木材利用ポイントのお勉強
今更ながら、木材利用ポイントについてお勉強してみた。
http://mokuzai-points.jp/common/file/about/release_130329.pdf
定義付けとか登録業者のなんたらとか、読めば読むほど、めんどくさくなる(^^;)。
それでも、一応自分が理解するために説明してみよう。おそらく読者には、もっと詳しい人や当事者(登録業者など)もいるだろうから、皆さんの感想なり解釈なり裏事情なりを教えてください。面白ネタは使わせてもらいまっせ(笑)。
まず目的は、
「地域材の需要拡大の取組を促進し、地域材需要を大きく喚起する対策として、地域材の利用に対してポイントを付与し、第一次産業をはじめとした地域産業、ひいては農山漁村地域経済全体への波及効果を及ぼす取組への支援を行う。」
とある。で、木材利用ポイントの付与対象としては、次のとおり。都道府県に登録された事業者が工事を行うか製造していることが必要だ。
(1) 木造住宅
(2) 内装・外装木質化
(3) 木材製品及び木質ペレットストーブ等
木質ペレットがいいのなら、割り箸もいいじゃないかと思わぬでもない。割り箸をどんどん使ってポイントを貯めよう、とか面白いのに。
それはともかく、この後の項目が法律的な定義とか業界向けで、読んでいて面白くない。いや何よりわからん。
むしろ私が興味を抱いたのは、本文より別紙にさらりと書いてあること。
まず木の樹種は、次のように定められている。
スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ及びアスナロ
これで、国産材の建材はほとんど網羅しているのかな? 家具などは広葉樹材が多いだろうが、入っていない。モミやコウヤマキは? トドマツはあってエゾマツはない? などツッコミどころはあるが。。。
さらに工法(構法)も、定められている。
・スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ又はアスナロを主要構造材等として過半使用する木造軸組工法
・スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツを主要構造材等として過半使用する丸太組構法
・スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツを主要構造材等として過半使用する枠組壁工法
ようするに、在来構法とログハウスとツーバイフォーなどパネル構法ということか。なんだ、みんな該当する。つまり輸入材も排除していない。
あからさまに国産材だけとしたら、WTO条約違反になりかねないからだろう。すでに輸入材を使っているハウスメーカーは、外国政府を経由して申し入れ?抗議?をさせて、骨抜きを画策していると聞くが……。
次に対象地域材とは、次の(基準を満たすもの。
(1) 次の①から③までのいずれかに該当するもの
① 都道府県により産地が証明される制度又はこれと同程度の内容を有する制度により認証される木材・木材製品
② 森林経営の持続性や環境保全への配慮などについて、民間の第三者機関により認証された森林から産出される木材・木材製品
③ 「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」(平成18年2月・林野庁)に基づき合法性が証明される木材・木材製品
①は、自治体の木材認証制度、②は森林認証制度、③が合法木材証明ということかなあ。
②は出荷量が少ないから、あまり期待できない。①も各地バラバラにあるが、量的にはどうだろう。ほとんど利用されなくて休眠状態の認証もあるそうだが。
だが③には、たいていの国産材は該当するから、ほとんど国産材ならOKになる。ただし市場に出たものであり、自分の山の木を自分で使うような場合は認定されにくいだろう。ある意味、「顔の見える家づくり」などと推進していた“山主と結びついた産直”は排除しているのではないか。もっとも「合法証明」自体がナンデモアリの形骸化した代物だが。
(2) 資源量が増加しているものであって、事業目的に照らし適切と認め、あらかじめ定める樹種のほか、基金管理委員会が、林野庁と協議の上、資源量が増加しているものであって、事業目的に照らし適切と認め、指定したものであること
これが曲者だ(^^;)。
資源量が増加しているもの? おそらく林野庁は、国内の森林はみんな増加していると認定してしまうだろう。が、輸入材はどうなるか。そんな資源調査をして申請する輸入業者がいるだろうか。熱帯材やロシア材は難しい。(でも、書類くらいならいくらでも作るかも。)米材もビミョー。ヨーロッパ材なら増加していると証明できるかもしれないが。
ようするに、ここで輸入材を実質的に排除するわけね。巧妙なフルイだ。
もっともしたたかに輸入材によるハウスメーカーは、木材利用ポイント還元セールとか名打って、ポイントに相当する30万円くらいは値引きして対抗するかもしれない。消費税還元セールを禁止しようとする自民党に頼んで、こちらも禁止してもらわねばならない(笑)。
どうかなあ。こんな理解で。
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