森林総合監理士の研修テキスト
昨日で参議院議員選挙も終わった……と思ったら、実はとある試験の日だったらしい。
それが森林総合監理士試験。なにこれ?と思うが、ようするにフォレスターの筆記試験である。あれ、これ までフォレスター、准フォレスターと繰り返し呼ばれていたが、正式名称は、こんな名前だったのか。
そう思って林野庁のサイトを当たると、日本型フォレスターとして「森林総合監理士」(フォレスター)という表現が。なんだかややこしい。もしかして、政権交代の影響か。民主党がフォレスターとばかり表記していたのに反発して変えたのかも……。
森林総合監理士(フォレスター)は、平成25年度からの認定を目指しています。それまでの間については、都道府県や国の職員など、一定の研修(准フォレスター研修)等を受けた者が市町村森林整備計画の策定等の支援を行うこととしました。この研修を終了した者が「准フォレスター」ですが、市町村への支援等の実務経験を重ね、将来の森林総合監理士(フォレスター)の候補として期待される人材です。
邪推はこれくらいにして、内容を読む。読めば読むほど、これは林業普及指導員の横滑りであることがわかってくる。そもそも国と県と市町村の担当者以外が受験することもできないし、業務もない。資格試験も、林業普及指導員のエンチョウ。
そんでもっんて、どんな研修をしているのか、探る。
すると、こんなテキストが。
准フォレスター研修基本テキスト(平成24年度版)http://www.rinya.maff.go.jp/j/ken_sidou/forester/index.html
1冊全部読める。
パラパラ目を通した。いろいろツッコミどころが見つかってオモシロイ(笑)。
なかでも注目したのは、最終章の「コミュニケーションとプレゼンテーション能力」だ。これはフォレスターに限らず、もっとも必要な能力だろう。そう言えば、昨年訪れたスイスのフォレスター学校でも、「森林コミュニケーション」のカリキュラムが多く、またもっとも重要?とか言っていたっけ。
で、このテキストは、まるでファシリテーションのハウツウ書か、訪問販売の営業マンのマニュアルを写したみたい。でも、まあ、内容どおりできたらいいんだけど。
しかし、次の1項は……。
相手の発言は傾聴し、また共感を示しながら事前に描いたストーリーに導きます。
事前に描いたストーリーがあるのかよ。導くのかよ。
このストーリーに関しては、「相手の認知度(例えば間伐や専用道)や、関心の示しどころ
を想定し、強調点や山場、印象に残る結びをイメージして主題をスムーズに理解させるストーリー」と説明されている。
コミュニケーションは、基本は目の前で展開するもので、想定台本があるわはとうかと思う。相手の反応・反論そのほかに瞬時にウケなければ、相互的なコミュニケーションにならない。先に想定(ストーリー9を作ることは危険でもある。
これは、数をこなさなくちゃ仕方がない。天性の才能の持主もたまにはいるが、通常は数をこなして身につけるもの。いや、それだって才能がいるかもしれないが……。
私が、記者として取材を積み重ね出した頃を思い出す。いかに記事にする情報を聞き出すか、試行錯誤したのだ。ハウツウ書もなく。マニュアルもなく。
ツッコむ。ボケる。ヨイショして持ち上げてオトす。たまには怒らせる。怒鳴り合う。笑って見限る……。丁々発止だ。集中力もいるし、緊張もいる。疲れる。
もちろん、私なりのノウハウもある。たとえば「そうですね」と「そうですか」の2種類の相槌をいかに使い分けるか、とか。ノートを閉じてから本音を聞き出す手法もある。
そんな駆け引きがオモシロイ時期もあったが、だんだん聞き書きが面倒になってきて、自らが見たり体験することをそのまま書けないかと思うようになってきた。
が、最近は、取材自体が面倒になって来て、誰かが取材しているのを横で聞いたり見ていて、後でメモをもらうのが好きになってきた(^^;)\(-_-メ;)。
ただ先に考えたストーリーに固執してはダメだ。最低だ。想定した記事に取材を合わせるのは、いわば犯人でっち上げの冤罪みたいなものだろう。演繹法、帰納法どちらでも、得た事実に合わせるのが基本である。
ともあれ、フォレスター、もとい森林総合監理士をめざすなら、ペーパーテストの先に実際に経験を積み上げてほしい。
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私が、林業家や農家、すでに林業をしているとは言えないような森林を持っている方とお話をするときに心がけているのは、(マンツーマンのときにですけれども)その方の考えや思い、これまでのことをまず聞くことです。田舎とはいえ顔見知りであっても、本論で話をしたことなどないわけですから、まずは聴く。その中で可能であれば、話を広めたり深めたりして、肝心なところを聞き出す。
仲良くなるには、特に男性の場合は、下ネタです。どこかにネタ元があります。そこで、1つ2つ入れると仲良くなれます。女性の場合は、もう少し親しくなってからになります。少し年配の方であれば、少し軽めの下ネタをいれてみて反応を見ます。結構、盛り上がったりします。本論のほかの部分での共通項を持つという手法です。ただし、そっちの方が主となって本論がぼやけてしまう失敗もあったりします。
相手がたばこを吸う場合は、私もたばこを吸います。この時は、自分がライターを持っていても、その方からライターを借りたりもします。
実は、テキトーに写真なども持っていたりもします。ケータイに入れておくでもいいと思います。
そういう意味では、アイパッドなどは1つのコミュニケーションツールになるかもしれません。動画も見せ放題ですし、その場で検索もできるし。
持って行きたい結論のようなものがある場合もありますが、当然その時々によって、あきらめることは多々あります。そういう場合は、そのあとでなるべくご自分で考えていただくような終わり方を心がけています。
投稿: 鈴木浩之 | 2013/07/23 07:55
あの手この手でコミュニケーション広げている様子が伝わってきます(~_~;)。
そんな地道な取組の方が、日本型フォレスターに向いているかもしれない。
投稿: 田中淳夫 | 2013/07/26 00:09