土倉雛
今日は朝早くから、吉野の山村へ。
雪が積もっている世界で、結構寒かったなあ……。
が、そこでの取材内容はおいといて、今日はたまたま出会った雛人形の話。
明日香村の隣に当たる高取町は、3月に「町家の雛巡り 」という行事を行う。古い町並みの残る街道筋で、各家庭が雛人形を表に出して陳列し、一般の人々も見学できるのだ。毎年100軒以上が参加するという。また作品展なども催され、街は雛人形で盛り上がる。
そんな高取町にある「森山人形店」。ここには、土倉家の雛人形があるというのだ。土倉家が逼塞したときに流出したものが、この店に保存されているらしい。
これは見なければ。
さっそく帰り道に寄ってみた。
なるほど、立派だ。箪笥や長持ちなどのミニチュアの家具類の金具は銀で、金による蒔絵が施されている。箪笥の扉の裏にまで蒔絵があるのだ。
なにより緻密な木工に職人技が伺える。
ただ、着物や髪飾りなどは傷んでいる。江戸末期から明治の作と言われるから、100年~150年も昔のものなのだ。
お店の人の話によると、写真集にある皇室に納められた雛と同じ顔だちだから、同じ作家のものらしいという。今では値段も付けられないが、それなりの高価なものであることは間違いない。
これは、囲碁道具のミニチュア。盤は、一辺が数センチにすぎないが、碁石も含めてみな木で作られている。
その横の箱などは、欄間ぽい彫刻まで施されていた。もちろん、蓋を外すこともできる。
このセットがあるのは、囲碁好きな庄三郎の意向を組んだのだろうか。
なんでも、30年くらい前に、川上村の人から引き取ってくれと言われたそうだ。人形店なら、と思って依頼したのだろう。詳しい経緯はわからないが、おそらく土倉家逼塞の時期に、手持ちの財産が流出したのだろう。
想像だが、土倉五郎が土倉家に残っていた備品を村民に売りつけたそうだ。その際に雛人形も誰かが引き取ったのかもしれない。が、戦後になって自宅に置いておけなくなり、かといって処分に困って森山人形店に持ち込んだのではないか。
傷んだ部分を修理してほしいところだが、それだけで何十万円かかるらしい……。
こうした土倉家の逸品は、各地に分散して今もあるんだろうなあ。
これは噂だが、金で作られた土倉家の仏壇があって、某寺に納められている。それは国宝だと。。。そりゃ、ないだろう(笑)。
« 鹿森協会設立……(夢) | トップページ | 「なにわの海の時空館」~菱垣廻船の木材~ »
「土倉家の人々」カテゴリの記事
- 朝ドラで気づく土倉家の物語(2024.10.23)
- 保護司制度の原点と林業(2024.08.29)
- Y!ニュース「津田梅子の学友・内田政子の生涯」を書いた裏事情(2024.07.22)
- 電力の父・土倉龍次郎と思わぬ電気利用(2024.06.05)
- 政治大学にて(2024.06.04)
コメント