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2013/07/17

バイオマス発電は混焼に限る

世間で、今も注目を集める林業的話題といえば、バイオマス発電。

山で持て余されている木材を燃やして発電しよう! という短絡発想なんだが、本ブログでは繰り返し馬鹿にして……いや、否定してきた。

その理由は、コスト問題や資源量問題、価格問題、そして熱利用でなく発電に走るオソマツさ……などいろいろあるが、何も完全否定しているわけではない。上記の悪条件をクリアできるのなら、木材燃やして発電してもいい。でも、条件の合う発電方法とは?

一つは、製材所や製紙工場、チップ工場など、もともとバイオマスが集まってくる施設に付属させた発電所だ。これは、少なくてもコスト問題はクリアできそう。どうぞ推進してくださいませ。ただし、燃やすほど量が確保できるかな?

行き着いたのが、混焼発電だ。木材だけ燃やそうとするから、無理が出る。むしろ通常の火力発電所のボイラー(多くが石炭。それに重油や天然ガス)に木材も混ぜて燃やせばいい。ただ石油系液体燃料やガスの燃焼装置に固形の木材(チップなど)は入れづらいだろうから、対象にすべきは石炭火力だろう。

と、考えていたのだが、なんと、ちゃんと実験されていたのである。それは、新エネルギー導入促進協議会が実施した「林地残材バイオマス混焼発電実証事業」という。全国6カ所の火力発電所で行われていた。

「木」を使って大規模発電、石炭火力と共存可能 http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1307/10/news075.html

詳しくは、この記事を読んでいただきたいが、基本的な目的はCO2削減らしい。が、しっかりバイオマス混焼発電の可能性を追求している。結果は2%くらいの混焼は問題なく、3~5%も視野に入れているらしい。

もう一つの可能性としてゴミ発電も指摘しておきたい。ゴミ焼却場にボイラーを設置して、そこで温水と発電を行うものだ。ただゴミの量は変動する。そこに木質バイオマスを投入して安定した燃焼を行えるようにできないか。

実は、拙著『伐って燃やせば「森は守れる」』(1999年刊行)でも、取り上げている。本書では、日本でかなり早い時期に林業と関連したバイオマスエネルギーの可能性を紹介したと自負しているのだが、そこで提案したのがゴミ焼却場の発電所改造だったのである。(コジェネレーションの一環だけど。)

混焼発電を突き進めれば、木質バイオマスで無理なく発電できる。何らかの事態(量の確保が難しくなったとか、出力が落ちるとか)には、バイオマスを止めて石炭だけに切り換えれば解決する。つまりバイフューエル発電ということ。これなら安定運転の面からも、非常に信頼できる。

何より、新しくバイオマス発電プラントを建設せずに済む。バイオマス燃料の林地残材を集めるコストが安くなるわけではないが、建設コストがわずかなボイラー改良だけで済むなら、抜群のコストダウンである。(FITの価格設定は、建設コストまで積み上げている。)
そもそも2~3%の混焼なら、高価格のバイオマス燃料の負担もそんなに大きくならない。発電元の吸収努力に期待するか、電力料金に反映させるにしても、現実的だ。

もっとも、それがネックなのかもしれない。

なぜなら、現在バイオマス発電を必死で推進している方々は、ようするにプラントを建てたい、税金目当てのコンサルやゼネコン、そして連なる官僚とお見受けするからだ。建設後、数年でバイオマスの調達に行き詰まり、海外から燃料用木材を輸入するか、赤字を垂れ流して税金による補てんを当てにしたあげくに閉鎖する未来像しか描けないのだが、建てることに意義がある! から先は考えないのだろう。

ともあれ、せっかく混焼発電の実証実験まで行ったのだから、ぜひ現実化してほしいものである。おそらく全国の石炭火力が本気で混焼を始めたら、それだけで林地残材は底をつくように感じる。そうなれば、バイオマス利用こそ林業を救うと信じている人々も溜飲を下げるだろう。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

バイオマスガス化発電を推奨したいです。→いろんな有機物を原料にしてボイラーで(ごみ焼却機?)、発生温水で胡蝶蘭とかマンゴーとかを栽培されていますが、その系統の中に発電を取り入れたらどうかと提案しています。『木質系はカロリーが低い』と言っておられます。(廃タイヤはホイールごと、2m位の廃材ならそのまま、ブラとかビニール系とか・・・・まあ究極の『混焼』です)
木質系を中心に据えて、木質系バイオマスガス化発電を目指(させ)したいです。

温排水で魚の養殖はどうでしょう?

木質のバイオガス化は興味深いですね。
メタン菌に食べさせるために低分子の液状有機物まで変換するのが難しそうですが、経済的技術的に確立した処理プロセスってあるんでしょうかねえ。

ガス化も研究されていると思いますが、ガス化に要するエネルギーが資源の持つエネルギー量を減らしてしまうので、よほど上手く低エネルギーで行う方法を確立してほしいですね。
もっとも、ごみ処理をかねるとか、分別の手間がいらないとか、利点を活かすと可能かもしれないなあ。

静岡にあるクリーニング屋を視察した時の話題です。→

・・・廃棄軍手とかウェス全般を原料にして『ガス化ボイラー』を稼働させていました。(当方は車屋でして、両方ともに必需品です。そのようなクズ繊維物がガス化の原料になることに、びっくり!)。

煙突を見ると『けむりが出て無い』(少なくともその時点では)二度びっくり。スティームはちゃんと出ているし、
『原料代が超安いよっ!』という工場オーナーの発言に三度びっくり(何だかんだとの質問予定も、急遽引っ込め唯唯唖然)

再生エネルギーを軸とする地域成長戦略「八策」
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/13071001.html

現時点では、(カロリーの6割がオイルになることは、NEDOやJFEの装置で実現しています。
ただし、それをバイオジェット燃料等として精製するためには、高価な触媒が必要です。
オイルを実用化するには、まだ時間がかかる状況です。)

石炭混焼こそ馬鹿の極致ですよ。
日本の石炭火力発電所は、100%海岸沿いにあります。輸入した石炭を使ってますからね。しかも、石炭は港から運び込む前提で作っているので、陸側の輸送力は考慮していません。
全ての発電所を把握している訳ではありませんが、うちの近所の発電所は市街地を通らなければたどり着けません。
なので、山の近くでバイオマスを一度集積して、チップ化してからさらにトラックで街中を走り、発電所に持っていくという手間がかかります。
しかも、今どきの石炭火力発電所は効率を上げるため微粉炭ボイラを使っているので、チップの細かさもかなり厳しいのです。
ですから、電力会社の石炭火力発電所での混焼は、全く税金の無駄遣いです。
製紙会社の発電所で、元々混焼を前提にした石炭火力なら問題はありませんが。

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