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2013/06/15

フジやクズの蔓も使いよう

週末は森や木から離れた戯れ言を……と先週は甲賀忍者関連?を記したが、またもや週末になった。

でもって、まだ甲賀。

ここで見たのは、忍者や紫香楽宮だけではない( ̄^ ̄)。

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何をしているかというと、クズの蔓を集めているのだ。それも伸び盛りの柔かい蔓を。

クズの根から取った葛粉は、葛湯などで知られる上質のデンプンだ。漢方薬の原料にもなり、葛根湯などもあるね。

が、蔓は生長力旺盛な在来植物で、海外では猛威を奮う外来植物にリストアップされるほどだ。とにかく荒れ地に非常な勢いで伸びて覆ってしまう。

それでいて、手にすると意外と柔らかく、すぐ折れる、切れる。だから、利用価値などないと思っていた。

ところが、クズ蔓細工というのがあったのだ。

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これは水口資料館に展示されていた逸品。一般に水口細工と呼ばれている。

クズの蔓で編まれているのだ。実に細かい仕上がりだ。

しかも、手慰みの自家用道具ではなく、商品として大量に生産・販売されていたらしい。

正確に言えば、クズの蔓だけでなく、アオツヅラフジの蔓を縦糸に使う。

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アオツヅラフジは、あまり聞かないが、さほど珍しい種ではなく、山野によくある蔓植物だ。ツヅラフジ科である。

蔓は細くて、しかも有毒植物。

これも利用できたんだねえ。

なお籠のふちどりしているのは、シュロの葉だそうだ。

フジ蔓と聞けば、いわゆる青紫の花を咲かせるフジ(ヤマフジ)を思い出す。こちらはマメ科植物なので、全然違うものだが、堅固な蔓が伸びて、リースやバスケットなどが編まれることが多く、なんとなく利用価値あり、という気がする。ほかにもアケビとかブドウの蔓とか、いろいろ使えそうな蔓植物はある。
しかし、クズにアオツヅラフジの蔓なんて、緑化用ならともかく利用価値があるとは思わなかった。

しかも、見た通り繊細。だから、お土産物などに喜ばれて、商品化できたのだろう。

でも、水口細工。戦後急速に生産が途切れて、もはや作り方もわからないそうだ。伝わるのは材料がクズの蔓であることだけで、相棒がアオツヅラフジであることも近年までわかっていなかった。意外や、誰も伝承していないのだ。

だから保存会が蔓の採取や繊維を取り出す加工の仕方、そして編み方まで試行錯誤しながら復興しようとしている。

ともあれ、これも資源だ。今再び同じものを生産して商品化するのは難しいだろうけど、また何か利用法を模索できないものか。。。

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コメント

営林署のOBの爺さん達は、ほとんどの方が葛篭編みができるんですよ、わが町の場合。あまりやろうとしないんですけど、私としてはかなりのレベルなので、産業化したいなあと思って、少し話をしたことがあります。

蔓をそのまま編む籠づくりは、比較的誰でも挑戦しやすいので、副業気分でつくってもらったらどうですかね。

水口細工の場合、クズ蔓を煮て皮を向き、中の髄を削って繊維を出し……と大変な手間のかかる品物です。とても、本格的な復興はできそうにない。。

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