林業って、ベンチャーキャピタルかもね
「林業には可能性があふれている。アイデア次第で、大きく弾けるビジネスモデルが生れるだろう」という意見がある。つまり林業はベンチャービジネスになる、というのだ。
いや、私も唱えてきたんだけどね(^o^)。不振、不振、助けてという叫びばかり響く業界だから、思わず元気づけたくて。
しかし、最近はちょっと変わってきた。代わりに、
「林業は、ベンチャーキャピタルかもしれない」と思い出した。
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャービジネスを始めようとする人々に資金を融通したり、人脈を紹介したり、ときに経営指導まで行う機関だ。そしてビジネスが成功した暁には、その利益を何らかの形で受け取る。
何も、林業界が生き馬の目を抜くITベンチャーやってる人を指導できると言いたいのではない。そりゃ、もしかしたらヒントを与えることができるかもしれないが、今回は別の話。
ベンチャービジネスの可能性は、なくもない。ただし、それは多くは木材加工とか利用面だろう。たとえば木材から抽出するリグニンの利用とか、画期的な合板、集成材、ボードなどの発明はそうかもしれない。素晴らしいデザインで売れる木工品を作ることもあり得る。あるいは林床で高値の薬草栽培をするとか、肩こりに効く森林マッサージを生み出して評判になるとか、森林瞑想を行う宗教を旗揚げするとか。。。
だが、樹木を育てる仕事としての林業は、そう簡単に変われない。新しい取組も採用するのに限界がある。結果が出るまでに時間がかかるためだ。よほど大面積の山主なら、各所で多様な技術や取組を試すことが可能になるが。。。
一方、ベンチャーキャピタルとは、新しいヒジネスの芽を見つけては投資することだろう。
だがベンチャーだけあってリスクも大きく、必ずしも報われない。たまたま聞いた話なので正確かどうか知らないが、10のベンチャービジネスに投資しても、ほとんど赤字で投資した資金は大半が返って来ないそうだ。トントンで投資額が返ってくるのも2つか3つ。しかし1つのベンチャーが大成功してくれると、巨大な利益を生み出す。当然、配当として利益の多くを受け取れる。10のビジネスに出資して負った損を取り返してあまりある収益となるのだ。
ベンチャーキャピタルは、リスクを背負って一発当たるビジネスを待つ。
林業界も、時間をかけて木を育て森を成立させ、いつか充分な見返りを得るチャンスを待っているのではないか。木や森というキャピタル(資本)を膨らませ、それをうまく使う機会を温め、いつか花咲くチャンスを待つビジネスなのさ(笑)。
だから、森を立派に育てながら、それらをどこに投資するか目利きしなければならない。何十年もかけて育てた「キャピタル」を安値のチップにして紙にするか燃やす業者に手渡したら、投資額はもどってこない。逆によいメーカーと組めば、高値の家や家具になる。配当も大きい。この当たるベンチャー的な投資先を探すのが、今の林業界の課題だ。
もっとも、現在の林業家は、リスクを背負うのを嫌がるし、時間をかける覚悟も弱いし、かかといって大面積山主はごくわずかだし。。。石橋たたきのフツーのキャピタルになって安全パイの国債ばかり購入している金融機関みたい(^^;)。
でも、国債が暴落することもあるのだよ。アベノミクスが失敗したら大暴落するだろうね。
« 今年もタケノコは… | トップページ | 木に竹を接ぐ »
「林業・林産業」カテゴリの記事
- 見えないカルテルが、木材価格を下げる(2025.01.13)
- 理想の林業~台湾の公有林がFSC取得(2024.12.27)
- 林野庁の考える「再造林」(2024.12.18)
- 「林業と建築の勉強会 」から学ぶ(2024.11.23)
- 高知の立木市場と密植への挑戦(2024.11.19)
それじゃ、遠慮なく森林マッサージ師に。。
林床で栽培した薬草を体に塗りながらもいいかも。。
仕上げは森林迷走、違うな、森林瞑想で心を落ち着ける。
そして、森林がなくては生きられないヒトをたくさん作り、
森林教を立ち上げるのです。。ふふふ。
投稿: 熊(♀) | 2013/04/08 22:49
来たな……。森林教のお布施は高いですぞ。
出家したら、森林作業の無料奉仕もしなくてはならないぜ(⌒ー⌒)。
いっそ、森林の中で、熊の胆嚢を遺伝子操作でクローン養殖して、売り出すとかいうベンチャーはどうかね。。。。
投稿: 田中淳夫 | 2013/04/08 23:11