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2013/03/22

人口減社会の林業の進む道

新日銀総裁も就任して、アベノミクスが本格的に始動した、そうだ。

行うのは、リフレーション政策。つまり脱デフレーションであり経済活性化だ。通貨を膨張させて2%のインフレを実現し、景気回復を狙うという。

この政策の詳細および是非を、ここで論じるつもりはない。ただ、今の日本経済が陥っているデフレ状態の原因が気になる。

ベストセラーになった「デフレの正体」(藻谷 浩介著)では、人口減少こそが、デフレの最大の要因だとした。批判もあるが、私は概ね賛成である。人口が減ったら消費が減るのは、基本的な事実だからだ。また高齢化によって消費動向も変わるが、これまた概ね縮小傾向に向かうのも経験則的にも認めざるを得ないからだ。

ここではリフレ政策などは抜きにして、人口減社会では木材需要も縮むということを改めて考えておきたい。

すでに住宅着工件数は大きく落ち込み、建てても小規模な家が増えている。またリフォームも減築という部屋数を減らす方向に向かっている。さらにマンションなど集合住宅の増加も、木材の消費を減らすだろう。

……この手の話をすると、よくある反論が「外材を国産材に置き換えることで、需要を確保する」同じく「コンクリート建築物も木製にできる」である。また、景気の回復で、住宅建設も増えるとか、木材需要が膨らむという。
そりゃ、国産材業界の頑張りで伸びる部分もあるでしょ。木製ビルも可能でしょ。コンクリート並の強度を誇るエンジニアウッドも研究されている。(でも、税金で建てる公共建設物に無理やり国産材を使わせる、というみみっちい手を考えないでね。)

が、人口減の趨勢を覆らせることにはなるまい。

人が減っているのに、住宅が増えたり大きくなったりしない。木材需要は、長期的に縮んでいく。これを前提に「林業100年の計」を立てるべきではないのか。

すると、現在さかんに叫ばれている「木づかいのススメ」は非常に怪しくなる。とくに量ばかりを追求した木づかいは、無駄な、いや危険な努力になりかねない。

どんどん木材(国産材)を使うことで、荒れた人工林の整備を進めようというのは、基本的な消費が減っている中で、木材商品をだぶつかせるだけかもしれない。また無理な「整備」という名の間伐で、逆に森が荒れる結果も各地に出ている。

必要なのは、量ではなく質、ブツではなく心の木づかい。コンクリートの代わりではなく、かけがえのない森を感じる木づかいだろう。

一方、伐った跡地の整備は遅れぱなしだ。再造林も進んでいないし、植えても育林作業がおざなりなため、良質の木材に育たない。それでは収穫期を迎えてもロクな木材商品にならず、またもや低価格になってしまう。それこそ「燃やすだけ」のバイオマスだ。

今は人口増大期に大量に植えた木が育ってきたのだから、これを供給するのは否応もない。

が、伐採跡地に展開すべき今後の森づくりは、量ではなく質に転換するチャンスではないか。

全部、これまでと同じスギやヒノキのような樹種を植える必要はない。いや、需要が縮むのだから再び同じような人工林ばかりにすべきではない。

ならば、どんな森づくりをするか。。。。

……というような思考実験をしていたが、そろそろ疲れた。

また改めて。

ただ、林業は産業であるなら経済社会を見据えなくてはならない。ならば、デフレ、リフレの先にある未来の社会の木材需要に目を向けて、林業の根幹である森づくりも考えるべきじゃないかなあ。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

林業の根幹である森づくりの中では特に
小規模林家の森の荒廃を止める必要を感じます。

小規模林家に自分の森意識を発揮していただく
森づくり塾の拡大が第一歩でしょう。

伊那でご活躍中の島崎洋路博士の山造り塾に注目しています。

今週末、全国森林組合の副会長さんと東京で面談、私の私論と意見交換します。

彼は鳥取大学農学部の同窓で、私の農学科とは異なり林業科出身です。
スキー部や海遊びの友だちでした。48年ぶりの再会です。

結果はご報告いたします。

五木寛之「下山の思想」と共通しているところがありますね。人口が増えてイケイケドンドンな感じの時代と人も減って借金まみれな現在では政府の施策、人々の考え方も違ってないといけないと思うんですけどね。

量で勝負するにしても日本の林野行政は、林業先進国に比べて数十年遅くないですかね?
質で勝負するにしても時すでに遅しの感。

とりあえず移民でも受け入れましょう。

島崎さん、もうよいお年でしょうが、お元気ですか。
意外と知られていないけど、列状間伐の提唱者は島崎さんですね。
いずれにしても、小規模・自伐林家を育てる方向性は賛成です。ただ、それだけでは林業界は動かない。いかに業界全体を「森の質」に眼をむかせられるか……と考えてしまいます。

質で勝負と言っても、高価格な「役物」ではなく、安くてもいいけど木の良さを感じさせる使い方を提案してほしい。コンクリートの代わりになりまっせ、という木の利用はねえ……。

