林野庁を「国有林部」に……だって
捨てようとした新聞の古い切り抜きの中にこんな記事を見つけた。
1997年8月22日金曜日 朝日新聞。
タイトルは、
林野庁を「国有林部」に
農水省方針 森林保全に転換
とある。何か提言が出たのかとおもいきや、既定事実として報道されていた。
リード部分は、「農林水産省は21日、巨額の累積債務を抱える国有林野事業について、林野庁を「国有林部」に改組し、現在、国有林面積の54%を占める木材生産林の割合を21%まで縮小し、これまでの伐採中心の政策を、森林保全に切り換える方針を決めた。造林の拡大も原則停止する」
債務は5000億円だけ新会計に引き継ぐ。また改組内容は、営林局は森林管理局に。営林署は流域森林センターにする、とある。さらに政府の行革会議では、林野庁の一部を「環境安全省」に統合し、農水省を「国土安全省」に改編することを決めている、と断定的に記す。
結果的に、これは誤報になったのは間違いないが、ここまで断定的に記事を書いている、しかも具体的な組織改編内容や数字入りであることを考えると、このような計画案があったのは間違いない。
おそらく、これは意図的にリークされ記者はその意を受けて記事にしたのだろうが、その後猛烈な巻き返し? が行われて、農水省、林野庁とも生き残ったのだ。果たして、どんなロビー活動が行われたのか……。
その結果としての世紀末の行革では、林野事業の3兆8000億円あった債務のうち2兆8000億円を国に肩代わりさせ、1兆円だけ自力で返すことになった。しかし、その1兆円も返す前に今年の春を迎えたのである。
今春、国有林野特別会計がなくなった。実質的に債務は全部国にお任せになったわけだ。特別会計がなくなったということは、もはや国有林の独自経営はできなくなったことを意味するが、そうなってでも組織の生き残りを優先したのだろう。そのうち林野庁内に「国有林部」が設けられるかもしれない。
16年前の素案に近づいたのか、遠のいたのか。ま、どっちでもいいが……。
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