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2013/07/30

皆伐はどのくらいの広さから?

鹿児島の次は宮崎を訪れたのだが、そこでは同行者がいた。

ドイツの大学の林学科に入学し、1年後にスウェーデンでも勉強し、来月からまたドイツの大学の博士課程に進学する……という人。(えっと、日本人です。)

思わず質問責め(~_~;)。同時に日本の林業事情も伝える。情報のバーター取引です。

ドイツを中心とした中央ヨーロッパの林業は、基本的に択伐方式である。ところがスウェーデンなど北部ヨーロッパ諸国の林業は皆伐方式が多い。

日本はドイツ林業を真似る(いや、学ぶと言っているが)はずなのに、皆伐は今も主流だ。どこでねじれたのだ? ただスウェーデンの林業の方が日本と似ているところもあって(土地所有や単一樹種林が多いとか森林組合に相当する組織があるなど)、なかなか一筋縄には行かない。

そこで気になっていたことを尋ねてみた。

スウェーデンの皆伐とは、どのくらいの広さで実施しているのか。

まさか日本のように100ヘクタールを越えるような大規模皆伐はやっているまい。が、平坦だから土壌流出や山崩れの恐れは少ないし、10や20ヘクタール単位でやっているのか?

が答は「1ヘクタールから3ヘクタールくらいですかね」

がーん。1ヘクタールって、日本の基準だと皆伐と呼べるのだろうか(苦笑)。

いったい「皆伐」とは、何平米以上を指すのか定義はあるのだろうか。列状間伐でも、4列以上を伐ったら、幅10~20メートルになり、それで長さ500メートルやれば1ヘクタールくらいになる。

私は、皆伐否定論者ではない。択伐もよいが、技術的に難しく人材育成の手間もかかる。また搬出なども効率が落ちる。だから次善の策としての皆伐もありだと思っている。技術的にはかなりやりやすくなるうえに、皆伐後は、そこが草原となり生態系の多様性を増す効果も認められる。
だから1ヘクタール暗いの小規模皆伐地をモザイク状に配置する群状皆伐(間伐)、帯状間伐、漸伐、画伐……などと呼ばれる方法が現実的ではないか。わりとすぐに転換できる技術だし、生物多様性にも寄与できるできるなら世間の納得も得やすい。

……と思っていたのだが、なんのことはない、世界的に皆伐とはその程度なのね。

いかに日本の大面積皆伐が異常か。。。ロシアと張り合う?

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宮崎の日南市で見てきた皆伐地。相変わらずやっている。

これは小さい方だが、一区画何ヘクタールあるだろうか。

まだ最近らしく、ズタズタに刻まれた作業道が生々しい。

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コメント

写真の中央上の三角に残された林分は、所有者が違うのかな~・・
齢級が違うのか樹種が違うのか、まるで日本地図のような絵面にも見えますが、なんとなく理解不能です。
スゥエーデンもフィンランドも皆伐はせいぜい3ha程度でしょうね。ほとんど平らで、湖と湿地帯と森(ホワイトウッド・レッドウッド・シラカバの混植:天然林に見えるように植えるとか聞いてます)。百夜もあるから周囲に側溝掘って林床を乾かす狙いがあるのでは・・あくまで想像ですが・・

北欧の林業のあり方は、詳しい方にぜひ教えていただきたいですが、九州もそろそろ大面積皆伐は止めた方がいいですよ……。

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