田中淳夫さん、はじめまして。私は、NPO法人で木質バイオマスの活動をして来ました。私たちは、間伐の有るべき姿、木材の利用の効率化、里山整備(獣害対策)、木質バイマスのエネルギー利用等を研究・実験して来ました。
結論から言いますと、今の日本の山林は完全に病んでいます。60年前(1955)頃に植えられた杉、檜は1m間隔位で密植されたままで、間伐もされず、径が20cm位しか有りませんでした。我々が間伐したのは山主から借りた3Haの杉が密植された山林です。まず、小型のショベルカーで作業道をつづらおり状(木の枝の様)に作り、間伐する木はチェーソーで切り、枝もチェーンソーで切り、4m長さの玉切りをしました。作業道を小型林内作業車(キャタビラー付き)を走らせ、小型林内作業車の近くの玉きり材から、順にスチールワイヤで小型林内作業車まで引きづり出しました(半径30m位は引き出せました)。小型林内作業車には、小型のアームが付いておりウインチでスチールワイヤで巻き取れる様に成っています。小型林内作業車の後方には荷台が付いており、20本くらいの玉切り材をロープで縛り麓の土場まで運び出しました。約1週・10人で3Haを間伐出来ました。山林組合の製材機を借り製材かんながけをし、作業小屋も作りました。製材すると半分くらいが端材に成ります。これを5cm各位に砕き、ガス化炉(自作)でCO.H2ガスを作り発電実験(市販の自家発電機)もしました。里山整備(獣害対策)はジャングルの様に成った山裾を奥行き50m位完全に切り出しました。そこに牛を放牧しました。ここでも小型林内作業車でほとんどを運び出しまた。切った木は山際に置きビニールシートをかけ、薪の欲しい人に分配しました。また、山林組合も炭焼き用に買い上げてもくれました。

全国森林組合連合会の副会長さんと個別面談しました。
彼は県森連会長で県会議員です。

彼によると、
県のある企業が1万6530kw規模の木質系バイオマス発電の整備に着工。
必要な未利用木材10万tのうち県内から6万tを調達、
そのうち3万tを県森連が提供する協議がすすんでいる。
本格稼働する2015年1月までに県も安定供給システムづくりに
取り組んでいる、とのことです。

この政策の背景は、
毎年8000万立方mが使われずに山に残っている。
朽ちて同じCO2を排出させるなら、燃やしてエネルギーに変えた方がメリットがある。
燃やすために木を育ててきたのではないという誇りをお持ちでしょうが、
事ここに至っては林業経営を継続するためには止むを得なのではないか。
建築材に向かない品質の木材を発電燃料に充て、少しでも林業家の収益アップにつなげたい。
としています。

「安くてもいいけど木の良さを感じさせる使い方」
「いかに業界全体を<森の質>に眼をむかせられるか」
という田中さんの主張と多少とも協調すると思いますが、いかがでしょう。

毎月数万でも環境負荷なしに森所有で稼げることは重要だと思います。
発電燃料として売るにしろ、稼げる森を所有していることは希望につながります。
とくに小規模林家の人たちにとっては希望そのものではないでしょうか。
稼げるという希望が自分の森意識を目覚めさせ間伐など林作業に導きます。

<自分の森>人口が増えれば<自分の森の質>を自問自答する林家が少しずつ増えるにちがいありません。
自問自答の結果、自分自身が決めた<自分の森の質>の集まりが<日本の森の質>になるからです。

このような私見を彼は賛成してくれました。

お疲れさまでした。全森連副会長のおっしゃる建築材に向かない材を、燃料に使うのなら結構なことです。また製材端材や廃材も燃料利用に有望です。
また小規模山主が、自伐で出すのならコストをおさえることができるでしょう。

しかし、現在のバイオマス発電計画は、結構大規模です。コストが高くついても、それをFITでカバーします。それが曲者で、本来なら建築材(合板含む)や製紙チップになる材も、燃やした方が高く売れる可能性が出ています。

また毎年莫大な量を求められますが、自伐林家だけでは調達できません。そのときは輸入燃料を使う? あるいは、稼げる期間がすぎたら発電所を休止させるかもしれません……。

疑念はいっぱいあるわけですが、もう動き出しています。祈るような気分ですね。

なるほどですね~
広い視野からのご指摘ありがとうございます。

彼とは毎月~隔月、東京で会えることになりました。

<森の質>という尊い基準に適うように
自己研鑽してまいります。

ご見識コメント、ありがとうございました。


はじめまして、Aceというものです。
一つだけ、間違いを指摘いたします。
ベストセラーになった「デフレの正体」(藻谷 浩介著)では、人口減少こそが、デフレの最大の要因の部分ですが、全くのでデタラメとの結論が出ております。
参考URL:http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11182059785.html
生産人口とGDP成長、デフレの関係を検証
ですので、ここだけ指摘させていただきます。m(_ _)m

しっかり読んでください。「批判もあるが」と記しているとおり、間違いという意見もあることは知っています。が、それも所詮意見であって、正しいとは言い切ることはできません。
「全くのデタラメとの結論」なんて、出ていませんよ。紹介されたサイトも、批判しようと思えば、いくらでもできるし。

私は、大枠として「人口が減れば、消費は減る」という見方に賛成です。

ご返信ありがとうございました。
大枠ではと言うところで見過ごしておりました。
私が、田中様の記事に理解がたりませんでした。
不快な気持ちにさせて申し訳ございません。

いやい、そんな真剣に取られても(^^ゞ。
どうせ「思いつき」ですから。

いえいえ、貴殿のブログを発見して過去ログから拝見させていただいており
大変勉強させていただいております。
今後とも、記事を楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
( ̄^ ̄)ゞ

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