太いクヌギ人工林が見たい
諸塚村で空き時間を利用して見学したのは、クヌギ林であった。
林業的には、当然諸塚村もスギ林が主体なのだが、「スギなんて、見飽きたでしょ」とうそぶいて(^^;)、見たいと申し出たのはクヌギかコナラの林なのである。
というのも、諸塚村はシイタケ栽培が盛んで、その原木としてクヌギやコナラが植林されているのだ。山はさまざまな林齢 のスギやヒノキと並んで、クヌギの人工林がパッチ状に広がる。おかげで「諸塚のモザイク林相」として一部では有名である。
実際、クヌギの植栽はかなり広範囲に広がるが、今の季節、みな新緑。美しいのだ。それだけでも見る価値はある。
せいぜい3~5年かなあ。
が、何もそれだけでスギよりクヌギ、と言ったわけではない。
実は、先々月の東京のシンポジウムで見て来たワイスワイスの家具。これは、国産材でつくっていることが売り物であるが、そのことは、すでに拙ブログでも紹介した。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2013/03/post-75fe.html
そして、その国産広葉樹材の産地の一つが諸塚村のクヌギやコナラなのだ。
もちろん、シイタケ原木用としてのクヌギなどは、せいぜい10年15年で伐採して利用する。だから細くて家具材にはならない。が、近年のシイタケ不況で、原木需要も落ちており、結果的に伐採されずに放置され、太く育ってしまったクヌギやコナラが少なくない。これらをドングリ材として木工素材に利用しよう……という発想が元になっている。
そこで「太いクヌギかコナラが見たい」というのが要望なのである。
そんなわけで案内されたのが、実は案内してくれた村の職員の持ち山であった。「太くなってしまって恥ずかしい」そうなのだが、それこそ見たいのだよ。
そんな一つが、こんなクヌギ。これは道端であるが、直径20センチくらいかな。ほかに、もっと太くなったもの……と言っても30センチには届いていなかった。
それでも、なんとか幹のうちまっすぐな部分を2メートルくらいは取れるか。家具用なら使える。が。
正直、がっかりである(-_-)。
私は、見上げんばかりのクヌギの巨木を期待していたから。。。
たしかに直径20センチにもなったクヌギの丸太は、シイタケのホダキには向いていない。しかし、材としては細くね? だいたいクヌギは樹皮のコルク層が分厚くて、それを除くと数センチ小さくなるだろう。
私は、生駒山山中で、それこそコナラなどの巨木をたくさん見ている。目回り1メートルどころか2メートルに届きそうなものもある。直径にしたら60センチは優に超す。なかには直径1メートル以上のものもある。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2012/05/post-bfe1.html
考えてみたら、戦後ずっと放置され生長し続けた生駒山の木と違って、諸塚村の木は放置されたと言っても、この20年30年くらいまでだろう。ほとんどは目的を持って植えられ、ホダキに適した太さになれば、伐採されて再び萌芽から育つか、あるいはドングリを育てた苗を植えたのだ。
だからこそ、太くなってしまった木はちゃんと利用しなかったことを意味するから、「恥ずかしい」のである。
こんなところに、森の歴史と生業の記憶を感じた諸塚であった。
最後に。諸塚村の診療所内。
診療所内の食堂のテーブルとイス。ワイスワイスの家具だ。これこそ、村のクヌギでつくられていた。
まともに購入したら、イス一脚でも、6万円を越える。クッションつきだから、もっとする。テーブルにいたっては、30万円を越える。
それらが待合室などにも使われている。なんと贅沢なんだ……。
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