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森と林業の本

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2013/03/19

「緑のオーナー」制度ふたたび

昨日は、資料のリストラから再発見した論考を紹介したが、ほかにも「発見」はいくつもある。

たとえば「緑のオーナー」制度のごあんないというパンフレットも出てきた。

ようするに国有林の分収造林である。オーナーという名の管理費を提供して、20~30年後に収穫した際に利益を分配する。当時は、銀行に預けるより利回りがいいと言われた。

ところが、現実にはほとんど元本割れになってしまい、いまや林野庁の詐欺行為とまで言われてしまっているから、思い出したくもない人もいるかもしれない。しかし、この手のパンフは、資料というよりはコレクターズ・アイテムとして保存したくなる(⌒ー⌒)。

もっとも、オーナー制度は、棚田やらリンゴの木やら、たくさんあって、大きな問題になるケースばかりてはない。和牛は完全に詐欺だったが……。

つまり、やり方さえ間違わなければ、悪くない制度にできるんじゃないか。オーナーといっても、単に名前だけで、本当の所有権は得られなかったし、林地丸ごとの契約して利回りなど示すから、元本割れしてクレームが殺到したのであって、もっと夢を売るべきだろう。

たとえば、森林関係なら立木オーナー制度がある。これはゴルフ場開発などで森林伐採を阻止するため、1本1本の木にオーナー(反対派)を設けて、権利を分散することで、契約を困難にした。オーナーになる人は、木を売って利益を得るつもりはなく、木のオーナーになることで満足したのである。
実は、この制度の元は吉野に生まれた立木権である。木1本ごとに所有者を設定できたのだ。土地より立木に価値があったからだ。

そこで、「緑の立木オーナー制度」を提案する。

林地の中で、太くて立派な木を、各1本ずつオーナーを募集する。価格は、買い手がつける。希望者が多ければ、オークションのように競り上がってもよい。そして、完全に木の所有権を移転する(契約を交える)。

たとえば、樹齢100年の大杉を1本100万円で購入してもらってもよい。これは立木価格である。伐りたければ伐って搬出するが、その費用は別。製材するのも別。あるいは持っていることだけで満足してもらってもよい。また管理料を徴収することも考えられる。

これから家を建てる人に買ってもらってもよいし、大木を自分のものになったことを喜んでもよい。樹齢20年の細木を1万円で購入して、その後の成長を楽しみにしてもよい。さまざまな売り方があるはずだ。

これは国有林には向いていないね。むしろ民有林でやりませんか。

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