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2013/06/27

「神宮の森」はニーズからの商品づくり

今年は、伊勢神宮の式年遷宮の年。つまり20年に一度の新築した社殿へお引っ越し。1300年以上続く伝統だ。

……そのことを古雑誌に目を通していて気づいた。いや20年前の雑誌なんだけどね(^^;)。

そこに要した木が1万1635本だという。その多くが木曾の国有林であることは知られているが、本来は神宮の森「神宮宮域林」から調達すべきものだ。しかし、これまで神宮の森は木を伐りすぎて、鎌倉中期以降は、宮域林を離れた。使えるものがなくなっていたわけだ。

だが今回から、神宮の森から間伐された木が使われることは、ちょっと話題になっている。

大正12年にから再び遷宮に使える木を育てることを目標に計画を策定し、造林してきたからである。しかも針広混交林施業を推進した。その木が育ってきたのである。

考えてみれば、この神宮の森は、80年後から遷宮のため、つまり外宮、内宮、別宮、そして末社まで125の社殿をつくるための材料を生産するのが目的だった。いわば、先に需要があった。今風に言えば、ニーズに基づいて木材を生産する森なのである。

これって、森林経営的には非常に明快だ。使い道というニーズに合わせて、そのために必要な形状(樹種や太さ、長さまで。さらに節のあるなし、色つやなども条件に入るかもしれない)に仕立てていくのだから。

今流行りの「将来来施業」も、こうした「将来のニーズ」がわかっていると施業しやすいだろう。

だからニーズに合わせて森づくりを行い、求められる木材という商品を提供することができる。

……しかし、こんな森は例外中の例外だ。宗教という時を越える存在があるからこそ、可能なのだ。一般の木材が、何十年先にどんな使われ方をしているのか、林業家が想像するのはむずかしい。
変化の乏しい江戸時代までなら数十年先の需要を読んで森づくりをしても、さほどニーズを外さないで済むかもしれなかった。しかし、生き馬の目を抜くようなスピード経済社会になってしまった現在、80年先の需要どころか10年20年先でも社会情勢や科学技術がとうなっているか見当つかない。

20年で直径30センチになる木(ラジアータパインやアカシア、ユーカリなど)でも、育った頃に計画通りの需要に供給できるかどうかわからない世の中なのだ。

しかし森づくりは数十年から100年以上かかる。つまりニーズからの森づくりは、それこそ絵に描いた餅になりかねないのではないか?

将来木施業は、ヨーロッパで流行っているようだが、本当に生産された木材は、スタート時点のニーズ(目標とした需要)どおりに使われているのだろうか。結構、想定外の需要に供給しているような気がする。

結局、樹木の時間と人間の時間は違うのだから、ニーズという人間の都合に合わせることに無理があるように思うのだ。神宮のような特殊な世界を除くと、樹木の都合(シーズに人間側が合わせて、木材を利用しなければしようがないのだ。

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コメント

1300年の歴史はなくても100年単位の歴史なら各地に点在しているかもそこから木を育てる目標を考えてみるのもひとつの方法かなと思っています。

100年後の木材需要、想像がつきます?
今ある木を植えたとき、100年後は合板とかCLTなるものに使われると思いもしなかったでしょう。

社寺仏閣など例外的な「ニーズが読める」需要を狙うなら、山林の所有者も含めて揺るぎのない長期経営が必要ですね。

確か、京都の清水寺が、舞台の建て替えのための木を植えて、育ててられるはずです。林業経営者を当てにせず、自分でということでしょう。お寺こそ長期経営の本家です。清水寺の場合、1200年以上続いていますから。

日本の国宝や重要文化財の建物、木製品の補修などを睨んで、お寺さんなどが集まって仏様の森(仮称)、お宝の森(仮称)を作ったらどうでしょうね。

変わった木でできているものもあるそうですから。なんなら、こういったものの本格的なレプリカを作っていくのもいいかもしれません。技能の伝承も含めて。

林野庁が国有林で「古事の森」という400年のヒノキを育てる事業をやっていますね。これは立松和平の提案で、文化財の神社仏閣の修理に使える木材を生産する、というイベントでしたが。

まあ、私は今から植えて400年伐らないのなら、今ある木を保護したらいいように思うのですが。伐らないというのも信じられません(笑)。100年もたったら、部署が代わって(もしかしたら林野庁もなくなって)、世間が忘れたのをいいことに出荷してしまうんじゃないか。

もちろん100年どころか、10年、20年後の木材需要の想像すら難しいと思っています、それでも木材に求められる100年、1000年経っても求められる事(品質)も有ると思っています。
そういう普遍的な木の品質ってなんだろうなって最近考えています。

木材の普遍的価値……これがむずかしいんですね。
とりあえず私は、官能的(感性)価値だろうと思っています。が、これも時代ととともに好みが変わる。

数寄屋の材も、最初は節あり・曲がり・皮つき・雑木が好まれたんですよ。

時代とともに好みが変わるということは、普遍的ではないかもしれませんが、何千年も人に官能的価値を与えてきた木というのは間違いなく普遍的価値がある…
んー考えすぎかな感性ということは感じること、森に行って樹を感じ、木材を感じ、木製品を感じる方が大事なのかな
「考えるな感じろ」でしょうか


ぜひ「感じて」発見してください(^o^)。
でも、森に行っていない人、行きたくない人、興味ない人に感じさせるのは至難の技……。

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