「山林」に台湾の吉野杉の話
大日本山林会発行の「山林」に内山節氏の「山里紀行」が連載されている。
3月号には、台湾の阿里山を再訪した記事が。目的は、台湾檜を見ることらしい。そして森林公園を訪ねるのだが、その一節に、
「台湾檜の森といっても、この森林保護区に一番多いのは杉で、杉林の中に転々と(点々と、の誤記か?)台湾檜が残っているというような景観になる」とあった。
気になるのは、その後。荻野敏雄氏によると、「この杉は日本の吉野杉で、戦前に日本が植えた」とあるのだ。現地には「台湾杉」という看板が立っているらしいが。
さて、戦前に吉野杉を植林……と聞けば、どきりとする。
これは土倉龍治郎(龍次郎)の植えたものではないか?
龍次郎は、台湾に1万ヘクタールの土地を咀嚼して、吉野杉を植えたと伝えられているからだ。ただし、明治末に土倉本家のために売却して三井家の所有となっているから、継いだ三井家が植えた可能性も残るが。
戦後の土倉祥子の記事によると、台湾の吉野杉は順調に育っていることを台湾当局に確認したとあるし、また台湾から日本に吉野杉(の間伐材)が輸出された記録もある。
もしまだ吉野杉が残されているのなら、ぜひ見てみたいものだ。樹齢は100年を超すだろう。
内山氏は、台湾からすると吉野杉は外来種と指摘しているが、生態系を乱すまではしていないようだ。そして台湾檜も興味深いが、土倉龍次郎の事績も知りたくなった。
« テレビ出演 | トップページ | 食膳の小物木工品 »
「土倉家の人々」カテゴリの記事
- 朝ドラで気づく土倉家の物語(2024.10.23)
- 保護司制度の原点と林業(2024.08.29)
- Y!ニュース「津田梅子の学友・内田政子の生涯」を書いた裏事情(2024.07.22)
- 電力の父・土倉龍次郎と思わぬ電気利用(2024.06.05)
- 政治大学にて(2024.06.04)
コメント
« テレビ出演 | トップページ | 食膳の小物木工品 »
団長 田中様
台湾に生育する吉野杉をぜひ見たいものです。
台湾の吉野杉ツアーをしませんか?
団長、よろしくお願い致します。
ツアー副団長より
投稿: しゃべり杉爺 | 2013/03/15 22:18
いいですねえ。よし、ツアーを決行しましょう。
わ私は呼びかけます。
副団長、事務仕事はおまかせしますよ(^o^)。
投稿: 田中淳夫 | 2013/03/15 23:08
田中団長
よろしくお願い足します。
4月からは非常勤で月,火,水授業ありますが事務はおまかせ下さい。
まずは、台湾の吉野杉ツアーの企画を立てましょう。
わたしのアドレスは、
takakuwa@kyoto-wu.ac.jpです。
よろしくお願い致します。
しゃべり杉爺より
投稿: しゃべり杉爺 | 2013/03/16 12:11
私が住む和歌山県日高川町の集落には、先代まで大きく林業をやっていた家(吉野にも山林を所有していた)があるのですが、その先代さん(ずっと昔に亡くなっています)は、戦前は台湾で植林事業に携わっていたそうです。その家の所有林の一部が広葉杉や楓の植林になっているのはそのためだと思います。
土倉家と関係あるのかどうかはわかりませんが吉野とは深く繋がりを持っていたようなので(今の代の人は養子なので、あまり詳しくは知らない)ちょっと気になりました。
投稿: Iターンして10いや、11年目か… | 2013/03/27 22:45
台湾植林の先鞭をつけたのが土倉家でも、その後に続いた人は多くいたでしょうからね。
あるいは土倉家の植林事業と関わっていた可能性もあります。なぜなら、土倉家の一人(庄三郎の3男)は滝野家に養子に出たのですが、滝野家は和歌山に家があったはずです。また五男の五郎も、和歌山に関わりがあったはず……。
アチコチにドラマがありそうだなあ。
投稿: 田中淳夫 | 2013/03/27 23:30