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森と林業の本

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2013/03/03

里山の人工林研究

森林総研の評議会で、ナラ枯れ竹林放棄問題など里山研究の話を聞いていた時のことである。

そこで、ふと頭に浮かんだのが里山の人工林。里山の、とくに山の森林部分と言えば、一般には雑木林(広葉樹林)と拡大する竹林が目につくだろう。

が、きっと人工林面積も多いはず。

なにより人里に近いだけに、植林するのも楽であり、真っ先に植えるからだ。とくに薪炭林の役割が失われ雑木林の価値が減じたなら、そこをマツやスギやヒノキの人工林に変える選択肢は、決して珍しくない。また田畑を放棄したり、住宅も引き払って街に出る場合、その跡地や庭などに植樹するケースは、昭和の時代ならよく行われたはずだ。
里山に占める人工林の割合などの推定は出ていないだろうか。

この分野の研究は行われていないものだろうか。

思わずそんな発言をしてしまった。してしまってから、結構面白いテーマにならないかと思いついた。

里山の生態系とどのようにリンクしているか。林床植生は、昆虫は、そして植樹した樹種の生長度は。雑木林の種の侵入はあるか。

里山は人里に近く、比較的道も入っているし、なだらかな地形だから作業しやすい。伐採や搬出は楽ではなかろうか。
もっとも小規模で、土地所有が入り組んでいる恐れがあり、人家が近いゆえに伐採するのが大変になるかもしれない。また地目が農地のままのケースも多いから、これらの整理も行政的な問題となる。

Photo_6

生駒山中のスギ人工林。

結構、立派に育っている。育林も、そこそこ行われたようで、荒れた雰囲気はない。

でも、周りはニュータウンだから、搬出は不可能に近いだろう。ヘリを使うほどの材ではなし。



  

  
  
もちろん、小規模だから今風の大規模林業には適合しないが、それゆえ1本1本利用を考える副業的林業とか風致施業を取り入れるのに向いているかもしれない。

Photo_7


これは、奈良の旧都祁村の田園風景。

棚田の水田の周りにあるのは、みなスギの人工林。

これは里山の風景として成り立っているのではないか。


所有形態や所有者の意識、育林履歴……など考え出したら研究テーマとして面白い点がいっぱいあるような気がしてきた。

里山研究の、次のステージとして期待したい\(^o^)/。

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生駒山中・身近な自然」カテゴリの記事

コメント

今日も山際を走っていたら、段々畑後に植林された場所を
見ました。状況からして15~20年生くらいに見えましたが
なんとなく悲しいような、もったいないような・・・。
山梨は石垣が多く、作るのにも苦労があったろうにと思いつ
つ、走り去りました。

千葉県北部ですが、里山はむしろ人工林のほうが多いかもしれません。植えたっきりで利用されていないものがほとんどで、竹が密生するままに放置されているものが多いです。雑木林は小学校の学習林に提供されているものなどもありますが、杉、ヒノキの人工林は利用が難しいようです。単なる廃棄物として伐採されて建設残土や資材置き場、霊園など開発許可が必要ない用途に変更されるものも目立ちます。

今流行りの未利用材によるバイオマス発電は、里山の人工林や竹林を伐ることから始めたら多少救いになるかも。

その気で見ていたら、里山の人工林面積は、たしかにかなりのボリュームがありますね。
ちゃんと跡地計画を作ったら、推進できるのではないか。地域起こしにもある。まさか棚田復活は無理だろうけど。

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