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森と林業と動物の本

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2013/03/23

大西洋上にあったスギ林

先日、台湾にあるスギ林、吉野杉について触れたが、もっと大規模なスギ林があった。

それも、日本から見て地球の裏側とも言える大西洋上の、アゾレス諸島である。

アゾレス諸島を知っているだろうか。ポルトガル西方約1700キロの大西洋のど真ん中の島々だ。ここに、スギ林があるという。それも1万7000ヘクタール! とくに首都のあるサン・ミゲル島には1万2500ヘクタールと森林面積の約半分を占めるという。

しかも、今もスギの植林は進んでいて苗木生産までやっているという。ざっと年間200万本も苗木を作っているというから、植林面積も年間数百ヘクタールあるということになる。

単にスギ林があるだけではない。ちゃんと伐期が設けられていて収穫と製材加工もやっている。主に板の内装材や梁材用途らしい。

つまり、スギによる林業がちゃんと成立しているのだ。

ちょっと凄くない? 

スギは日本固有の樹種であり、当然ながら植えられて林業を行っているのは日本だけと思っていた。わずかな例外が台湾であり、あと韓国・朝鮮にも植えたはずである。

しかし、まさか遥か彼方の離島にこれだけのスギ林があり、木材生産までしているとは……。

なぜアゾレス諸島にスギなのだろうか。

記録によると、ここの島々は、大西洋を渡る際の重要な補給基地として栄えたが、そのために19世紀には森林が荒れ果てていたそうだ。そこで、全世界から島に適した樹種を探したことがあったらしい。

一方、日本側にも明治14年にポルトガル政府の要請で、日本のさまざまな樹の種子を送付した記録があるそうだ。

結局、スギがもっとも適しているとして、大造林を行ったらしい。いまや島の製材所はスギで盛っているし、建物もスギ材ばかり。また島の文化伝統までスギが入り込んでいるという。

ヨーロッパにもスギ材は受け入れられたのだ。

日本では、どちらかと言えば、植えすぎたとか花粉症などでイマイチ人気が高くないが、アゾレスのスギ産業と文化に学ばなくてはならないかもねえ。

ああ、行きてえ。アゾレスかあ。遠いけどなあ……。ポルトガルは興味あるのだよ。ファドも好きだし、そもそも東チモール問題に取り組んだ時から、かつて東チモールを植民地にしていたポルトガルについて調べたのだ。

ちなみに、海外でスギが植林されているところを調べると、インドやネパールにもあるそうだ。意外や、スギは世界的にも優良品種として伝播しているのか? ちゃんと調べたら面白いかもなあ。

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コメント

窓辺の花がひらいたら、旅に出る支度をしよう♪

さささ。ここはひとつ旅に出ないといけませんねえ。。
ぜひ、世界のスギ林の旅へ。(^^)

窓辺には、観葉植物ばかりなので(^^;)。
これから花鉢を用意しなくちゃ。

世界を旅して、各地にスギを植えて……?
行きスギないように(^o^)。

田中団長へ

ぜひとも、アゾレス諸島に杉ツアーしましょう。
以前から、アゾレス諸島に日本の杉が育っていることは知ってましたが,行く機会がありませんでした。
全国スギダラケ倶楽部にお願いして,ツアー参加者を募集しましょう!!
団長をよろしくお願い致します。

アゾレス諸島杉ツアー副団長より

台湾にアゾレス諸島。ネパールも加えるか?
いよいよ全世界を回らねばなりません(^o^)。

岬巡り……じゃなく、スギ巡りの旅は続く~♪

杉サミットとか・・・(笑)

島崎三歩様

杉サミット、いいですね。
ぜひやりましょう。
その前に現地視察として、外国の杉を見てきましょう!!

杉ツアーは楽しいですね!!

名前を書き忘れましたが,杉ツアーの提案者は、しゃべり杉爺でした。

すでに研究者には、世界のスギを調べる人もいるそうですよ。

国内のスギだけでも、回るのは大変だけど(笑)。

失礼します。
アゾレスにも花粉症があるかどうかが気になって検索していたら、日本林業同友会というサイトにアゾレス諸島への研修報告
http://www.jfoa.jp/2009azo.pdf
をみつけました。それによるとアゾレスには花粉症はない模様です。
写真もたくさん載っていて楽しく読ませていただきました。

はじめてカキコいたします。
いつも興味深く読ませてもらっております。
さてアゾレス諸島ってどこよ、ってかんじでググってみますといろんな写真がいっぱいでてきて驚きでしたが、もっとすごいのがグーグルマップのストリートビューでした。サンミゲル島のフルナス湖付近の道路にストリートビューの人形を下ろしてみたら、まるで日本の田舎町を走っているかのような杉林の景色が続いておりました。
こんなに杉が生えてたら絶対花粉症の人もいると思いますよ。多分昔の日本人同様まだ認知されてないだけではないかと創造します。

アゾレスのような大洋上の孤島では、花粉は風に飛ばされてしまうように思いますけどね。それにディーゼルなどPM2,5もないだろうし。

まあ、少数の花粉症h、たとえば江戸時代の日本にもあっただろうし、そんなに問題になっていないんじゃないかな。

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