どうして、乗り越える? 誰か考えてみて。

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コメント

田中翁?へ

それでは、スイッチングコスト課税を新設しましょう。
切り替えを出来ない場合に課税するか、切り替えをした時に余分にかかった費用の半額を補助します。
というのは、いかがでしょうか?

補助金を出すのはあまりやりたくないのですが。

あるいは、国産材の合板やプレカット材の生産者に補助金をだすとか。
いかがでしょうか?

「めんどくさい」課税がいいかもしれません。条件は悪くないのに「めんどくさい」からとスイッチしない時に課税する。

まあ、外材が思い切り高くなるとか、輸入が難しくなったらち、否応なくスイッチするのでしょうが。

田中様
御無沙汰をしております。
「まともな営業努力をしてこなかった」と言う文章に反応してしまう私が悲しい。屋外用の木材を売っていて、お客さんに言われるのが「フリーメンテ」、「腐らない」「他の素材との価格差」ですね。

屋外素材では、真っ先に弾き飛ばされた素材ですので、リベンジどころか、再デビューも難しい状況です。

鳥居とか、手摺とか、商品で勝負をしているのが現状です。まあ、このあたりは、そこそこ勝率が上がってきました。

次は、システムを作ろうと考えています。どなたも考えなかった木材の販売システムですが、今までのコツコツ積み上げた実績にもう一度スパイスを加味したいと考えています。

木材ビジネスは、「使ってください」「優しいですよ」感情に訴えるだけでは、始まらないビジネスなのです。もちろん、補助金にも頼りたくないですね。

「めんどくさい」も「営業努力をしてこなかった」理由でしょうか。

新しい木材販売システムですか。そう、スイッチは目の前にある。それをいかに押させるかですね。
もしかして、売り惜しみすることだったりして(笑)。

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