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2013/08/17

覚書・皆伐の定義

たまたま開いた林業書にドイツの森林作業法について解説しており、皆伐の項目があった。

覚書のつもりで記録しておく。

ちなみにこの本の出版は1993年になっているということは、筆者が調査したのは、その数年前と推測できる。まだドイツが近自然林業に転換し切っていない頃だろう。だから皆伐に関する項目もある。

そこに中部ヨーロッパの皆伐を面積別に分類していた。

50ヘクタール以下      巨大皆伐          風害、山火事など災害時の例外

5~50ヘクタール       大面積皆伐       例外

1~5ヘクタール        皆伐                 一般的 

1ヘクタール以下                小面積皆伐       一般的

各地の営林署長による皆伐の定義(平均)

最大面積                 国有林最大1,1ha     州有林 1,1ha  民有林 1,8ha

皆伐と認める面積     国有林0,5ha      州有林 1,1ha  民有林 0,4ha

これでは、日本の皆伐はどうなる。100ヘクタール、200ヘクタールとあるのだから巨大皆伐以上である。メガ皆伐とか、狂気の皆伐とでも呼ぼうか。
また数十ヘクタールが一般的だから、ドイツではみんな「例外」扱いである。逆に1ヘクタールなんて皆伐扱いしないところも多いのではないか。

日本の森林のグランドデザインをつくるのなら、真っ先に大面積皆伐(ドイツ式なら5ヘクタール以上で大面積だが、せめて保安林の20ヘクタール以上)の禁止を入れるべきだと思うが、まったく提言にさえ入らない。ああ。

……やっぱり林業って、自然破壊産業かなあ。

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コメント

>たまたま開いた林業書

書名を教えてください。

>これでは、日本の皆伐はどうなる。

日本では冒頭に「用語と定義」を明示しないのが普通だから出は無いでしょうか
A:「皆伐」っていうからには、読んで字のごとく「皆な伐ること」だろう
B:じゃあ、どれぐらいの面積から皆伐と呼ぶのか?
A:「皆な」といったら、見渡す限りってことだろうから、100へクタークぐらいじゃないか?
という流れでは無いでしょうか。
表音文字文化に基づく西洋流の「用語と定義」と、表意文字文化の日本(東アジア?)流の「読んで字のごとし」の隔絶は大きいのでは?

西洋流には「じゃあ誰が定義したか」が大事になり、原典主義が生まれるのではないでしょうか
というわけで、書名教えてください、よろしくお願いします

「国際化時代の森林資源問題」(日本林業調査会)というカタイ本ですよ。その引用は、ドイツの教科書(林業の?)からだと記載があります。

この定義は20年以上前だから、今とは違うかもしれません。ただ、今のドイツは原則皆伐禁止ですからねえ。

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